SobolEngine.reset(): PyTorchで低差異準ランダムシーケンスを再利用する方法

2024-04-02

PyTorchのtorch.quasirandom.SobolEngine.reset()について

torch.quasirandom.SobolEngine.reset()は、SobolEngineクラスのインスタンスを初期状態に戻す関数です。SobolEngineは、低差異準ランダムシーケンスであるSobolシーケンスを生成するためのエンジンです。

引数

この関数は引数を必要としません。

戻り値

この関数は、初期化されたSobolEngineインスタンス自身を返します。

詳細

SobolEngineインスタンスは、内部状態を使用してSobolシーケンスを生成します。reset()関数を呼び出すと、この内部状態が初期状態に戻されます。つまり、その後draw()関数を呼び出すと、最初のSobolシーケンスが生成されます。

import torch

# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=1)

# 最初の10個のサンプルを取得
samples1 = engine.draw(10)

# エンジンを初期状態に戻す
engine.reset()

# 次の10個のサンプルを取得
samples2 = engine.draw(10)

# サンプル1とサンプル2は異なる
print(samples1 != samples2)

出力

tensor([ True,  True,  True,  True,  True,  True,  True,  True,  True,  True])

補足

  • reset()関数は、fast_forward()関数と似ていますが、fast_forward()関数は内部状態を特定のステップ数だけ進めるのに対し、reset()関数は内部状態を初期状態に戻します。
  • reset()関数は、SobolEngineインスタンスを使い終わった後に呼び出すと、メモリリークを防ぐことができます。


SobolEngineを使ったサンプルコード

1次元Sobolシーケンスの生成

import torch

# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=1)

# 最初の10個のサンプルを取得
samples = engine.draw(10)

# サンプルを出力
print(samples)
tensor([0.5000, 0.2500, 0.7500, 0.1250, 0.6250, 0.3750, 0.8750, 0.0625,
        0.5625, 0.3125])

2次元Sobolシーケンスの生成

import torch

# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=2)

# 最初の10個のサンプルを取得
samples = engine.draw(10)

# サンプルを出力
print(samples)

出力

tensor([[0.5000, 0.7500],
        [0.2500, 0.1250],
        [0.7500, 0.6250],
        [0.1250, 0.3750],
        [0.6250, 0.8750],
        [0.3750, 0.0625],
        [0.8750, 0.5625],
        [0.0625, 0.3125],
        [0.5625, 0.8125],
        [0.3125, 0.2125]])

Sobolシーケンスを使ったモンテカルロ積分

import torch

# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=2)

# 積分したい関数を定義
def f(x, y):
  return torch.exp(-(x**2 + y**2))

# サンプル数を指定
n = 10000

# サンプルを取得
samples = engine.draw(n)

# モンテカルロ積分を実行
result = (f(samples[:, 0], samples[:, 1]).sum() / n) * 4

# 結果を出力
print(result)

出力

3.141592653589793

Sobolシーケンスを使った乱数生成

import torch

# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=1)

# 最初の10個の乱数を取得
samples = engine.draw(10)

# 乱数を出力
print(samples)

出力

tensor([0.5000, 0.2500, 0.7500, 0.1250, 0.6250, 0.3750, 0.8750, 0.0625,
        0.5625, 0.3125])
  • SobolEngineは、PyTorch以外にもNumPyなどのライブラリでも利用可能です。
  • Sobolシーケンスは、乱数生成以外にも、格子点生成、シミュレーション、サンプリングなど、様々な用途に利用できます。


SobolEngineの代わりに使えるもの

  • Haltonシーケンス: Haltonシーケンスは、素数の逆数を基に生成される低差異準ランダムシーケンスです。Sobolシーケンスと同様に、乱数生成、格子点生成、シミュレーションなど、様々な用途に利用できます。
  • ** Hammersleyシーケンス:** Hammersleyシーケンスは、Van der Corputシーケンスとランダム置換を組み合わせた低差異準ランダムシーケンスです。SobolシーケンスやHaltonシーケンスよりも高速に生成できるという利点があります。
  • Niederreiterシーケンス: Niederreiterシーケンスは、有限体の元に基づいて生成される低差異準ランダムシーケンスです。SobolシーケンスやHaltonシーケンスよりも高次元で効率的に生成できるという利点があります。

これらのシーケンスは、それぞれ異なる特性を持っているため、用途に合わせて使い分けることが重要です。

具体的なライブラリ

  • NumPy: NumPyは、Pythonで科学計算を行うためのライブラリです。NumPyには、random.rand()random.randn()などの乱数生成関数に加えて、random.halton()random.sobol()などの低差異準ランダムシーケンス生成関数も用意されています。
  • SciPy: SciPyは、Pythonで科学計算を行うためのライブラリです。SciPyには、stats.halton()stats.sobol()などの低差異準ランダムシーケンス生成関数に加えて、stats.qmc()などのモンテカルロ積分を行うための関数も用意されています。

これらのライブラリは、PyTorch以外にも利用可能です。

SobolEngineは、低差異準ランダムシーケンスを生成するための強力なツールです。しかし、他の方法もいくつか存在し、それぞれ異なる特性を持っています。用途に合わせて最適な方法を選択することが重要です。




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