Qt Widgets: QDockWidget::changeEvent() とは？

Qt Widgets: QDockWidget::changeEvent() の詳細解説

QDockWidget::changeEvent() は、ドックウィジェットの状態変化を処理する仮想関数です。ウィジェットのサイズ変更、移動、ドッキング、フロート化などのイベントを受け取り、それに応じた処理を実行できます。

イベントの種類

changeEvent() は、さまざまな種類のイベントを受け取ることができます。主なイベントは以下の通りです。

• QEvent::SizeChange: ウィジェットのサイズが変更されたとき
• QEvent::Move: ウィジェットが移動されたとき
• QEvent::Show: ウィジェットが表示されたとき
• QEvent::Hide: ウィジェットが非表示になったとき
• QEvent::WindowActivate: ウィジェットがアクティブになったとき
• QEvent::DockWidgetAreaChanged: ウィジェットのドッキング領域が変更されたとき
• QEvent::Floating: ウィジェットがフロート化されたとき

イベント処理

changeEvent() では、イベントタイプを引数として受け取り、それに応じた処理を実行する必要があります。イベント処理の例は以下の通りです。

void QDockWidget::changeEvent(QEvent *event)
{
  switch (event->type()) {
  case QEvent::SizeChange:
    // ウィジェットのサイズ変更処理
    break;
  case QEvent::Move:
    // ウィジェットの移動処理
    break;
  case QEvent::Show:
    // ウィジェット表示処理
    break;
  case QEvent::Hide:
    // ウィジェット非表示処理
    break;
  case QEvent::WindowActivate:
    // ウィジェットアクティブ化処理
    break;
  case QEvent::WindowDeactivate:
    // ウィジェット非アクティブ化処理
    break;
  case QEvent::DockWidgetAreaChanged:
    // ウィジェットドッキング領域変更処理
    break;
  case QEvent::Floating:
    // ウィジェットフロート化処理
    break;
  default:
    // その他のイベント処理
    break;
  }
}

イベント処理の注意点

• イベント処理は、できるだけ軽量に行うようにする必要があります。重い処理を行うと、ウィジェットの動作が遅くなる可能性があります。
• イベント処理中に、他のウィジェットへの影響を与えないようにする必要があります。
• イベント処理中に、QDockWidget の状態を変更する場合は、update() や repaint() などの関数を使用して、ウィジェットの再描画を呼び出す必要があります。

QDockWidget::changeEvent() は、ドックウィジェットの動作をカスタマイズするための強力なツールです。イベント処理を理解することで、さまざまな機能を実装することができます。

補足

• 上記のコード例は、基本的なイベント処理の例です。実際の処理は、アプリケーションの要件に応じて変更する必要があります。
• QDockWidget クラスには、changeEvent() 以外にもさまざまな仮想関数があります。これらの関数は、ドックウィジェットの動作をさらにカスタマイズするために使用できます。

Qt Widgets: QDockWidget::changeEvent() サンプルコード

ウィジェットのサイズ変更時にタイトルバーのテキストを変更する

void QDockWidget::changeEvent(QEvent *event)
{
  if (event->type() == QEvent::SizeChange) {
    // ウィジェットの幅を取得
    int width = this->width();

    // タイトルバーのテキストを設定
    this->setWindowTitle(QString("幅: %1").arg(width));
  } else {
    // その他のイベント処理
  }
}

ウィジェットがドッキングされた時に背景色を変更する

void QDockWidget::changeEvent(QEvent *event)
{
  if (event->type() == QEvent::DockWidgetAreaChanged) {
    // ドッキング領域を取得
    Qt::DockWidgetArea area = this->dockWidgetArea();

    // ドッキング領域に応じて背景色を設定
    if (area == Qt::LeftDockWidgetArea) {
      this->setStyleSheet("background-color: red;");
    } else if (area == Qt::RightDockWidgetArea) {
      this->setStyleSheet("background-color: green;");
    } else {
      this->setStyleSheet("background-color: white;");
    }
  } else {
    // その他のイベント処理
  }
}

ウィジェットがフロート化された時にツールバーを表示する

void QDockWidget::changeEvent(QEvent *event)
{
  if (event->type() == QEvent::Floating) {
    // ツールバーを取得
    QToolBar *toolbar = this->findChild<QToolBar *>();

    // ツールバーを表示
    toolbar->setVisible(true);
  } else {
    // その他のイベント処理
  }
}

ウィジェットが非表示になった時にデータを保存する

void QDockWidget::changeEvent(QEvent *event)
{
  if (event->type() == QEvent::Hide) {
    // データを保存
    // ...

    // ウィジェットを非表示にする
    this->hide();
  } else {
    // その他のイベント処理
  }
}

上記は、QDockWidget::changeEvent() を使用して実装できるサンプルコードです。これらのコードを参考に、アプリケーションの要件に合わせた処理を実装することができます。

QDockWidgetの状態変化を処理する他の方法

シグナルとスロット

QDockWidget クラスは、状態変化に関するいくつかのシグナルを提供しています。これらのシグナルにスロットを接続することで、状態変化に応じて処理を実行できます。

主なシグナルは以下の通りです。

• dockLocationChanged(Qt::DockWidgetArea): ドッキング領域が変更されたとき
• visibilityChanged(bool): ウィジェットの表示状態が変更されたとき
• topLevelChanged(bool): ウィジェットがトップレベルウィジェットになった/ならなくなったとき
• floatingChanged(bool): ウィジェットがフロート化された/フロート解除されたとき

例:

class MyMainWindow : public QMainWindow {
  Q_OBJECT

public:
  MyMainWindow() {
    // ドックウィジェットを作成
    QDockWidget *dockWidget = new QDockWidget(this);

    // ドッキング領域変更シグナルにスロットを接続
    connect(dockWidget, &QDockWidget::dockLocationChanged, this, &MyMainWindow::onDockLocationChanged);

    // 表示状態変更シグナルにスロットを接続
    connect(dockWidget, &QDockWidget::visibilityChanged, this, &MyMainWindow::onVisibilityChanged);
  }

private slots:
  void onDockLocationChanged(Qt::DockWidgetArea area) {
    // ドッキング領域が変更された時の処理
  }

  void onVisibilityChanged(bool visible) {
    // 表示状態が変更された時の処理
  }
};

QObject::eventFilter() は、オブジェクトに送信されるすべてのイベントを処理する仮想関数です。この関数をオーバーライドすることで、QDockWidget 以外のオブジェクトの状態変化を処理することもできます。

例:

class MyEventFilter : public QObject {
  Q_OBJECT

public:
  bool eventFilter(QObject *object, QEvent *event) override {
    if (object->isWidgetType() && event->type() == QEvent::Show) {
      // ウィジェットが表示された時の処理
    }

    return QObject::eventFilter(object, event);
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // イベントフィルタを作成
  MyEventFilter *eventFilter = new MyEventFilter();

  // ウィジェットにイベントフィルタをインストール
  QWidget *widget = new QWidget();
  widget->installEventFilter(eventFilter);

  // ウィジェットを表示
  widget->show();

  return app.exec();
}

タイマーを使用して、定期的にウィジェットの状態をチェックすることもできます。

例:

class MyMainWindow : public QMainWindow {
  Q_OBJECT

public:
  MyMainWindow() {
    // ドックウィジェットを作成
    QDockWidget *dockWidget = new QDockWidget(this);

    // タイマーを作成
    QTimer *timer = new QTimer(this);
    timer->setInterval(1000); // 1秒間隔

    // タイマーにスロットを接続
    connect(timer, &QTimer::timeout, this, &MyMainWindow::onTimerTimeout);

    // タイマーを開始
    timer->start();
  }

private slots:
  void onTimerTimeout() {
    // ドックウィジェットの状態をチェック
    // ...
  }
};

どの方法を選択するべきかは、アプリケーションの要件と開発者の好みによって異なります。

• シグナルとスロットは、最もシンプルで使いやすい方法です。
• QObject::eventFilter() は、より柔軟な方法です。
• タイマーは、定期的に状態をチェックしたい場合に有効です。

それぞれの方法の長所と短所を理解した上で、最適な方法を選択してください。