ロックを使用した共有カウンタのインクリメント

2024-04-27

Pythonにおけるスレッド化におけるロック、条件、セマフォアの使用(withステートメント)

ロックは、共有リソースへのアクセスを排他的に制御するために使用されます。スレッドがロックを取得すると、そのスレッドだけがリソースにアクセスできます。他のスレッドがロックを取得しようとすると、ブロックされます。ロックが解放されると、別のスレッドがロックを取得できるようになります。

Pythonでは、threading.Lock オブジェクトを使用してロックを作成できます。

from threading import Lock

lock = Lock()

def increment_counter():
    global counter
    with lock:
        counter += 1

threads = []
for _ in range(10):
    thread = threading.Thread(target=increment_counter)
    threads.append(thread)

for thread in threads:
    thread.start()

for thread in threads:
    thread.join()

print(counter)

この例では、lock というロックオブジェクトを作成し、increment_counter 関数内で使用しています。with ステートメントを使用すると、lock.acquire()lock.release() の呼び出しが自動的に行われます。これにより、コードが読みやすくなり、ロックを手動で取得および解放する必要がなくなります。

条件変数は、複数のスレッドが特定の条件を待機できるようにするものです。スレッドは、wait() メソッドを呼び出して条件変数を待機できます。条件が満たされたら、signal() または notify() メソッドを呼び出してスレッドをシグナル送信できます。

Pythonでは、threading.Condition オブジェクトを使用して条件変数を作成できます。

from threading import Condition

condition = Condition()

def producer():
    while True:
        with condition:
            condition.wait_for(lambda: item_count < max_items)
            produce_item()
            condition.signal()

def consumer():
    while True:
        with condition:
            condition.wait_for(lambda: item_count > 0)
            consume_item()
            condition.signal()

producer_thread = threading.Thread(target=producer)
consumer_thread = threading.Thread(target=consumer)

producer_thread.start()
consumer_thread.start()

producer_thread.join()
consumer_thread.join()

この例では、condition という条件変数を作成し、producer 関数と consumer 関数で使用しています。producer 関数は、item_countmax_items 未満になるまで待機してからアイテムを生成します。consumer 関数は、item_count が 0 より大きいになるまで待機してからアイテムを消費します。

セマフォアは、共有リソースへのアクセスを制限するために使用されます。セマフォアには、許可されたアクセス数のカウントが関連付けられています。スレッドがリソースにアクセスしようとすると、セマフォアからカウントを減らします。カウントが 0 の場合は、スレッドはブロックされます。リソースの使用が完了したら、スレッドはセマフォアのカウントを増やします。

Pythonでは、threading.Semaphore オブジェクトを使用してセマフォアを作成できます。

from threading import Semaphore

semaphore = Semaphore(max_connections)

def connect():
    with semaphore:
        # リソースにアクセスする
        pass

threads = []
for _ in range(10):
    thread = threading.Thread(target=connect)
    threads.append(thread)

for thread in threads:
    thread.start()

for thread in threads:
    thread.join()

この例では、semaphore というセマフォアを作成し、max_connections を許可されたアクセス数として設定しています。connect 関数は、セマフォアからカウントを減らしてから、リソースにアクセスします。リソースの使用が完了したら、connect 関数はセマフォアのカウントを増やします。

ロック、条件変数、セマフォアは、Pythonでスレッド化を使用する際に競合状態を回避するために使用できる同期プリミティブです。それぞれのプリミティブには異なる用途があるため、状況に応じて適切なものを選択する必要があります



Python スレッド化におけるロック、条件変数、セマフォアのサンプルコード

ロック

共有カウンタのインクリメント

この例では、複数のスレッドが共有カウンタを同時にインクリメントしようとすると発生する競合状態を、ロックを使用して解決する方法を示します。

from threading import Lock

lock = Lock()
counter = 0

def increment_counter():
    global counter
    with lock:
        counter += 1

threads = []
for _ in range(10):
    thread = threading.Thread(target=increment_counter)
    threads.append(thread)

for thread in threads:
    thread.start()

for thread in threads:
    thread.join()

print(counter)

出力:

10

説明:

  • lock というロックオブジェクトを作成します。
  • increment_counter 関数は、counter を 1 増やす処理を実行します。
  • with ステートメントを使用して、lock.acquire()lock.release() の呼び出しを自動化します。
  • 10 個のスレッドを作成し、それぞれ increment_counter 関数を実行します。
  • メインスレッドは、すべての子スレッドが終了するまで待機します。
  • カウンタの値は 10 であることを確認します。

条件変数

プロデューサとコンシューマ

この例では、条件変数を使用して、プロデューサスレッドとコンシューマスレッド間の同期を実現する方法を示します。プロデューサスレッドはアイテムを生成し、キューに格納します。コンシューマスレッドはキューからアイテムを取り出し、消費します。

from threading import Condition

condition = Condition()
item_queue = []
max_items = 10

def producer():
    while True:
        with condition:
            while len(item_queue) >= max_items:
                condition.wait()
            item = produce_item()
            item_queue.append(item)
            condition.signal()

def consumer():
    while True:
        with condition:
            while len(item_queue) == 0:
                condition.wait()
            item = item_queue.pop()
            consume_item(item)
            condition.signal()

producer_thread = threading.Thread(target=producer)
consumer_thread = threading.Thread(target=consumer)

producer_thread.start()
consumer_thread.start()

producer_thread.join()
consumer_thread.join()

説明:

  • condition という条件変数を作成します。
  • item_queue は、生成されたアイテムを格納するキューです。
  • max_items は、キューに格納できる最大アイテム数です。
  • producer 関数は、アイテムを生成し、キューに格納します。キューがいっぱいになると、condition.wait() を呼び出して待機します。アイテムが取り出されると、condition.signal() を呼び出してシグナルを送信します。
  • consumer 関数は、キューからアイテムを取り出し、消費します。キューが空になると、condition.wait() を呼び出して待機します。アイテムが格納されると、condition.signal() を呼び出してシグナルを送信します。

セマフォア

リソースへのアクセス制限

この例では、セマフォアを使用して、共有リソースへのアクセスを同時に許可できるスレッド数を制限する方法を示します。

from threading import Semaphore

semaphore = Semaphore(max_connections)

def connect():
    with semaphore:
        # リソースにアクセスする
        pass

threads = []
for _ in range(10):
    thread = threading.Thread(target=connect)
    threads.append(thread)

for thread in threads:
    thread.start()

for thread in threads:
    thread.join()

説明:

  • semaphore というセマフォアを作成し、max_connections を許可されたアクセス数として設定します。
  • connect 関数は、セマフォアからカウントを減らしてから、リソースにアクセスします。リソースの使用が完了したら、connect 関数はセマフォアのカウントを増やします。
  • 10 個のスレッドを作成し、それぞれ connect 関数を実行します。
  • メインスレッドは、すべての子


Python スレッド化におけるその他の同期プリミティブ

イベントは、スレッド間の非同期通信に使用できます。スレッドは、set() メソッドを使用してイベントをシグナル送信し、wait() メソッドを使用してイベントを待機できます。

from threading import Event

event = Event()

def worker():
    event.wait()
    # 処理を実行する

event.set()

worker_thread = threading.Thread(target=worker)
worker_thread.start()

worker_thread.join()

説明:

  • event というイベントオブジェクトを作成します。
  • worker 関数は、event.wait() を呼び出してイベントを待機します。イベントがシグナル送信されると、worker 関数は処理を実行します。
  • メインスレッドは、event.set() を呼び出してイベントをシグナル送信します。
  • worker_thread は、イベントがシグナル送信されるまで待機してから処理を実行します。

Barrier

バリアは、複数のスレッドが特定のポイントに到達するまで待機するために使用できます。すべてのスレッドがバリアに到達すると、すべてのスレッドが同時に続行できます。

from threading import Barrier

barrier = Barrier(2)

def worker():
    barrier.wait()
    # 処理を実行する

worker_thread1 = threading.Thread(target=worker)
worker_thread2 = threading.Thread(target=worker)

worker_thread1.start()
worker_thread2.start()

worker_thread1.join()
worker_thread2.join()

説明:

  • barrier というバリアオブジェクトを作成し、2 をスレッド数として設定します。
  • worker 関数は、barrier.wait() を呼び出してバリアを待機します。すべてのスレッドがバリアに到達すると、worker 関数は処理を実行します。
  • メインスレッドは、worker_thread1worker_thread2 を作成して開始します。
  • worker_thread1worker_thread2 は、バリアに到達するまで待機してから処理を実行します。

RLock は、再入可能なロックです。スレッドは、ロックを複数回取得できます。ロックが解放されるのは、すべての取得済みカウントが 0 になった場合のみです。

from threading import RLock

lock = RLock()

def worker():
    with lock:
        # 処理を実行する
        lock.acquire()
        # 再入可能な処理を実行する
        lock.release()

worker_thread = threading.Thread(target=worker)
worker_thread.start()

worker_thread.join()

説明:

  • lock という RLock オブジェクトを作成します。
  • worker 関数は、with lock: ステートメントを使用してロックを取得します。ロックが解放されるのは、worker 関数が終了したとき、または lock.release() を明示的に呼び出したときのみです。
  • worker 関数は、ロックを使用して共有リソースにアクセスします。
  • lock.acquire() を呼び出してロックを再取得し、再入可能な処理を実行します。
  • lock.release() を呼び出してロックを解放します。

上記の同期プリミティブに加えて、Pythonには以下のようなものもあります。

  • Mutex
  • SemaphoreSlim
  • BoundedSemaphore
  • Queues
  • Pipes

これらの同期プリミティブは、それぞれ異なる用途に適しています。状況に応じて適切なものを選択する必要があります。

Pythonには、スレッド化における競合状態を回避するために使用できるさまざまな同期プリミティブが用意されています。ロック、条件変数、セマフォアは、最も基本的な同期プリミティブです。イベント、バリア、RLock などの他の同期プリミティブは、より高度な同期ニーズに対応するために使用できます。

これらの同期プリミティブを理解することで、Pythonで安全で効率的なマルチスレッド プログラムを作成することができます。




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