Qt GUI でドラッグアンドドロップのターゲットになるウィジェットを設定する方法

2024-04-02

Qt GUI の QDrag::target() 関数について

QDrag::target() 関数は、ドラッグされたデータを受け取るウィジェットを特定するために使用されます。つまり、ドラッグアンドドロップ操作の "ターゲット" 側を担当する関数です。

使い方

この関数は、QObject クラスの派生クラスであるウィジェットに対して呼び出します。引数には、以下のいずれかを指定できます。

  • QWidget *widget: ドラッグアンドドロップを受け取るウィジェットへのポインタ
  • const QObject *object: ドラッグアンドドロップを受け取るオブジェクトへのポインタ

// ウィジェットをドラッグアンドドロップのターゲットとして設定
QDrag drag(this);
drag.setMimeData(mimeData);
drag.exec(Qt::DropActions);

// ドラッグされたデータを受け取るウィジェットを設定
QObject *target = QDrag::target();

if (target) {
  // ターゲットウィジェットで処理を行う
}

補足

  • QDrag::target() 関数は、ドラッグ操作が開始されたときにのみ有効です。
  • ドラッグ操作が完了した後、ターゲットウィジェットは dropEvent() イベントを受け取ります。
  • 複数のウィジェットがドラッグアンドドロップのターゲットになる可能性があります。その場合は、QDrag::target() 関数は、最初にドラッグされたデータを受け取ったウィジェットへのポインタを返します。


Qt GUI の QDrag::target() 関数を使ったサンプルコード

シンプルな例

#include <QtWidgets>

class ExampleWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT
public:
  ExampleWidget() {
    // ラベルウィジェットを作成
    QLabel *label = new QLabel("ここにドラッグアンドドロップしてください", this);
    label->setAlignment(Qt::AlignCenter);

    // ラベルウィジェットをドラッグアンドドロップのターゲットとして設定
    setAcceptDrops(true);
  }

protected:
  void dragEnterEvent(QDragEnterEvent *event) override {
    // ドラッグされたデータがテキスト形式であることを確認
    if (event->mimeData()->hasText()) {
      event->acceptProposedAction();
    }
  }

  void dropEvent(QDropEvent *event) override {
    // ドラッグされたテキストを取得
    QString text = event->mimeData()->text();

    // ラベルウィジェットにドラッグされたテキストを表示
    QLabel *label = qobject_cast<QLabel *>(childAt(0));
    label->setText(text);

    event->acceptProposedAction();
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  ExampleWidget widget;
  widget.show();

  return app.exec();
}

画像ファイルのドラッグアンドドロップ

この例では、画像ファイルのドラッグアンドドロップを受け取り、画像を表示します。

#include <QtWidgets>
#include <QPixmap>

class ExampleWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT
public:
  ExampleWidget() {
    // ドラッグアンドドロップを受け取るように設定
    setAcceptDrops(true);
  }

protected:
  void dragEnterEvent(QDragEnterEvent *event) override {
    // ドラッグされたデータが画像ファイル形式であることを確認
    if (event->mimeData()->hasImage()) {
      event->acceptProposedAction();
    }
  }

  void dropEvent(QDropEvent *event) override {
    // ドラッグされた画像ファイルを取得
    QPixmap pixmap = event->mimeData()->imageData();

    // 画像を表示
    QLabel *label = new QLabel(this);
    label->setPixmap(pixmap);
    label->show();

    event->acceptProposedAction();
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  ExampleWidget widget;
  widget.show();

  return app.exec();
}

複数のウィジェットをドラッグアンドドロップのターゲットにする

この例では、複数のウィジェットをドラッグアンドドロップのターゲットとして設定し、それぞれ異なる処理を行います。

#include <QtWidgets>

class ExampleWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT
public:
  ExampleWidget() {
    // 複数のウィジェットを作成
    QWidget *widget1 = new QWidget(this);
    widget1->setStyleSheet("background-color: red;");

    QWidget *widget2 = new QWidget(this);
    widget2->setStyleSheet("background-color: green;");

    // ウィジェットをドラッグアンドドロップのターゲットとして設定
    widget1->setAcceptDrops(true);
    widget2->setAcceptDrops(true);
  }

protected:
  void dragEnterEvent(QDragEnterEvent *event) override {
    // ドラッグされたデータがテキスト形式であることを確認
    if (event->mimeData()->hasText()) {
      event->acceptProposedAction();
    }
  }

  void dropEvent(QDropEvent *event) override {
    // ドラッグされたテキストを取得
    QString text = event->mimeData()->text();

    // ウィジェットによって処理を分岐
    QWidget *widget = qobject_cast<QWidget *>(sender());
    if (widget == childAt(0)) {
      // ウィジェット1の場合
      // ...
    } else if (widget == childAt(1)) {
      // ウィジェット2の場合
      // ...
    }

    event->acceptProposedAction();
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  Example


Qt GUI でドラッグアンドドロップを実装する他の方法

QDragEnterEvent::accept() 関数をオーバーライドすることで、ドラッグされたデータを受け取るウィジェットを指定できます。

void dragEnterEvent(QDragEnterEvent *event) override {
  // ドラッグされたデータがテキスト形式であることを確認
  if (event->mimeData()->hasText()) {
    // ウィジェットをドラッグアンドドロップのターゲットとして設定
    event->accept();
  }
}

QDropEvent::acceptProposedAction() 関数をオーバーライドすることで、ドラッグアンドドロップ操作を受け入れるかどうかを決定できます。

void dropEvent(QDropEvent *event) override {
  // ドラッグされたテキストを取得
  QString text = event->mimeData()->text();

  // ドラッグアンドドロップ操作を受け入れる
  event->acceptProposedAction();

  // ...
}

QMimeData::setData() 関数を使って、ドラッグアンドドロップで渡されるデータを設定できます。

QMimeData *mimeData = new QMimeData;
mimeData->setData("text/plain", "ドラッグされたテキスト");

QDrag drag(this);
drag.setMimeData(mimeData);
drag.exec(Qt::DropActions);

Qt Designer を使って、ドラッグアンドドロップ機能を GUI に簡単に実装できます。

手順

  1. Qt Designer でウィジェットを作成
  2. ウィジェットのプロパティエディタで "Accept drops" プロパティを "true" に設定
  3. "dragEnterEvent()" と "dropEvent()" イベントハンドラをダブルクリックして、イベントハンドラを実装

Qt GUI でドラッグアンドドロップを実装するには、いくつかの方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるので、状況に合わせて適切な方法を選択してください。




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