Qt GUI の QScrollEvent の役割と詳細解説

2024-04-12

Qt GUI の QScrollEvent::~QScrollEvent() の詳細解説

QScrollEvent::~QScrollEvent() は、Qt GUI フレームワークにおけるスクロールイベント処理の中核となる仮想デストラクタです。スクロールバーやその他のスクロール機能を備えたウィジェットが破棄される際に呼び出され、関連するメモリを解放します。

役割

QScrollEvent::~QScrollEvent() は、以下の重要な役割を担います。

  • メモリ解放: スクロールイベントオブジェクトが保持するメモリを解放します。
  • リソース解放: スクロールイベントに関連するその他のシステムリソースを解放します。
  • 仮想デストラクタ: 派生クラスにおけるデストラクタの動作を定義します。

詳細解説

QScrollEvent::~QScrollEvent() は、以下の要素で構成されます。

  • アクセス修飾子: public - すべてのクラスからアクセス可能
  • 戻り値型: void - 値を返しません
  • 関数名: ~QScrollEvent - デストラクタを表す波形記号 (~) を含む
  • 引数: なし

コード例

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
    }

  protected:
    void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
      // スクロール処理
      // ...

      // スクロールイベントオブジェクトの破棄
      delete event;
    }
};

上記のコード例では、MyWidget クラスが scrollEvent() メソッドを実装し、スクロール処理を行っています。処理完了後、delete event を用いて QScrollEvent オブジェクトを明示的に破棄しています。

補足

  • QScrollEvent オブジェクトは、通常、QWidget::scrollEvent() メソッド内で処理されます。
  • スクロールイベントオブジェクトは、スタックではなくヒープメモリ上に割り当てられるため、明示的な破棄が必要です。
  • 派生クラスで QScrollEvent オブジェクトを使用する場合は、デストラクタ内で基底クラスの QScrollEvent::~QScrollEvent() を呼び出す必要があります。

用語集

  • デストラクタ: オブジェクトが破棄される際に呼び出される仮想関数
  • 仮想関数: 派生クラスで独自の動作を定義できる関数
  • メモリ解放: オブジェクトが占有していたメモリをシステムに戻すこと
  • リソース解放: オブジェクトが使用していたその他のシステムリソース (ファイルハンドルなど) を解放すること


Qt GUI の QScrollEvent サンプルコード集

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
    }

  protected:
    void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
      // スクロールバーの値を取得
      int scrollBarValue = event->scrollBarValue();

      // スクロール方向を取得
      Qt::ScrollDirection scrollDirection = event->scrollDirection();

      // スクロール処理
      // ...

      // スクロールイベントオブジェクトの破棄
      delete event;
    }
};

スクロール内容に応じた処理

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
    }

  protected:
    void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
      switch (event->scrollType()) {
        case QEvent::Scroll:
          // スクロール処理
          // ...
          break;
        case QEvent::ScrollBegin:
          // スクロール開始時の処理
          // ...
          break;
        case QEvent::ScrollEnd:
          // スクロール終了時の処理
          // ...
          break;
      }

      // スクロールイベントオブジェクトの破棄
      delete event;
    }
};

QRubberBand を用いたスクロール範囲の可視化

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
      rubberBand = new QRubberBand(QRubberBand::Rectangle, this);
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
      delete rubberBand;
    }

  protected:
    void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
      // スクロール範囲の可視化
      rubberBand->setGeometry(event->contentRect());

      // スクロール処理
      // ...

      // スクロールイベントオブジェクトの破棄
      delete event;
    }

  private:
    QRubberBand *rubberBand;
};

スクロールバーの値を利用した処理

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
      scrollBar = new QScrollBar(Qt::Horizontal, this);
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
      delete scrollBar;
    }

  protected:
    void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
      // スクロールバーの値を更新
      scrollBar->setValue(event->scrollBarValue());

      // スクロール処理
      // ...

      // スクロールイベントオブジェクトの破棄
      delete event;
    }

  private:
    QScrollBar *scrollBar;
};

QAbstractScrollArea との連携

class MyWidget : public QAbstractScrollArea {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
      viewport = new QWidget(this);
      setWidget(viewport);
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
      delete viewport;
    }

  protected:
    void scrollContentsBy(int dx, int dy) override {
      // スクロール処理
      // ...
    }

  private:
    QWidget *viewport;
};

上記はあくまでサンプルコードであり、実際の使用例に合わせて



Qt GUI の QScrollEvent 処理のその他の方法

Qt はイベントハンドラと呼ばれる便利な仕組みを提供しており、QScrollEvent を処理する際に役立ちます。

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
      // スクロールイベントハンドラを登録
      installEventFilter(this);
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
    }

  protected:
    bool eventFilter(QObject *object, QEvent *event) override {
      if (event->type() == QEvent::Scroll) {
        // スクロール処理
        // ...
        return true;
      }

      return false;
    }
};

QMouseEvent の利用

スクロールイベントは QMouseEvent から派生しているため、QMouseEvent の情報を利用することも可能です。

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
    }

  protected:
    void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override {
      if (event->buttons() & Qt::LeftButton) {
        // スクロール処理
        // ...
      }
    }
};

QWheelEvent の利用

マウスホイールによるスクロール処理には、QWheelEvent を利用することができます。

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
    }

  protected:
    void wheelEvent(QWheelEvent *event) override {
      // スクロール処理
      // ...
    }
};

QScroller クラスの利用

Qt はスクロール処理を簡略化する QScroller クラスを提供しています。

class MyWidget : public QWidget {
  public:
    MyWidget() {
      // ...
      scroller = new QScroller(this);
    }

    ~MyWidget() {
      // ...
      delete scroller;
    }

  protected:
    void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
      // スクロール処理
      // ...

      // スクロールイベントオブジェクトの破棄
      delete event;
    }

  private:
    QScroller *scroller;
};

カスタムスクロールバーの実装

高度なスクロール機能を実装したい場合は、カスタムスクロールバーを開発することも可能です。

上記はあくまで代表的な方法であり、他にも様々な方法があります。具体的な方法は、要件や目的によって異なります。

注意事項

  • どの方法を使用する場合でも、メモリリークを防ぐために、QScrollEvent オブジェクトを適切に破棄する必要があります。
  • スクロール処理は複雑な場合があるため、デバッグをしっかり行うことが重要です。



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