Qt Widgets: QTextBrowser::anchorClicked() シグナルの徹底解説

2024-04-02

Qt WidgetsにおけるQTextBrowser::anchorClicked()の詳細解説

概要

用途

このシグナルは、ユーザーがクリックしたアンカーの情報に基づいて、さまざまなアクションを実行するために使用できます。例えば、以下のことができます。

  • アンカーに関連するURLを開く
  • アンカーのテキストを別のウィジェットに表示する
  • アンカーのIDに基づいて、カスタムアクションを実行する

シグナルの詳細

QTextBrowser::anchorClicked()シグナルは以下の引数を持ちます。

  • QUrl url: クリックされたアンカーのURL
  • bool& followLink: デフォルトでtrueに設定されています。この値をfalseに設定すると、QTextBrowserはデフォルトの動作(URLを開くなど)を実行せず、シグナルの受信者に処理を委ねます。

使用例

以下のコードは、QTextBrowser::anchorClicked()シグナルを使用して、クリックされたアンカーのURLを新しいタブで開く例です。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // QTextBrowserの作成
  QTextBrowser textBrowser;

  // HTML形式のテキストを設定
  textBrowser.setHtml("<a href='https://www.qt.io'>Qt公式サイト</a>");

  // anchorClicked()シグナルの接続
  QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [](const QUrl &url) {
    // 新しいタブでURLを開く
    QDesktopServices::openUrl(url);
  });

  textBrowser.show();

  return app.exec();
}
  • QTextBrowser::setOpenExternalLinks()プロパティを使用して、QTextBrowserがデフォルトで外部URLを開くかどうかを設定できます。
  • QTextBrowser::anchorAt()関数を使用して、指定された座標にあるアンカーを取得できます。
  • QTextCursor::anchor()関数を使用して、現在のカーソル位置にあるアンカーを取得できます。


Qt WidgetsにおけるQTextBrowser::anchorClicked()のサンプルコード集

アンカーのURLを新しいタブで開く

QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [](const QUrl &url) {
  // 新しいタブでURLを開く
  QDesktopServices::openUrl(url);
});

アンカーのテキストを別のウィジェットに表示する

QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [=](const QUrl &url) {
  // アンカーのテキストを取得
  QString text = textBrowser.anchorAt(url).text();

  // 別のウィジェットにテキストを表示
  otherWidget->setText(text);
});

アンカーのIDに基づいて、カスタムアクションを実行する

// アンカーIDと実行するアクションのマッピング
QMap<QString, std::function<void()>> actionMap;
actionMap["home"] = []() { /* ホームページを開く */ };
actionMap["about"] = []() { /* アプリケーション情報ダイアログを表示 */ };

QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [=](const QUrl &url) {
  // アンカーのIDを取得
  QString id = url.fragment();

  // マッピングに存在するIDであれば、対応するアクションを実行
  if (actionMap.contains(id)) {
    actionMap[id]();
  }
});

アンカーをクリックできないようにする

textBrowser->setTextInteractionFlags(Qt::TextBrowserInteraction::NoTextInteraction);

アンカーのスタイルを設定する

// アンカーのスタイルシートを設定
textBrowser->setStyleSheet("a { color: blue; text-decoration: underline; }");

アンカーのカーソル形状を設定する

textBrowser->setCursor(Qt::PointingHandCursor);
  • 上記のコードはあくまで例であり、必要に応じて変更する必要があります。
  • Qt公式ドキュメントやチュートリアルを参照することで、より詳細な情報を得ることができます。


QTextBrowser::anchorClicked() 以外の方法

QTextCursor::anchor() 関数を使用して、現在のカーソル位置にあるアンカーを取得できます。アンカーを取得したら、そのアンカーの URL やテキストなどの情報に基づいて処理を行うことができます。

QTextCursor cursor = textBrowser->textCursor();
if (cursor.hasSelection()) {
  // 選択範囲内にアンカーがあるかどうか確認
  if (cursor.anchor() != cursor.position()) {
    // アンカーを取得
    QTextAnchor anchor = cursor.anchor();

    // アンカーの情報を処理
    // ...
  }
}

QMouseEvent フィルター

QTextBrowser に QMouseEvent フィルターをインストールすることで、マウスイベントを捕捉し、アンカーをクリックしたかどうかを判断することができます。

class MouseEventFilter : public QObject {
  bool eventFilter(QObject *obj, QEvent *event) override {
    if (event->type() == QEvent::MouseButtonPress) {
      QMouseEvent *mouseEvent = static_cast<QMouseEvent *>(event);

      // マウスイベントがアンカー上にあるかどうか確認
      if (textBrowser->anchorAt(mouseEvent->pos())) {
        // アンカークリック処理を行う
        // ...
        return true;
      }
    }

    return false;
  }
};

// フィルターのインストール
MouseEventFilter filter;
textBrowser->installEventFilter(&filter);

QWebEngineView

Qt WebEngine モジュールを使用している場合は、QWebEngineView クラスを使用することができます。QWebEngineView は、HTML コンテンツを表示するウィジェットであり、アンカークリックなどのイベントを処理することができます。

QWebEngineView view;
view.load(QUrl("https://www.example.com/"));

// アンカークリックシグナルの接続
QObject::connect(&view, &QWebEngineView::anchorClicked, [](const QUrl &url) {
  // アンカークリック処理を行う
  // ...
});

どの方法を使用するべきかは、アプリケーションの要件によって異なります。

  • シンプルな処理であれば、QTextBrowser::anchorClicked() シグナルを使用するのが最も簡単です。
  • より複雑な処理を行う場合は、QTextCursor::anchor() 関数や QMouseEvent フィルターを使用する必要があります。
  • Web ページを表示する場合は、QWebEngineView クラスを使用するのが便利です。



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