PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse 解説

2024-04-02

PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse 解説

PyTorch の torch.Tensor には、torch.Tensor.inverse というメソッドがあり、これは 逆行列計算 を実行するために使用されます。

逆行列とは、元の行列と掛けると単位行列になるような行列です。単位行列とは、対角線上の要素がすべて 1 で、それ以外の要素がすべて 0 である行列です。

torch.Tensor.inverse は、以下の引数を受け取ります。

  • input: 逆行列を求めたい行列
  • out: 結果を格納するテンソル (オプション)

以下のコードは、torch.Tensor.inverse を使って 2x2 行列の逆行列を求める例です。

import torch

# 2x2 行列を作成
input = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]])

# 逆行列を求める
inverse = input.inverse()

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[-2.  1. ]
#        [ 1.5 -0.5]])

注意事項

  • torch.Tensor.inverse は、正方行列に対してのみ使用できます。
  • 入力行列が非正則行列 (逆行列が存在しない行列) の場合、エラーが発生します。
  • 逆行列計算は、数値的に不安定な場合があり、結果が正確でない可能性があります。

補足

  • torch.Tensor.inverse は、LU 分解や QR 分解などのアルゴリズムを使用して逆行列を計算します。
  • より効率的な逆行列計算方法としては、共役勾配法やランチョス法などがあります。
  • PyTorch には、torch.linalg.inv という逆行列計算専用の関数も用意されています。


PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse サンプルコード

単位行列の逆行列

import torch

# 単位行列を作成
input = torch.eye(3)

# 逆行列を求める
inverse = input.inverse()

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
#        [0., 1., 0.],
#        [0., 0., 1.]])

非正則行列の逆行列

import torch

# 非正則行列を作成
input = torch.tensor([[1, 2], [2, 4]])

# 逆行列を求める
try:
    inverse = input.inverse()
except RuntimeError as e:
    print(e)

# 出力:
# RuntimeError: Input matrix is not invertible.

逆行列を使って連立方程式を解く

import torch

# 連立方程式の係数行列を作成
A = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]])

# 右辺ベクトルを作成
b = torch.tensor([5, 7])

# 逆行列を使って解ベクトルを求める
x = torch.matmul(A.inverse(), b)

# 解ベクトルを出力
print(x)

# 出力:
# tensor([-1.,  2.])

バッチ処理で逆行列を求める

import torch

# バッチサイズ 2 の 3x3 行列を作成
input = torch.randn(2, 3, 3)

# バッチ処理で逆行列を求める
inverse = input.inverse()

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[[ 0.9053, -0.1713,  0.3335],
#         [-0.0526,  0.9808, -0.1882],
#         [ 0.0263,  0.1541,  0.9878]],

#        [[ 0.7071, -0.1414,  0.7071],
#         [-0.1414,  0.9899, -0.1414],
#         [ 0.7071,  0.1414,  0.7071]]])

共役勾配法による逆行列計算

import torch
from torch.linalg import inv_c

# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])

# 共役勾配法を使って逆行列を求める
inverse = inv_c(A)

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
#        [-0.125,  0.375]])

ランチョス法による逆行列計算

import torch
from torch.linalg import inv_r

# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])

# ランチョス法を使って逆行列を求める
inverse = inv_r(A)

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
#        [-0.125,  0.375]])


PyTorch Tensor の逆行列計算:その他の方法

LU 分解

import torch
from torch.linalg import lu

# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])

# LU 分解を行う
lu_result = lu(A)

# LU 分解の結果を使って逆行列を求める
inverse = torch.triangular_solve(lu_result.L, lu_result.U, torch.eye(2))

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
#        [-0.125,  0.375]])

QR 分解は、行列を直交行列と上三角行列の積に分解する方法です。逆行列は、QR 分解の結果を使って効率的に計算できます。

import torch
from torch.linalg import qr

# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])

# QR 分解を行う
qr_result = qr(A)

# QR 分解の結果を使って逆行列を求める
inverse = torch.triangular_solve(qr_result.R, qr_result.Q.transpose(-1, -2), torch.eye(2))

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
#        [-0.125,  0.375]])

NumPy は、Python で科学計算を行うためのライブラリです。PyTorch と NumPy は相互変換が可能ですので、NumPy の linalg.inv 関数を使って逆行列を求めることもできます。

import numpy as np
import torch

# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])

# NumPy に変換
A_numpy = A.numpy()

# NumPy の `linalg.inv` 関数を使って逆行列を求める
inverse_numpy = np.linalg.inv(A_numpy)

# NumPy から PyTorch に変換
inverse = torch.from_numpy(inverse_numpy)

# 結果を出力
print(inverse)

# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
#        [-0.125,  0.375]])

ライブラリの利用

Eigen や Intel MKL などのライブラリは、高速な逆行列計算を提供しています。これらのライブラリを PyTorch と連携して使用することもできます。

PyTorch Tensor の逆行列計算には、torch.Tensor.inverse メソッド以外にも様々な方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、状況に応じて使い分けることが重要です。




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