QStyleHints::mouseDoubleClickInterval 以外のダブルクリック判定方法

Qt GUI の QStyleHints::mouseDoubleClickInterval とは？

このプロパティは、QStyleHints クラスによって提供されます。QStyleHints クラスは、プラットフォーム固有のヒントや設定をカプセル化したクラスであり、QGuiApplication::styleHints() 関数を通じてアクセスできます。

ダブルクリック判定の仕組み

Qt GUI アプリケーションでは、ユーザーがマウスボタンを素早く2回連続してクリックした場合、それをダブルクリックとみなして特別な処理を実行できます。このダブルクリック判定には、以下の2つの要素が関係します。

1. クリック間隔: 2つのクリックの間隔が mouseDoubleClickInterval で設定された時間間隔を超えると、ダブルクリックとはみなされません。
2. クリック位置: 2つのクリックの座標が一定範囲内に収まっている必要があります。この範囲は、ウィジェットスタイルによって異なる場合があります。

QStyleHints::mouseDoubleClickInterval の使用方法

QStyleHints::mouseDoubleClickInterval プロパティの使い方は以下の通りです。

#include <QtGlobal>
#include <QGuiApplication>
#include <QStyleHints>

int main() {
  // QGuiApplication::styleHints() を使って QStyleHints オブジェクトを取得
  QStyleHints hints = QGuiApplication::styleHints();

  // QStyleHints::mouseDoubleClickInterval() を使ってダブルクリック判定時間間隔を取得
  int doubleClickInterval = hints.mouseDoubleClickInterval();

  // 取得した時間間隔を処理に利用
  // ...

  return 0;
}

このコードでは、まず QGuiApplication::styleHints() 関数を使って QStyleHints オブジェクトを取得します。次に、QStyleHints::mouseDoubleClickInterval() メソッドを使って、そのオブジェクトからダブルクリック判定時間間隔を取得します。取得した時間間隔は、アプリケーションの処理に利用することができます。

例えば、以下のコードは、ダブルクリック判定時間間隔を 500 ミリ秒に設定しています。

#include <QtGlobal>
#include <QGuiApplication>
#include <QStyleHints>

int main() {
  // QGuiApplication::styleHints() を使って QStyleHints オブジェクトを取得
  QStyleHints hints = QGuiApplication::styleHints();

  // ダブルクリック判定時間間隔を 500 ミリ秒に設定
  hints.setMouseDoubleClickInterval(500);

  // ...

  return 0;
}

QStyleHints::mouseDoubleClickInterval を使ったサンプルコード

サンプルコード1: ダブルクリック判定時間間隔の取得

#include <QtGlobal>
#include <QGuiApplication>
#include <QStyleHints>

int main() {
  // QGuiApplication::styleHints() を使って QStyleHints オブジェクトを取得
  QStyleHints hints = QGuiApplication::styleHints();

  // QStyleHints::mouseDoubleClickInterval() を使ってダブルクリック判定時間間隔を取得
  int doubleClickInterval = hints.mouseDoubleClickInterval();

  // 取得した時間間隔を出力
  qDebug() << "ダブルクリック判定時間間隔: " << doubleClickInterval << "ms";

  return 0;
}

サンプルコード2: ダブルクリック判定時間間隔の設定

#include <QtGlobal>
#include <QGuiApplication>
#include <QStyleHints>

int main() {
  // QGuiApplication::styleHints() を使って QStyleHints オブジェクトを取得
  QStyleHints hints = QGuiApplication::styleHints();

  // ダブルクリック判定時間間隔を 500 ミリ秒に設定
  hints.setMouseDoubleClickInterval(500);

  // 設定した時間間隔を出力
  qDebug() << "ダブルクリック判定時間間隔: " << hints.mouseDoubleClickInterval() << "ms";

  return 0;
}

サンプルコード3: ダブルクリック判定時間間隔に基づいた処理

#include <QtGlobal>
#include <QGuiApplication>
#include <QStyleHints>
#include <QPushButton>

void onButtonClicked(bool doubleClick) {
  if (doubleClick) {
    qDebug() << "ダブルクリックされました";
  } else {
    qDebug() << "シングルクリックされました";
  }
}

int main() {
  // QGuiApplication::styleHints() を使って QStyleHints オブジェクトを取得
  QStyleHints hints = QGuiApplication::styleHints();

  // ダブルクリック判定時間間隔を取得
  int doubleClickInterval = hints.mouseDoubleClickInterval();

  // プッシュボタンを作成
  QPushButton button("ボタン");

  // ボタンのクリックイベントに処理を設定
  QObject::connect(&button, &QPushButton::clicked, [doubleClickInterval](bool checked) {
    // クリックされた時間と前回のクリックされた時間の差を取得
    int clickTimeDiff = QDateTime::currentDateTime().msecsTo(lastClickTime);

    // ダブルクリック判定時間間隔以内であればダブルクリックと判定
    if (clickTimeDiff <= doubleClickInterval) {
      onButtonClicked(true);
    } else {
      onButtonClicked(false);
    }

    // 現在のクリック時間を保存
    lastClickTime = QDateTime::currentDateTime();
  });

  // ボタンを表示
  button.show();

  return app.exec();
}

補足

• サンプルコード3では、QDateTime::currentDateTime().msecsTo() 関数を使って、クリックされた時間と前回のクリックされた時間の差を取得しています。
• サンプルコード3では、lastClickTime 変数を使って、前回のクリックされた時間を保存しています。

QStyleHints::mouseDoubleClickInterval 以外の方法

QMouseEvent::flags() を使う

QMouseEvent::flags() メソッドを使って、マウスイベントのフラグを取得することができます。このフラグには、Qt::MouseButtonDblClick フラグが含まれており、これが設定されている場合、そのイベントはダブルクリックとみなされます。

void onMouseEvent(QMouseEvent* event) {
  if (event->flags() & Qt::MouseButtonDblClick) {
    // ダブルクリック処理
  }
}

QTimer を使う

QTimer クラスを使って、タイマーイベントを発生させることができます。タイマーイベントが発生したタイミングで、前回のクリックされた時間との差を比較することで、ダブルクリック判定を行うことができます。

QTimer timer;

void onButtonClicked() {
  // タイマーを停止
  timer.stop();

  // 前回のクリックされた時間との差を取得
  int clickTimeDiff = QDateTime::currentDateTime().msecsTo(lastClickTime);

  // ダブルクリック判定時間間隔以内であればダブルクリックと判定
  if (clickTimeDiff <= doubleClickInterval) {
    // ダブルクリック処理
  }

  // 現在のクリック時間を保存
  lastClickTime = QDateTime::currentDateTime();

  // タイマーを再起動
  timer.start(doubleClickInterval);
}

int main() {
  // ダブルクリック判定時間間隔を設定
  int doubleClickInterval = 500;

  // タイマーを作成
  timer.setInterval(doubleClickInterval);

  // ボタンのクリックイベントに処理を設定
  QObject::connect(&button, &QPushButton::clicked, onButtonClicked);

  // ボタンを表示
  button.show();

  return app.exec();
}

RxCpp を使う

RxCpp は、Reactive Programming のためのライブラリです。RxCpp を使うと、イベントストリームを操作し、ダブルクリック判定などの処理を簡単に記述することができます。

#include <rxcpp/rx.hpp>

int main() {
  // ボタンのクリックイベントをストリームに変換
  auto clicks = rxcpp::from_observable(button.clicked());

  // ダブルクリックストリームを作成
  auto doubleClicks = clicks
    .buffer_with_time(500)
    .filter([](const auto& clicks) { return clicks.size() == 2; });

  // ダブルクリックイベントに処理を設定
  doubleClicks.subscribe([]() {
    // ダブルクリック処理
  });

  // ボタンを表示
  button.show();

  return app.exec();
}

これらの方法は、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。どの方法を使うのが最適かは、アプリケーションの要件によって異なります。