Qt WidgetsにおけるQDataWidgetMapper::toLast()徹底解説

2024-04-10

Qt WidgetsにおけるQDataWidgetMapper::toLast()解説

QDataWidgetMapper::toLast()は、Qt Widgets モジュールのデータモデルとウィジェット間のマッピングを扱うクラスQDataWidgetMapperのメソッドです。このメソッドは、マッピングされているデータモデル内の最後のレコードに関連付けられたウィジェットにフォーカスを移動します。

使用方法

QDataWidgetMapper::toLast()を使用するには、以下の手順が必要です。

  1. QDataWidgetMapperオブジェクトを作成します。
  2. マッピングするデータモデルを設定します。
  3. マッピングするウィジェットを設定します。
  4. toLast()メソッドを呼び出します。

以下のコードは、QDataWidgetMapper::toLast()を使用する例です。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // データモデルの作成
  QStandardItemModel model;
  model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "Name" << "Age");

  // データの追加
  model.appendRow(new QStandardItem("John"));
  model.appendRow(new QStandardItem("Jane"));

  // ウィジェットの作成
  QLineEdit nameEdit;
  QSpinBox ageEdit;

  // データモデルとウィジェットのマッピング
  QDataWidgetMapper mapper;
  mapper.setModel(&model);
  mapper.addMapping(&nameEdit, 0);
  mapper.addMapping(&ageEdit, 1);

  // 最後のレコードにフォーカスを移動
  mapper.toLast();

  // ウィジェットの表示
  nameEdit.show();
  ageEdit.show();

  return app.exec();
}

このコードでは、まずQStandardItemModelというデータモデルを作成し、そこに2つのレコードを追加します。次に、QLineEditとQSpinBoxという2つのウィジェットを作成します。そして、QDataWidgetMapperオブジェクトを作成し、データモデルとウィジェットをマッピングします。最後に、toLast()メソッドを呼び出すことで、最後のレコードに関連付けられたウィジェットであるageEditにフォーカスを移動します。

QDataWidgetMapper::toLast()メソッドの詳細については、以下のQtドキュメントを参照してください。

補足

  • QDataWidgetMapper::toLast()メソッドは、データモデル内にレコードがない場合は何もしません。
  • QDataWidgetMapper::toLast()メソッドは、現在のレコードインデックスを最後のレコードインデックスに設定します。
  • QDataWidgetMapper::toLast()メソッドは、currentChanged()シグナルを発行します。


QDataWidgetMapper::toLast()を使用したサンプルコード

複数のウィジェットを同時に更新

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // データモデルの作成
  QStandardItemModel model;
  model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "Name" << "Age");

  // データの追加
  model.appendRow(new QStandardItem("John"));
  model.appendRow(new QStandardItem("Jane"));

  // ウィジェットの作成
  QLineEdit nameEdit;
  QSpinBox ageEdit;
  QLabel statusLabel;

  // データモデルとウィジェットのマッピング
  QDataWidgetMapper mapper;
  mapper.setModel(&model);
  mapper.addMapping(&nameEdit, 0);
  mapper.addMapping(&ageEdit, 1);
  mapper.addMapping(&statusLabel, 2); // 追加: ステータスラベル

  // 最後のレコードにフォーカスを移動
  mapper.toLast();

  // ウィジェットの表示
  nameEdit.show();
  ageEdit.show();
  statusLabel.show();

  return app.exec();
}

カスタマイズされた更新処理

#include <QtWidgets>

class MyMapper : public QDataWidgetMapper {
  Q_OBJECT
public:
  MyMapper(QWidget *parent = nullptr) : QDataWidgetMapper(parent) {}

protected:
  void toLast() override {
    QDataWidgetMapper::toLast();

    // 最後のレコードにフォーカスを移動した後の処理

    // 例:ステータスラベルにメッセージを表示
    QLineEdit *nameEdit = qobject_cast<QLineEdit*>(mappedWidgetAt(0));
    QLabel *statusLabel = qobject_cast<QLabel*>(mappedWidgetAt(2));
    if (nameEdit && statusLabel) {
      statusLabel->setText("最後のレコード:" + nameEdit->text());
    }
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // データモデルの作成
  QStandardItemModel model;
  model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "Name" << "Age");

  // データの追加
  model.appendRow(new QStandardItem("John"));
  model.appendRow(new QStandardItem("Jane"));

  // ウィジェットの作成
  QLineEdit nameEdit;
  QSpinBox ageEdit;
  QLabel statusLabel;

  // カスタマイズされたマッパーの作成
  MyMapper mapper;
  mapper.setModel(&model);
  mapper.addMapping(&nameEdit, 0);
  mapper.addMapping(&ageEdit, 1);
  mapper.addMapping(&statusLabel, 2);

  // 最後のレコードにフォーカスを移動
  mapper.toLast();

  // ウィジェットの表示
  nameEdit.show();
  ageEdit.show();
  statusLabel.show();

  return app.exec();
}

このコードでは、QDataWidgetMapper::toLast()をカスタマイズして、最後のレコードにフォーカスを移動した後、追加の処理を実行します。この例では、statusLabelに最後のレコードの名前を表示しています。

その他のサンプル

  • ソートされたデータモデルの最後のレコードにフォーカスを移動する
  • 特定の条件に合致する最初のレコードにフォーカスを移動する
  • 現在のレコードインデックスに基づいて、ボタンの状態を更新する

これらのサンプルコードは、QDataWidgetMapper::toLast()メソッドの使い方を理解するのに役立ちます。



QDataWidgetMapper::toLast() 以外の方法

QAbstractItemModel::index() メソッド

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // データモデルの作成
  QStandardItemModel model;
  model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "Name" << "Age");

  // データの追加
  model.appendRow(new QStandardItem("John"));
  model.appendRow(new QStandardItem("Jane"));

  // 最後のレコードのインデックスを取得
  QModelIndex index = model.index(model.rowCount() - 1, 0);

  // ウィジェットにフォーカスを移動
  QItemDelegate *delegate = model.itemDelegate();
  if (delegate) {
    delegate->setFocus(index, Qt::FocusReason::OtherFocusReason);
  }

  return app.exec();
}

このコードでは、QAbstractItemModel::index() メソッドを使用して、データモデル内の最後のレコードのインデックスを取得します。そして、QItemDelegate::setFocus() メソッドを使用して、そのインデックスに関連付けられたウィジェットにフォーカスを移動します。

QListView::scrollToBottom() メソッド

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // データモデルの作成
  QStandardItemModel model;
  model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "Name" << "Age");

  // データの追加
  model.appendRow(new QStandardItem("John"));
  model.appendRow(new QStandardItem("Jane"));

  // リストビューの作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // リストビューを最後のレコードにスクロール
  listView.scrollToBottom();

  return app.exec();
}

このコードでは、QListView::scrollToBottom() メソッドを使用して、リストビューを最後のレコードにスクロールします。

その他の方法

  • QAbstractItemView::setCurrentIndex() メソッド
  • QAbstractScrollArea::ensureVisible() メソッド
  • カスタムコード

これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。




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