QMdiSubWindow::closeEvent()の徹底解説：ウィンドウ閉じ処理のカスタマイズ

Qt WidgetsにおけるQMdiSubWindow::closeEvent()の詳細解説

Qt Widgetsは、QtフレームワークにおけるGUI開発のための強力なツールキットです。QMdiSubWindowクラスは、MdiArea内に子ウィンドウを表示するための機能を提供します。closeEvent()は、QMdiSubWindowクラスの重要な仮想関数であり、ウィンドウが閉じられる前に処理を行うためのフックを提供します。

closeEvent()は、ウィンドウが閉じられる前に呼び出され、デフォルトではウィンドウを閉じます。この関数をオーバーライドすることで、ウィンドウが閉じられる前に独自の処理を行うことができます。例えば、ユーザーに確認メッセージを表示したり、未保存のデータを保存したりすることができます。

closeEvent()は、QCloseEvent型の引数を受け取ります。このイベントオブジェクトには、ウィンドウが閉じられる理由に関する情報が含まれています。例えば、ユーザーがウィンドウの閉じるボタンをクリックしたのか、プログラム側からウィンドウを閉じようとしているのかなどが分かります。

closeEvent()の実装例

以下に、closeEvent()の実装例を紹介します。この例では、ユーザーに確認メッセージを表示し、ウィンドウを閉じるかどうかを確認しています。

void QMdiSubWindow::closeEvent(QCloseEvent *event)
{
  // ユーザーに確認メッセージを表示
  QMessageBox msgBox;
  msgBox.setText("ウィンドウを閉じますか？");
  msgBox.setStandardButtons(QMessageBox::Yes | QMessageBox::No);
  int result = msgBox.exec();

  // ユーザーがウィンドウの閉じを選択した場合
  if (result == QMessageBox::Yes) {
    // ウィンドウを閉じる
    event->accept();
  } else {
    // ウィンドウを閉じない
    event->ignore();
  }
}

その他の重要なポイント

• closeEvent()は、ウィンドウが閉じられる前に必ず呼び出されます。
• closeEvent()内でウィンドウを閉じると、イベントオブジェクトは自動的に削除されます。
• closeEvent()内で他のウィンドウを閉じようとすると、予期せぬ動作が発生する可能性があります。
• closeEvent()は、Qt::WA_DeleteOnClose属性が設定されているウィンドウには呼び出されません。

補足

• 上記の例は基本的な例であり、必要に応じてカスタマイズすることができます。
• closeEvent()内で複雑な処理を行う場合は、別のスレッドで処理を実行することを検討してください。
• Qt Widgetsに関する情報は、Qt公式ドキュメントやチュートリアルを参照してください。

Qt WidgetsにおけるQMdiSubWindow::closeEvent()のサンプルコード

ユーザーに確認メッセージを表示してウィンドウを閉じる

void QMdiSubWindow::closeEvent(QCloseEvent *event)
{
  // ユーザーに確認メッセージを表示
  QMessageBox msgBox;
  msgBox.setText("ウィンドウを閉じますか？");
  msgBox.setStandardButtons(QMessageBox::Yes | QMessageBox::No);
  int result = msgBox.exec();

  // ユーザーがウィンドウの閉じを選択した場合
  if (result == QMessageBox::Yes) {
    // ウィンドウを閉じる
    event->accept();
  } else {
    // ウィンドウを閉じない
    event->ignore();
  }
}

ウィンドウを閉じる前に未保存のデータを保存する

void QMdiSubWindow::closeEvent(QCloseEvent *event)
{
  // 未保存のデータがあるかどうかを確認
  if (hasUnsavedData()) {
    // ユーザーに保存確認メッセージを表示
    QMessageBox msgBox;
    msgBox.setText("未保存のデータがあります。保存しますか？");
    msgBox.setStandardButtons(QMessageBox::Yes | QMessageBox::No | QMessageBox::Cancel);
    int result = msgBox.exec();

    // ユーザーが保存を選択した場合
    if (result == QMessageBox::Yes) {
      // データを保存
      saveData();
      // ウィンドウを閉じる
      event->accept();
    } else if (result == QMessageBox::No) {
      // データを保存せずにウィンドウを閉じる
      event->accept();
    } else {
      // ウィンドウを閉じない
      event->ignore();
    }
  } else {
    // 未保存のデータがない場合は、そのままウィンドウを閉じる
    event->accept();
  }
}

別のウィンドウに処理を引き渡す

void QMdiSubWindow::closeEvent(QCloseEvent *event)
{
  // 別のウィンドウに処理を引き渡す
  QMdiSubWindow *otherWindow = ...; // 別のウィンドウを取得

  // イベントを他のウィンドウに送信
  otherWindow->closeEvent(event);

  // 現在のウィンドウは閉じない
  event->ignore();
}

上記のサンプルコードはあくまでも例であり、必要に応じてカスタマイズすることができます。

QMdiSubWindow::closeEvent() 以外の方法

QObject::eventFilter() は、イベントがオブジェクトに送信される前に処理を行うための仮想関数です。この関数をオーバーライドすることで、QMdiSubWindow::closeEvent() 以外の方法でウィンドウの閉じ処理を制御することができます。

bool MyObject::eventFilter(QObject *obj, QEvent *event)
{
  // QMdiSubWindow オブジェクトかどうかを確認
  if (obj->inherits("QMdiSubWindow")) {
    // イベントの種類を確認
    if (event->type() == QEvent::Close) {
      // 独自の処理を行う
      // ...

      // イベントを処理済みとしてマーク
      return true;
    }
  }

  // 他のオブジェクトのイベントはそのまま処理
  return QObject::eventFilter(obj, event);
}

QMainWindow::closeEvent() を使用する

QMdiSubWindow を使用している場合は、QMainWindow::closeEvent() をオーバーライドすることで、すべての MDI 子ウィンドウの閉じ処理を制御することができます。

void MainWindow::closeEvent(QCloseEvent *event)
{
  // すべての MDI 子ウィンドウを閉じる
  QMdiArea *mdiArea = ...; // QMdiArea オブジェクトを取得
  mdiArea->closeAllSubWindows();

  // メインウィンドウを閉じる
  event->accept();
}

ウィジェットの属性を設定することで、ウィンドウの閉じ処理を制御することができます。

• Qt::WA_DeleteOnClose: ウィンドウが閉じられると、ウィジェットが自動的に削除されます。
• Qt::WA_DontClose: ウィンドウの閉じるボタンが無効化されます。

QMdiSubWindow *subWindow = ...; // QMdiSubWindow オブジェクトを取得

// ウィンドウが閉じられると、ウィジェットが自動的に削除されるように設定
subWindow->setAttribute(Qt::WA_DeleteOnClose);

// ウィンドウの閉じるボタンを無効化
subWindow->setAttribute(Qt::WA_DontClose);

その他の方法

上記以外にも、以下の方法でウィンドウの閉じ処理を制御することができます。

• QTimer::singleShot() を使用して、ウィンドウの閉じ処理を遅らせる
• QThread を使用して、ウィンドウの閉じ処理を別のスレッドで実行する
• カスタムイベントを作成して、ウィンドウの閉じ処理を通知する

補足