Qt GUI の QScrollEvent の役割と詳細解説
Qt GUI の QScrollEvent::~QScrollEvent() の詳細解説
QScrollEvent::~QScrollEvent()
は、Qt GUI フレームワークにおけるスクロールイベント処理の中核となる仮想デストラクタです。スクロールバーやその他のスクロール機能を備えたウィジェットが破棄される際に呼び出され、関連するメモリを解放します。
役割
QScrollEvent::~QScrollEvent()
は、以下の重要な役割を担います。
- メモリ解放: スクロールイベントオブジェクトが保持するメモリを解放します。
- リソース解放: スクロールイベントに関連するその他のシステムリソースを解放します。
- 仮想デストラクタ: 派生クラスにおけるデストラクタの動作を定義します。
詳細解説
QScrollEvent::~QScrollEvent()
は、以下の要素で構成されます。
- アクセス修飾子:
public
- すべてのクラスからアクセス可能 - 戻り値型:
void
- 値を返しません - 関数名:
~QScrollEvent
- デストラクタを表す波形記号 (~
) を含む - 引数: なし
コード例
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
}
~MyWidget() {
// ...
}
protected:
void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
// スクロール処理
// ...
// スクロールイベントオブジェクトの破棄
delete event;
}
};
上記のコード例では、MyWidget
クラスが scrollEvent()
メソッドを実装し、スクロール処理を行っています。処理完了後、delete event
を用いて QScrollEvent
オブジェクトを明示的に破棄しています。
補足
QScrollEvent
オブジェクトは、通常、QWidget::scrollEvent()
メソッド内で処理されます。- スクロールイベントオブジェクトは、スタックではなくヒープメモリ上に割り当てられるため、明示的な破棄が必要です。
- 派生クラスで
QScrollEvent
オブジェクトを使用する場合は、デストラクタ内で基底クラスのQScrollEvent::~QScrollEvent()
を呼び出す必要があります。
用語集
- デストラクタ: オブジェクトが破棄される際に呼び出される仮想関数
- 仮想関数: 派生クラスで独自の動作を定義できる関数
- メモリ解放: オブジェクトが占有していたメモリをシステムに戻すこと
- リソース解放: オブジェクトが使用していたその他のシステムリソース (ファイルハンドルなど) を解放すること
Qt GUI の QScrollEvent サンプルコード集
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
}
~MyWidget() {
// ...
}
protected:
void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
// スクロールバーの値を取得
int scrollBarValue = event->scrollBarValue();
// スクロール方向を取得
Qt::ScrollDirection scrollDirection = event->scrollDirection();
// スクロール処理
// ...
// スクロールイベントオブジェクトの破棄
delete event;
}
};
スクロール内容に応じた処理
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
}
~MyWidget() {
// ...
}
protected:
void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
switch (event->scrollType()) {
case QEvent::Scroll:
// スクロール処理
// ...
break;
case QEvent::ScrollBegin:
// スクロール開始時の処理
// ...
break;
case QEvent::ScrollEnd:
// スクロール終了時の処理
// ...
break;
}
// スクロールイベントオブジェクトの破棄
delete event;
}
};
QRubberBand を用いたスクロール範囲の可視化
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
rubberBand = new QRubberBand(QRubberBand::Rectangle, this);
}
~MyWidget() {
// ...
delete rubberBand;
}
protected:
void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
// スクロール範囲の可視化
rubberBand->setGeometry(event->contentRect());
// スクロール処理
// ...
// スクロールイベントオブジェクトの破棄
delete event;
}
private:
QRubberBand *rubberBand;
};
スクロールバーの値を利用した処理
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
scrollBar = new QScrollBar(Qt::Horizontal, this);
}
~MyWidget() {
// ...
delete scrollBar;
}
protected:
void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
// スクロールバーの値を更新
scrollBar->setValue(event->scrollBarValue());
// スクロール処理
// ...
// スクロールイベントオブジェクトの破棄
delete event;
}
private:
QScrollBar *scrollBar;
};
QAbstractScrollArea との連携
class MyWidget : public QAbstractScrollArea {
public:
MyWidget() {
// ...
viewport = new QWidget(this);
setWidget(viewport);
}
~MyWidget() {
// ...
delete viewport;
}
protected:
void scrollContentsBy(int dx, int dy) override {
// スクロール処理
// ...
}
private:
QWidget *viewport;
};
上記はあくまでサンプルコードであり、実際の使用例に合わせて
Qt GUI の QScrollEvent 処理のその他の方法
Qt はイベントハンドラと呼ばれる便利な仕組みを提供しており、QScrollEvent
を処理する際に役立ちます。
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
// スクロールイベントハンドラを登録
installEventFilter(this);
}
~MyWidget() {
// ...
}
protected:
bool eventFilter(QObject *object, QEvent *event) override {
if (event->type() == QEvent::Scroll) {
// スクロール処理
// ...
return true;
}
return false;
}
};
QMouseEvent の利用
スクロールイベントは QMouseEvent
から派生しているため、QMouseEvent
の情報を利用することも可能です。
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
}
~MyWidget() {
// ...
}
protected:
void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override {
if (event->buttons() & Qt::LeftButton) {
// スクロール処理
// ...
}
}
};
QWheelEvent の利用
マウスホイールによるスクロール処理には、QWheelEvent
を利用することができます。
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
}
~MyWidget() {
// ...
}
protected:
void wheelEvent(QWheelEvent *event) override {
// スクロール処理
// ...
}
};
QScroller クラスの利用
Qt はスクロール処理を簡略化する QScroller
クラスを提供しています。
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
// ...
scroller = new QScroller(this);
}
~MyWidget() {
// ...
delete scroller;
}
protected:
void scrollEvent(QScrollEvent *event) override {
// スクロール処理
// ...
// スクロールイベントオブジェクトの破棄
delete event;
}
private:
QScroller *scroller;
};
カスタムスクロールバーの実装
高度なスクロール機能を実装したい場合は、カスタムスクロールバーを開発することも可能です。
上記はあくまで代表的な方法であり、他にも様々な方法があります。具体的な方法は、要件や目的によって異なります。
注意事項
- どの方法を使用する場合でも、メモリリークを防ぐために、
QScrollEvent
オブジェクトを適切に破棄する必要があります。 - スクロール処理は複雑な場合があるため、デバッグをしっかり行うことが重要です。
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