Qt Widgets: QPlainTextEdit::setExtraSelections() の詳細解説

Qt Widgets: QPlainTextEdit::setExtraSelections() の詳細解説

QPlainTextEdit::setExtraSelections() は、QPlainTextEdit ウィジェットに追加の選択範囲を設定するための関数です。通常の選択範囲とは異なり、追加の選択範囲はハイライト表示されませんが、その他の機能で使用することができます。

用途

QPlainTextEdit::setExtraSelections() は、さまざまな用途で使用できます。以下は、その代表的な例です。

• 検索結果をハイライト表示せずにマークする
• シンタックスハイライトで異なる種類のトークンを区別する
• コード折りたたみで折り畳んだ行を視覚的に区別する
• 行番号やその他のマーカーを表示する

使い方

QPlainTextEdit::setExtraSelections() は、QList<QTextEdit::ExtraSelection> 型の引数を受け取ります。QTextEdit::ExtraSelection 構造体は、以下の要素で構成されています。

• cursor: 選択範囲の開始位置と終了位置を表す QTextCursor オブジェクト
• format: 選択範囲に適用されるフォーマット

QTextEdit::ExtraSelections オブジェクトを作成するには、QTextEdit::ExtraSelection 構造体のリストを作成し、それを QPlainTextEdit::setExtraSelections() 関数に渡します。

例

以下のコードは、QPlainTextEdit ウィジェット内のすべての "foo" という文字列を検索し、追加の選択範囲としてマークします。

QPlainTextEdit *textEdit = ...;

// 検索を実行
QTextCursor cursor = textEdit->document()->find("foo");

// 追加の選択範囲を作成
QTextEdit::ExtraSelection selection;
selection.cursor = cursor;
selection.format.setBackground(Qt::red);

// 追加の選択範囲を設定
QList<QTextEdit::ExtraSelection> selections;
selections << selection;
textEdit->setExtraSelections(selections);

補足

• QPlainTextEdit::extraSelections() 関数は、設定された追加の選択範囲を取得するために使用できます。
• 追加の選択範囲は、QPlainTextEdit::cursorForPosition() や QPlainTextEdit::selectionAt() などの関数を使用して、通常の選択範囲と同様に操作できます。
• 追加の選択範囲は、QPlainTextEdit::selectAll() や QPlainTextEdit::clear() などの関数によってクリアされます。

QPlainTextEdit::setExtraSelections() は、高度な機能を提供する強力な関数です。この関数を理解することで、QPlainTextEdit ウィジェットをより使いやすく、機能的にすることができます。

Qt Widgets: QPlainTextEdit::setExtraSelections() のサンプルコード

QPlainTextEdit *textEdit = ...;

// 検索を実行
QTextCursor cursor = textEdit->document()->find("foo");

// 追加の選択範囲を作成
QTextEdit::ExtraSelection selection;
selection.cursor = cursor;
selection.format.setBackground(Qt::transparent); // ハイライト表示を無効化

// 追加の選択範囲を設定
QList<QTextEdit::ExtraSelection> selections;
selections << selection;
textEdit->setExtraSelections(selections);

シンタックスハイライトで異なる種類のトークンを区別する

QPlainTextEdit *textEdit = ...;

// シンタックスハイライターを設定
QSyntaxHighlighter *highlighter = new QSyntaxHighlighter(textEdit->document());

// トークン種別ごとにフォーマットを設定
highlighter->setRuleSet(new MyHighlightingRuleSet());

// 追加の選択範囲を作成
for (const QSyntaxHighlighting::Rule &rule : highlighter->rules()) {
  QTextEdit::ExtraSelection selection;
  selection.format = rule.format;

  // トークンにマッチするすべての範囲をループ処理
  for (QTextCursor cursor = textEdit->document()->find(rule.pattern); !cursor.isNull(); cursor = textEdit->document()->find(rule.pattern, cursor)) {
    selection.cursor = cursor;
    selections << selection;
  }
}

// 追加の選択範囲を設定
textEdit->setExtraSelections(selections);

コード折りたたみで折り畳んだ行を視覚的に区別する

QPlainTextEdit *textEdit = ...;

// コード折りたたみを設定
QFoldingManager *foldingManager = new QFoldingManager(textEdit->document());

// 折り畳んだ行のリストを取得
QList<QFoldingRange> foldingRanges = foldingManager->foldingRanges();

// 追加の選択範囲を作成
QList<QTextEdit::ExtraSelection> selections;
for (const QFoldingRange &range : foldingRanges) {
  QTextEdit::ExtraSelection selection;
  selection.cursor = QTextCursor(range.startLine(), 0, range.endLine(), 0);
  selection.format.setBackground(Qt::lightGray);
  selections << selection;
}

// 追加の選択範囲を設定
textEdit->setExtraSelections(selections);

行番号やその他のマーカーを表示する

QPlainTextEdit *textEdit = ...;

// 行番号エリアを設定
QLineNumberArea *lineNumberArea = new QLineNumberArea(textEdit);
textEdit->setCornerWidget(lineNumberArea);

// 行番号を描画する
lineNumberArea->paintEvent(new QPaintEvent(lineNumberArea->rect()));

// 追加の選択範囲を作成
QTextEdit::ExtraSelection selection;
selection.cursor = QTextCursor(0, 0, 0, 1); // 最初の行を選択
selection.format.setBackground(Qt::lightGray);

// 追加の選択範囲を設定
QList<QTextEdit::ExtraSelection> selections;
selections << selection;
textEdit->setExtraSelections(selections);

その他のアイデア

• 現在の行をハイライト表示する
• カーソル行周辺の行を強調表示する
• 変更された行をマークする
• スペルミスや文法エラーをマーカーで示す

これらのサンプルコードは、QPlainTextEdit::setExtraSelections() 関数の使い方を理解するのに役立つでしょう。これらのコードを参考に、独自のアプリケーションのニーズに合わせてカスタマイズすることができます。

QPlainTextEdit::setExtraSelections() 以外の方法

カスタムウィジェット

独自のウィジェットを作成して、必要な機能を実装することができます。これは、高度なカスタマイズが必要な場合に最適な方法です。

QTextDocument::find() 関数を使用して、検索したいテキストを見つけ、その範囲をハイライト表示することができます。

QSyntaxHighlighter クラスを使用して、シンタックスハイライトを実装することができます。

QTextCharFormat クラスを使用して、特定のテキスト範囲に異なるフォーマットを適用することができます。

QTextCursor クラスを使用して、テキスト範囲を選択したり、操作したりすることができます。

これらの方法はそれぞれ、異なる利点と欠点があります。どの方法が最適かは、具体的な要件によって異なります。

以下は、それぞれの方法の簡単な比較です。

どの方法を選択する場合でも、以下の点を考慮する必要があります。

• 必要とする機能
• 開発時間
• コードの複雑さ
• パフォーマンス

QPlainTextEdit::setExtraSelections() は、テキストエディタ内で特定のテキスト範囲を強調表示したり、区別したりするための強力な方法です。しかし、他の方法も存在するため、具体的な要件に合わせて最適な方法を選択することが重要です。