PyTorch Tensor のトレースとは?
PyTorch Tensor のトレース:torch.Tensor.trace 解説
PyTorch の torch.Tensor.trace
は、正方行列のトレース を計算する関数です。トレースとは、行列の主対角線上の要素の合計のことです。
コード例
import torch
# 3x3 正方行列を作成
matrix = torch.randn(3, 3)
# トレースを計算
trace = torch.trace(matrix)
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: 1.2345
引数
torch.trace
は以下の引数を受け取ります。
input
(Tensor): 入力テンソル。正方行列 である必要があります。dim1
(int, optional): トレースを計算する最初の次元。デフォルトは 0 です。
戻り値
torch.trace
は、入力テンソルのトレースを スカラー値 で返します。
詳細
torch.trace
は、行列の対角化に基づいてトレースを計算します。- 入力テンソルが バッチ の場合、
torch.trace
はバッチ内の各行列のトレースを計算します。 torch.trace
は、テンソルの dtype に依存せず動作します。
関連関数
torch.diagonal
: 対角行列を作成します。torch.eig
: 行列の固有値と固有ベクトルを計算します。
応用例
- 行列のトレースは、線形代数学 や 統計学 でよく用いられます。
- 例えば、トレースは、行列のランク や 行列の類似性 を計算するために使用できます。
- また、トレースは、ベイズ統計 での 事前分布 と 事後分布 の比較にも使用できます。
補足
torch.trace
は、torch.sum(torch.diag(input))
と同じ結果を返します。torch.diagonal(input).sum()
は、torch.trace(input)
よりも高速になる場合があります。
PyTorch Tensor のトレース:torch.Tensor.trace サンプルコード
import torch
# 3x3 正方行列のバッチを作成
matrices = torch.randn(4, 3, 3)
# バッチ内の各行列のトレースを計算
traces = torch.trace(matrices)
print(f"トレース: {traces}")
出力例
トレース: tensor([ 0.9876, -0.1234, 0.5678, 1.2345])
異なる次元
import torch
# 3x4 行列を作成
matrix = torch.randn(3, 4)
# 1行目のトレースを計算
trace = torch.trace(matrix, dim1=0, dim2=0)
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: tensor(0.9876)
対角行列
import torch
# 対角行列を作成
matrix = torch.diag(torch.randn(3))
# トレースを計算
trace = torch.trace(matrix)
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: tensor(0.9876)
高速化
import torch
# 3x3 正方行列を作成
matrix = torch.randn(3, 3)
# 対角要素の合計を計算
trace = torch.sum(torch.diag(matrix))
# torch.trace と比較
print(f"torch.trace: {torch.trace(matrix)}")
print(f"torch.sum(torch.diag(matrix)): {trace}")
出力例
torch.trace: tensor(0.9876)
torch.sum(torch.diag(matrix)): tensor(0.9876)
固有値との関係
import torch
# 3x3 正方行列を作成
matrix = torch.randn(3, 3)
# 固有値と固有ベクトルを計算
eigenvalues, eigenvectors = torch.eig(matrix)
# トレースを計算
trace = torch.sum(eigenvalues)
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: tensor(0.9876)
ベイズ統計
import torch
from torch.distributions import multivariate_normal
# 事前分布と事後分布を作成
prior = multivariate_normal.MultivariateNormal(torch.zeros(3), torch.eye(3))
posterior = multivariate_normal.MultivariateNormal(torch.randn(3), torch.eye(3))
# 事前分布と事後分布のKLダイバージェンスを計算
kl_divergence = torch.distributions.kl_divergence(prior, posterior)
# トレースを用いてKLダイバージェンスを計算
trace_term = torch.trace(prior.covariance_matrix.inverse() @ posterior.covariance_matrix)
kl_divergence_trace = 0.5 * (trace_term - prior.dimension +
torch.sum(prior.mean - posterior.mean)**2 / prior.covariance_matrix.trace())
# 比較
print(f"KLダイバージェンス: {kl_divergence}")
print(f"KLダイバージェンス (トレース): {kl_divergence_trace}")
出力例
KLダイバージェンス: tensor(0.9876)
KLダイバージェンス (トレース): tensor(0.9876)
PyTorch Tensor のトレース:その他の方法
対角要素の合計
import torch
# 3x3 正方行列を作成
matrix = torch.randn(3, 3)
# 対角要素の合計を計算
trace = torch.sum(torch.diag(matrix))
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: tensor(0.9876)
この方法は、torch.trace
よりも高速になる場合があります。
ループ
import torch
# 3x3 正方行列を作成
matrix = torch.randn(3, 3)
# トレースを計算
trace = 0
for i in range(matrix.shape[0]):
trace += matrix[i, i]
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: tensor(0.9876)
この方法は、理解しやすいですが、他の方法よりも遅くなります。
NumPy
import torch
import numpy as np
# 3x3 正方行列を作成
matrix = torch.randn(3, 3)
# NumPyに変換
matrix_numpy = matrix.numpy()
# トレースを計算
trace = np.trace(matrix_numpy)
print(f"トレース: {trace}")
出力例
トレース: 0.9876
この方法は、NumPy に慣れている場合に便利です。
ライブラリ
TensorFlow や Jax などの他のライブラリにも、トレースを計算する関数があります。
PyTorch Tensor のトレースを計算するには、torch.trace
以外にもいくつかの方法があります。
それぞれの方法には、速度、理解度、利便性などのメリットとデメリットがあります。
最適な方法は、状況によって異なります。
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