Qt GUIにおける浮動小数点数の比較:qFuzzyCompare() vs. 絶対値比較 vs. epsilon比較
Qt GUIにおけるqFuzzyCompare()の解説
浮動小数点数の比較の問題点
浮動小数点数同士を単純に比較しようとすると、丸め誤差の影響で、一見同じに見える値でも実際には異なる値と判定されてしまうことがあります。これは、浮動小数点数は有限の桁数で表現されるため、計算過程で誤差が生じるためです。
例えば、以下のコードでは、a
とb
は同じ値であるにもかかわらず、==
演算子による比較ではfalse
と判定されてしまいます。
double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;
if (a == b) {
// このコードは実行されない
} else {
// このコードが実行される
}
qFuzzyCompare()
は、この問題を解決するために使用できます。この関数は、3つの引数を受け取ります。
- 比較対象となる最初の浮動小数点数
- 許容誤差
許容誤差は、比較結果が等価と判定されるために許容される誤差の範囲を指定します。例えば、以下のコードでは、a
とb
が0.0001以内であれば等価と判定されます。
if (qFuzzyCompare(a, b, 0.0001)) {
// このコードが実行される
} else {
// このコードは実行されない
}
qFuzzyCompare()
を使用する利点は以下の通りです。
- 丸め誤差による誤判定を防ぐことができる
- コードの読みやすさが向上する
- テストコード 작성이 간편해집니다
qFuzzyCompare()
を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 許容誤差を適切に設定する必要がある
- 許容誤差が大きすぎると、本来異なる値が等価と判定されてしまう可能性がある
- 許容誤差が小さすぎると、誤判定を防ぐことができるが、コードの動作が不安定になる可能性がある
qFuzzyCompare()
は、Qt GUIにおける浮動小数点数の比較を行う際に非常に便利な関数です。丸め誤差による誤判定を防ぎ、コードの信頼性を向上させるために、積極的に活用することをおすすめします。
qFuzzyCompare()のサンプルコード
2つの浮動小数点数の比較
double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;
if (qFuzzyCompare(a, b)) {
// 2つの値は等価である
} else {
// 2つの値は異なる
}
許容誤差を指定した比較
double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234569;
if (qFuzzyCompare(a, b, 0.0001)) {
// 2つの値は等価である
} else {
// 2つの値は異なる
}
QPointFの比較
QPointF a(1.2345678901234567, 2.3456789012345678);
QPointF b(1.2345678901234568, 2.3456789012345679);
if (qFuzzyCompare(a, b)) {
// 2つの点は等価である
} else {
// 2つの点は異なる
}
QRectFの比較
QRectF a(1.2345678901234567, 2.3456789012345678, 3.4567890123456789, 4.5678901234567890);
QRectF b(1.2345678901234568, 2.3456789012345679, 3.4567890123456789, 4.5678901234567891);
if (qFuzzyCompare(a, b)) {
// 2つの矩形は等価である
} else {
// 2つの矩形は異なる
}
qFuzzyCompare()
関数は、Qt GUIフレームワーク以外にも、様々なライブラリで提供されています。浮動小数点数の比較を行う際には、qFuzzyCompare()
関数の使用を検討することをおすすめします。
浮動小数点数の比較を行うその他の方法
絶対値による比較
double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;
if (fabs(a - b) < 0.0001) {
// 2つの値は等価である
} else {
// 2つの値は異なる
}
この方法は、2つの値の差の絶対値が許容誤差よりも小さければ等価と判定します。
epsilon比較
double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;
double epsilon = std::numeric_limits<double>::epsilon();
if (fabs(a - b) < epsilon) {
// 2つの値は等価である
} else {
// 2つの値は異なる
}
この方法は、std::numeric_limits<double>::epsilon()
で取得できる、浮動小数点数における最小の非ゼロ値を利用します。2つの値の差がepsilonよりも小さければ等価と判定します。
手動による比較
double a = 1.2345678901234567;
double b = 1.2345678901234568;
// 2つの値の各桁を比較する
if (a.exponent() == b.exponent()) {
if (a.significand() == b.significand()) {
// 2つの値は等価である
} else {
// 2つの値は異なる
}
} else {
// 2つの値は異なる
}
この方法は、2つの値の指数部、仮数部を個別に比較する方法です。最も正確な比較方法ですが、実装が複雑になります。
- 許容誤差が明確に決まっている場合は、1. 絶対値による比較 または 2. epsilon比較 がおすすめです。
- より正確な比較が必要な場合は、3. 手動による比較 を検討する必要があります。
- Qt GUIフレームワークを使用している場合は、
qFuzzyCompare()
関数の使用を検討することをおすすめします。
QTextImageFormat::QTextImageFormat() コンストラクタを使用する
QTextImageFormat::QTextImageFormat() は、Qt GUI フレームワークで使用される QTextImageFormat クラスのコンストラクタです。このコンストラクタは、テキスト内に画像を挿入するための書式設定情報を設定するために使用されます。
QTextLayoutを使いこなすためのヒント
QTextLayoutは、Qt GUIにおけるテキストレイアウト機能を提供するクラスです。テキストのフォーマット、配置、描画などを制御する機能を提供し、リッチテキストエディタ、テキストビューアーなどのアプリケーション開発に役立ちます。機能QTextLayoutは以下の機能を提供します。
タッチパネルとタブレットでさらに表現豊かなアプリ開発:QTabletEvent::tangentialPressure()のすべて
QTabletEvent::tangentialPressure()は、Qt GUIにおけるタブレットイベントの接線方向の圧力を取得するための関数です。これは、タブレットペンが画面に触れた際に発生する、ペン先の垂直方向以外の圧力情報にアクセスするために使用されます。
QOpenGLExtraFunctions::glProgramUniform3ui() 関数によるユニフォーム変数の設定
この関数は、3つの整数値をGLuint型ユニフォーム変数に設定するために使用されます。シェーダープログラムでユニフォーム変数を使用する前に、この関数を使って値を設定する必要があります。QOpenGLExtraFunctions::glProgramUniform3ui() の概要:
グラフィックスレンダリングにおけるQPixelFormat::magentaSize()の活用
QPixelFormatは、Qt GUIにおけるピクセルのフォーマットを定義するクラスです。ピクセルフォーマットは、ピクセルデータの構成、色深度、アルファチャネルの存在など、ピクセルをどのように表現するかを決定します。QPixelFormatクラスは、さまざまなピクセルフォーマットを定義するための多くのメンバー関数を提供します。これらの関数には、ピクセルフォーマットのカラーモデル、色深度、アルファチャネルの存在などを取得したり設定したりするためのものがあります。
QTextDocumentクラスの徹底解説:Qt GUIで書式付きテキストをマスターする
QTextDocumentクラスは、Qt GUIにおける重要なクラスの一つであり、書式付きテキストを扱うための基盤を提供します。QTextEditのようなテキストエディタや、QTextBrowserのようなテキスト表示ウィジェットで使用されます。
Qt GUIにおけるQRgbaFloatクラスの解説
QRgbaFloatクラスは以下の4つの要素で構成されています。red: 赤色の成分を表す浮動小数点数blue: 青色の成分を表す浮動小数点数alpha: 透明度を表す浮動小数点数各要素は0. 0から1. 0までの範囲で値を持ち、0.0は最小、1.0は最大値を表します。
Qt WidgetsにおけるQSystemTrayIcon::ActivationReasonの詳細解説
QSystemTrayIcon::ActivationReason は以下の値を持ちます。Unknown - アクティブ化の原因が不明Context - コンテキストメニューがトリガーされたDoubleClick - アイコンがダブルクリックされた
Qtでリストアイテムをカラフルに彩る: QListWidgetItem::setForeground()の使い方
QListWidgetItem::setForeground() は、Qt Widgets モジュールで提供される関数で、QListWidget アイテムの前景 (テキストの色) を設定するために使用されます。コード例引数color: 設定したい前景色の QColor オブジェクト
Qt Widgets: QTreeWidget デストラクタとは?
QTreeWidget::~QTreeWidget() は、Qt Widgets モジュールの QTreeWidget クラスのデストラクタです。これは、QTreeWidget オブジェクトがスコープを外れたり、明示的に削除されたりすると自動的に呼び出されます。デストラクタは、オブジェクトが占有していたメモリを解放し、関連するリソースをクリーンアップする責任を負います。