Qt GUIにおける浮動小数点数の比較:qFuzzyCompare() vs. 絶対値比較 vs. epsilon比較

2024-04-09

Qt GUIにおけるqFuzzyCompare()の解説

浮動小数点数の比較の問題点

浮動小数点数同士を単純に比較しようとすると、丸め誤差の影響で、一見同じに見える値でも実際には異なる値と判定されてしまうことがあります。これは、浮動小数点数は有限の桁数で表現されるため、計算過程で誤差が生じるためです。

例えば、以下のコードでは、abは同じ値であるにもかかわらず、==演算子による比較ではfalseと判定されてしまいます。

double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;

if (a == b) {
  // このコードは実行されない
} else {
  // このコードが実行される
}

qFuzzyCompare()は、この問題を解決するために使用できます。この関数は、3つの引数を受け取ります。

  1. 比較対象となる最初の浮動小数点数
  2. 許容誤差

許容誤差は、比較結果が等価と判定されるために許容される誤差の範囲を指定します。例えば、以下のコードでは、abが0.0001以内であれば等価と判定されます。

if (qFuzzyCompare(a, b, 0.0001)) {
  // このコードが実行される
} else {
  // このコードは実行されない
}

qFuzzyCompare()を使用する利点は以下の通りです。

  • 丸め誤差による誤判定を防ぐことができる
  • コードの読みやすさが向上する
  • テストコード 작성이 간편해집니다

qFuzzyCompare()を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 許容誤差を適切に設定する必要がある
  • 許容誤差が大きすぎると、本来異なる値が等価と判定されてしまう可能性がある
  • 許容誤差が小さすぎると、誤判定を防ぐことができるが、コードの動作が不安定になる可能性がある

qFuzzyCompare()は、Qt GUIにおける浮動小数点数の比較を行う際に非常に便利な関数です。丸め誤差による誤判定を防ぎ、コードの信頼性を向上させるために、積極的に活用することをおすすめします。



qFuzzyCompare()のサンプルコード

2つの浮動小数点数の比較

double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;

if (qFuzzyCompare(a, b)) {
  // 2つの値は等価である
} else {
  // 2つの値は異なる
}

許容誤差を指定した比較

double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234569;

if (qFuzzyCompare(a, b, 0.0001)) {
  // 2つの値は等価である
} else {
  // 2つの値は異なる
}

QPointFの比較

QPointF a(1.2345678901234567, 2.3456789012345678);
QPointF b(1.2345678901234568, 2.3456789012345679);

if (qFuzzyCompare(a, b)) {
  // 2つの点は等価である
} else {
  // 2つの点は異なる
}

QRectFの比較

QRectF a(1.2345678901234567, 2.3456789012345678, 3.4567890123456789, 4.5678901234567890);
QRectF b(1.2345678901234568, 2.3456789012345679, 3.4567890123456789, 4.5678901234567891);

if (qFuzzyCompare(a, b)) {
  // 2つの矩形は等価である
} else {
  // 2つの矩形は異なる
}

qFuzzyCompare()関数は、Qt GUIフレームワーク以外にも、様々なライブラリで提供されています。浮動小数点数の比較を行う際には、qFuzzyCompare()関数の使用を検討することをおすすめします。



浮動小数点数の比較を行うその他の方法

絶対値による比較

double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;

if (fabs(a - b) < 0.0001) {
  // 2つの値は等価である
} else {
  // 2つの値は異なる
}

この方法は、2つの値の差の絶対値が許容誤差よりも小さければ等価と判定します。

epsilon比較

double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;

double epsilon = std::numeric_limits<double>::epsilon();

if (fabs(a - b) < epsilon) {
  // 2つの値は等価である
} else {
  // 2つの値は異なる
}

この方法は、std::numeric_limits<double>::epsilon()で取得できる、浮動小数点数における最小の非ゼロ値を利用します。2つの値の差がepsilonよりも小さければ等価と判定します。

手動による比較

double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;

// 2つの値の各桁を比較する

if (a.exponent() == b.exponent()) {
  if (a.significand() == b.significand()) {
    // 2つの値は等価である
  } else {
    // 2つの値は異なる
  }
} else {
  // 2つの値は異なる
}

この方法は、2つの値の指数部、仮数部を個別に比較する方法です。最も正確な比較方法ですが、実装が複雑になります。

  • 許容誤差が明確に決まっている場合は、1. 絶対値による比較 または 2. epsilon比較 がおすすめです。
  • より正確な比較が必要な場合は、3. 手動による比較 を検討する必要があります。
  • Qt GUIフレームワークを使用している場合は、qFuzzyCompare()関数の使用を検討することをおすすめします。



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