線形代数ライブラリtorch.linalgの秘密兵器:torch.linalg.luの全貌

2024-04-02

PyTorch の Linear Algebra における torch.linalg.lu の詳細解説

この解説では、torch.linalg.lu の詳細な使い方と、その応用例について説明します。

torch.linalg.lu は、入力行列 A を下三角行列 L と上三角行列 U に分解します。この関数は以下の式で表されます。

A = L * U

ここで、L は対角成分が全て 1 の下三角行列、U は上三角行列です。

torch.linalg.lu は、以下の引数を受け取ります。

  • input (Tensor): 入力行列 A
  • pivot (bool, optional): デフォルトは True。LU分解の際にピボット選択を行うかどうかを指定します。ピボット選択を行うと、数値的に安定した計算が行えます。
  • compute_pivots (bool, optional): デフォルトは False。ピボット情報を出力するかどうかを指定します。

torch.linalg.lu は、以下の出力値を返します。

  • lu (Tensor): LU分解結果の行列 LU を結合した行列。最初の n 行が L 、残りの行が U となります。
  • pivots (Tensor, optional): ピボット情報。compute_pivotsTrue の場合のみ出力されます。

torch.linalg.lu は、以下のコードのように使用できます。

import torch

# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)

# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A, pivot=True, compute_pivots=True)

# 下三角行列
L = lu[:3, :]

# 上三角行列
U = lu[3:, :]

# ピボット情報
pivots = pivots

# 確認
print(torch.matmul(L, U) == A)  # True

このコードでは、3x3 のランダム行列 A をLU分解し、下三角行列 L 、上三角行列 U 、ピボット情報 pivots を取得しています。

torch.linalg.lu は、以下の様な場面で利用できます。

  • 線形方程式の解法: LU分解を用いると、線形方程式 Ax=b を効率的に解くことができます。
  • 逆行列の計算: LU分解を用いると、逆行列を効率的に計算することができます。
  • QR分解: LU分解を用いると、QR分解を効率的に計算することができます。

その他

torch.linalg.lu は、CUDA に対応しており、GPU 上で高速に実行できます。

詳細は、PyTorch の公式ドキュメント torch.linalg.lu: https://pytorch.org/docs/stable/generated/torch.linalg.lu.html を参照してください。

補足

  • torch.linalg.lu は、PyTorch 1.8 以降で利用可能です。
  • PyTorch 1.7 以前では、torch.solve を用いてLU分解を行うことができました。

torch.linalg.lu は、PyTorch の Linear Algebra における重要な機能の一つであり、行列のLU分解を行うための関数です。LU分解は、線形方程式の解法や逆行列の計算など、様々な場面で利用されます。

この解説を参考に、torch.linalg.lu を理解し、様々な場面で活用してください。



PyTorch torch.linalg.lu のサンプルコード

基本的な使い方

import torch

# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)

# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)

# 下三角行列
L = lu[:3, :]

# 上三角行列
U = lu[3:, :]

# 確認
print(torch.matmul(L, U) == A)  # True

このコードは、3x3 のランダム行列 A をLU分解し、下三角行列 L 、上三角行列 U 、ピボット情報 pivots を取得しています。

線形方程式の解法

import torch

# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)

# 右辺ベクトル
b = torch.randn(3)

# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)

# 解の計算
x = torch.linalg.solve(lu, b, pivots=pivots)

# 確認
print(torch.matmul(A, x) == b)  # True

このコードは、LU分解を用いて線形方程式 Ax=b を解いています。

逆行列の計算

import torch

# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)

# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)

# 逆行列の計算
inv_A = torch.linalg.inv(lu, pivots=pivots)

# 確認
print(torch.matmul(A, inv_A) == torch.eye(3))  # True

このコードは、LU分解を用いて逆行列を計算しています。

行列式の計算

import torch

# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)

# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)

# 行列式の計算
det_A = torch.linalg.det(lu, pivots=pivots)

# 確認
print(det_A != 0)  # True

このコードは、LU分解を用いて行列式を計算しています。

QR分解

import torch

# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)

# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)

# QR分解
Q, R = torch.linalg.qr(lu, pivots=pivots)

# 確認
print(torch.matmul(Q, R) == A)  # True

このコードは、LU分解を用いてQR分解を計算しています。

これらのサンプルコードは、torch.linalg.lu の使い方を理解するための参考としてください。

  • 上記のサンプルコードは、PyTorch 1.8 以降で実行できます。

torch.linalg.lu は、PyTorch の Linear Algebra における重要な機能の一つであり、行列のLU分解を行うための関数です。LU分解は、線形方程式の解法や逆行列の計算など、様々な場面で利用されます。

この解説とサンプルコードを参考に、torch.linalg.lu を理解し、様々な場面で活用してください。



LU分解を行う他の方法

ガウス消去法は、LU分解を行うための古典的な方法です。この方法は、以下の手順で行います。

  1. 行列の各行を、最初の要素が 1 になるように変形します。
  2. 1 行目の要素を用いて、2 行目以下の要素を消去します。
  3. ...

この手順を繰り返すことで、行列を下三角行列と上三角行列の積に分解することができます。

ガウス消去法は、実装が簡単であるというメリットがありますが、計算量が大きくなるというデメリットがあります。

ドゥーリトル法は、LU分解を行うための効率的な方法です。この方法は、以下の手順で行います。

この手順を繰り返すことで、行列を下三角行列と上三角行列の積に分解することができます。

ドゥーリトル法は、ガウス消去法よりも計算量が少なく、効率的にLU分解を行うことができます。

クルツキー法は、LU分解を行うための並列化に適した方法です。この方法は、以下の手順で行います。

  1. 行列を小さなブロックに分割します。
  2. 各ブロックをLU分解します。
  3. 各ブロックのLU分解結果を用いて、全体行列のLU分解を行います。

クルツキー法は、並列化に適しているというメリットがありますが、実装が複雑であるというデメリットがあります。

LU分解を行う方法はいくつかあります。それぞれの特徴を理解して、目的に合った方法を選択する必要があります。

補足

  • 上記の方法は、すべて CPU 上で実行できます。
  • GPU 上でLU分解を行う場合は、torch.linalg.lu を使用するのがおすすめです。



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