QFocusEvent::gotFocus()のイベントオブジェクト
Qt GUIにおけるQFocusEvent::gotFocus()の詳細解説
QFocusEvent::gotFocus()は、Qt GUIフレームワークにおいて、ウィジェットがフォーカスを獲得した際に発生するイベントを処理するための関数です。この関数は、ウィジェットがユーザー入力を受け付ける準備ができたことを示します。
仕組み
QFocusEvent::gotFocus()は、ウィジェットがフォーカスを獲得するたびに自動的に呼び出されます。この関数は、イベントオブジェクトを受け取り、そのオブジェクトからフォーカスを獲得したウィジェットに関する情報を取得することができます。
イベントオブジェクト
QFocusEventオブジェクトには、フォーカスイベントに関する様々な情報が含まれています。主な情報は以下の通りです。
- type(): イベントの種類 (QEvent::FocusIn)
- reason(): フォーカスを獲得した理由 (Qt::FocusReason::TabFocusなど)
- gotFocus(): ウィジェットがフォーカスを獲得したかどうか (true)
- lostFocus(): ウィジェットがフォーカスを失ったかどうか (false)
- oldFocusWidget(): フォーカスを失ったウィジェット
- source(): イベントの発生源 (Qt::FocusSource::Keyboardなど)
イベント処理
QFocusEvent::gotFocus()内で、フォーカス獲得に関連する処理を実装することができます。例えば、以下のような処理が考えられます。
- ウィジェットの背景色を変更する
- ウィジェットにカーソルを設定する
- ツールチップを表示する
例
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
setStyleSheet("background-color: yellow;");
}
}
注意点
- QFocusEvent::gotFocus()は、ウィジェットがフォーカスを獲得した直後に呼び出されます。
- フォーカスイベント処理内で、フォーカスを別のウィジェットに移動することはできません。
- フォーカスイベント処理内で、ウィジェットの状態を変更する場合は、
event->accept()
を呼び出す必要があります。
補足
- 上記の解説は、Qt 5.15に基づいています。
- Qt GUIの詳細については、Qt公式ドキュメントを参照してください。
質問や不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。
Qt GUIにおけるQFocusEvent::gotFocus()のサンプルコード
ウィジェットの背景色を変更する
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
setStyleSheet("background-color: yellow;");
} else {
// ウィジェットがフォーカスを失った時の処理
setStyleSheet("background-color: white;");
}
}
ウィジェットにカーソルを設定する
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
setCursor(Qt::IBeamCursor);
}
}
ツールチップを表示する
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
setToolTip("This is a widget");
}
}
フォーカスを別のウィジェットに移動する
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
QWidget *otherWidget = this->findChild<QWidget *>("otherWidget");
otherWidget->setFocus();
}
}
フォーカスイベント処理内でウィジェットの状態を変更する
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
m_isFocused = true;
// ウィジェットの状態変更処理
...
// イベント処理を受け付ける
event->accept();
}
}
補足
- 上記のサンプルコードは、Qt 5.15に基づいています。
質問や不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。
QFocusEvent::gotFocus() 以外にも、ウィジェットがフォーカスを獲得した際に処理を行う方法はいくつかあります。
QWidget::focusInEvent() は、ウィジェットがフォーカスを獲得するたびに呼び出される仮想関数です。この関数をオーバーライドすることで、フォーカス獲得時の処理を実装することができます。
QObject::installEventFilter() を使用して、イベントフィルタをインストールすることができます。イベントフィルタは、特定のウィジェットに送信されるすべてのイベントを処理するオブジェクトです。イベントフィルタ内で、QFocusEvent::FocusIn イベントを検知して、フォーカス獲得時の処理を実装することができます。
QShortcut を使用して、特定のキーシーケンスにフォーカス移動処理を割り当てることができます。
それぞれの方法のメリットとデメリット
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
QFocusEvent::gotFocus() | 簡単に実装できる | イベント処理内でフォーカスを別のウィジェットに移動できない |
QWidget::focusInEvent() | フォーカス獲得時の処理を自由に実装できる | イベント処理が複雑になる場合がある |
QObject::installEventFilter() | 複数のウィジェットに同じ処理を適用できる | イベント処理の優先順位を考慮する必要がある |
QShortcut | キーボード操作でフォーカス移動を簡単に実装できる | 特定のキーシーケンスにしか対応できない |
- 简单的な処理の場合は、QFocusEvent::gotFocus() を使用するのがおすすめです。
- 複雑な処理を行う場合は、QWidget::focusInEvent() を使用するのがおすすめです。
- 複数のウィジェットに同じ処理を適用したい場合は、QObject::installEventFilter() を使用するのがおすすめです。
- キーボード操作でフォーカス移動を簡単に実装したい場合は、QShortcut を使用するのがおすすめです。
- QWidget::focusInEvent()
void MyWidget::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
if (event->gotFocus()) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
}
}
- QObject::installEventFilter()
class MyEventFilter : public QObject
{
public:
bool eventFilter(QObject *obj, QEvent *event) override
{
if (event->type() == QEvent::FocusIn) {
// ウィジェットがフォーカスを獲得した時の処理
}
return false;
}
};
void MyWidget::setup()
{
MyEventFilter *filter = new MyEventFilter();
filter->installEventFilter(this);
}
- QShortcut
QShortcut *shortcut = new QShortcut(Qt::Key_Tab, this);
shortcut->activated.connect([this] {
// フォーカスを次のウィジェットに移動する
this->nextFocus();
});
質問や不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。
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