QPainter::restore() をマスターして、Qt GUI プログラミングをレベルアップ

2024-04-02

Qt GUIにおけるQPainter::restore()

QPainter::restore() は、直前にQPainter::save() で保存した描画状態を復元します。具体的には、以下の設定が復元されます。

  • ペン:色、幅、スタイル、描画モードなど
  • ブラシ:色、スタイル、描画モードなど
  • 座標変換:ワールド座標系とウィジェット座標系の変換
  • クリッピング領域:描画される領域を制限する領域
  • その他:アンチエイリアシング、線幅の制限など

使用例

QPainter::restore() は、描画状態を一時的に変更したい場合に便利です。例えば、以下のようなコードで、矩形と円を異なる色で描画することができます。

QPainter painter(widget);

// 青色の矩形を描画
painter.setPen(QPen(Qt::blue));
painter.drawRect(QRect(0, 0, 100, 100));

// 緑色の円を描画
painter.save();
painter.setPen(QPen(Qt::green));
painter.drawEllipse(QPoint(50, 50), 25, 25);
painter.restore();

// 青色の矩形を描画
painter.drawRect(QRect(150, 0, 100, 100));

このコードでは、painter.save() で描画状態を保存した後、painter.setPen() でペンの色を変更します。そして、painter.drawEllipse() で円を描画します。最後に、painter.restore() で保存した描画状態を復元するため、最後の矩形も青色で描画されます。

注意点

  • QPainter::restore() は、直前にQPainter::save() で保存した状態のみを復元します。複数回QPainter::save() を呼び出した場合は、最後に呼び出した状態が復元されます。
  • QPainter::restore() は、スタック方式で描画状態を管理します。つまり、QPainter::save() を複数回呼び出した場合は、QPainter::restore()同じ回数呼び出す必要があります。

QPainter::restore() は、Qt GUIにおける描画状態を保存・復元するための重要なメソッドです。このメソッドを理解することで、複雑な描画処理を効率的に記述することができます。



Qt GUIにおけるQPainter::restore() のサンプルコード

矩形と円を異なる色で描画

QPainter painter(widget);

// 青色の矩形を描画
painter.setPen(QPen(Qt::blue));
painter.drawRect(QRect(0, 0, 100, 100));

// 緑色の円を描画
painter.save();
painter.setPen(QPen(Qt::green));
painter.drawEllipse(QPoint(50, 50), 25, 25);
painter.restore();

// 青色の矩形を描画
painter.drawRect(QRect(150, 0, 100, 100));

座標変換を使って矩形を回転

QPainter painter(widget);

// 矩形を描画
painter.drawRect(QRect(0, 0, 100, 100));

// 座標変換を回転
painter.save();
painter.translate(50, 50);
painter.rotate(45);
painter.drawRect(QRect(-50, -50, 100, 100));
painter.restore();

// 元の座標系で矩形を描画
painter.drawRect(QRect(150, 0, 100, 100));

クリッピング領域を使って矩形の一部のみを描画

QPainter painter(widget);

// 矩形を描画
painter.drawRect(QRect(0, 0, 200, 200));

// クリッピング領域を設定
painter.save();
painter.setClipRect(QRect(50, 50, 100, 100));
painter.fillRect(QRect(0, 0, 200, 200), Qt::red);
painter.restore();

// 元のクリッピング領域で矩形を描画
painter.drawRect(QRect(0, 0, 200, 200));


QPainter::restore() 以外の方法

QPainter::pushState()QPainter::popState() は、QPainter::save()QPainter::restore() と同様の機能を提供しますが、スタックを使用せずに状態を管理します。

QPainter painter(widget);

// 青色の矩形を描画
painter.setPen(QPen(Qt::blue));
painter.drawRect(QRect(0, 0, 100, 100));

// 緑色の円を描画
painter.pushState();
painter.setPen(QPen(Qt::green));
painter.drawEllipse(QPoint(50, 50), 25, 25);
painter.popState();

// 青色の矩形を描画
painter.drawRect(QRect(150, 0, 100, 100));

QPainterState オブジェクトは、描画状態を保存するためのオブジェクトです。このオブジェクトを使用して、描画状態を保存、復元、比較することができます。

QPainter painter(widget);

// 青色の矩形を描画
painter.setPen(QPen(Qt::blue));
painter.drawRect(QRect(0, 0, 100, 100));

// 描画状態を保存
QPainterState state = painter.saveState();

// 緑色の円を描画
painter.setPen(QPen(Qt::green));
painter.drawEllipse(QPoint(50, 50), 25, 25);

// 保存した状態を復元
painter.restoreState(state);

// 青色の矩形を描画
painter.drawRect(QRect(150, 0, 100, 100));

QScopedPointer は、RAII (Resource Acquisition Is Initialization) イディオムを使用して、リソースを自動的に解放するクラスです。QPainter オブジェクトを QScopedPointer でラップすることで、QPainter::restore() を呼び出すことなく、描画状態を自動的に復元することができます。

QScopedPointer<QPainter> painter(new QPainter(widget));

// 青色の矩形を描画
painter->setPen(QPen(Qt::blue));
painter->drawRect(QRect(0, 0, 100, 100));

// 緑色の円を描画
painter->save();
painter->setPen(QPen(Qt::green));
painter->drawEllipse(QPoint(50, 50), 25, 25);

// QScopedPointer が自動的に painter を解放し、描画状態を復元

これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。状況に応じて、最適な方法を選択する必要があります。




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