CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG 変数を使って CMake で Android NDK を使用する方法
CMakeの変数 CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG について
CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
は、CMake で Android NDK を使用してクロスコンパイルを行う際に、ホストマシンのプラットフォームを表す変数です。この変数は、NDK が提供するプリビルドツールチェーンのパスを構築するために使用されます。
詳細
- NDK とは
NDK は、Android アプリケーションをネイティブコードで開発するためのツールセットです。C/C++ などの言語で書かれたコードを、Android デバイス上で動作するバイナリに変換することができます。
- クロスコンパイル
クロスコンパイルとは、異なるアーキテクチャを持つマシン上でソフトウェアをビルドする手法です。Android アプリケーション開発においては、開発者のマシン (ホスト) が x86_64 アーキテクチャである場合、ARM アーキテクチャを持つ Android デバイス上で動作するバイナリを生成するためにクロスコンパイルが必要となります。
- プリビルドツールチェーン
NDK は、様々なアーキテクチャ向けのプリビルドツールチェーンを提供しています。これらのツールチェーンは、コンパイラ、リンカー、デバッガーなどのツールが含まれており、Android アプリケーション開発に必要な環境を構築することができます。
- CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG の役割
CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
は、ホストマシンのプラットフォームに基づいて、適切なプリビルドツールチェーンを選択するために使用されます。この変数に設定される値は、NDK のドキュメントに記載されているホストタグと一致する必要があります。
例
以下の例は、CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
変数の設定例です。
set(CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG "darwin-x86_64")
この例では、ホストマシンが macOS 10.15 Catalina 以降で、x86_64 アーキテクチャである場合に設定する値です。
設定方法
CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
変数は、以下の方法で設定することができます。
- CMakeLists.txt ファイルで直接設定する
cmake
コマンドラインオプションで設定する- 環境変数として設定する
注意事項
CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
変数は、NDK を使用してクロスコンパイルを行う場合にのみ必要です。- この変数を正しく設定しないと、ビルドエラーが発生する可能性があります。
補足
- 上記の説明は、CMake 3.7 以降のバージョンを対象としています。
- NDK のバージョンによって、
CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
変数のデフォルト値が異なる場合があります。
CMake の CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG 変数を使ったサンプルコード
set(CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG "linux-x86_64")
add_executable(hello_world
main.c)
target_link_libraries(hello_world
log)
set_target_properties(hello_world
PROPERTIES
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath=/usr/local/lib")
install(TARGETS hello_world
DESTINATION /usr/local/bin)
このサンプルコードは、Linux ホストマシン上で Android アプリケーション "hello_world" をビルドします。
set(CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG "darwin-x86_64")
add_executable(hello_world
main.c)
target_link_libraries(hello_world
log)
set_target_properties(hello_world
PROPERTIES
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath=/usr/local/lib")
install(TARGETS hello_world
DESTINATION /usr/local/bin)
このサンプルコードは、macOS ホストマシン上で Android アプリケーション "hello_world" をビルドします。
set(CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG "windows-x86_64")
add_executable(hello_world
main.c)
target_link_libraries(hello_world
log)
set_target_properties(hello_world
PROPERTIES
LINK_FLAGS "-Wl,-rpath=/usr/local/lib")
install(TARGETS hello_world
DESTINATION /usr/local/bin)
このサンプルコードは、Windows ホストマシン上で Android アプリケーション "hello_world" をビルドします。
上記サンプルコードの解説
set(CMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG "host-tag")
: ホストマシンのプラットフォームを表すCMAKE_ANDROID_NDK_TOOLCHAIN_HOST_TAG
変数を設定します。add_executable(name source_files)
: ターゲット "name" を追加します。target_link_libraries(target libraries)
: ターゲット "target" にライブラリ "libraries" をリンクします。set_target_properties(target properties)
: ターゲット "target" のプロパティを設定します。install(TARGETS targets DESTINATION directory)
: ターゲット "targets" を "directory" ディレクトリにインストールします。
補足
- 上記サンプルコードは、基本的なサンプルコードです。実際のアプリケーションでは、必要に応じて修正する必要があります。
- NDK のバージョンによって、ビルドコマンドやオプションが異なる場合があります。
CMake で Android NDK を使用する他の方法
android
コマンドラインツールは、NDK を使用して Android アプリケーションをビルドするためのツールです。このツールを使用すると、CMakeLists.txt ファイルを作成することなく、Android アプリケーションをビルドすることができます。
Android Studio は、Android アプリケーション開発のための統合開発環境 (IDE) です。Android Studio には、CMake を使用して Android アプリケーションをビルドするための機能が組み込まれています。
独自の CMake ツールチェーンファイルを作成することで、NDK を使用して Android アプリケーションをビルドするプロセスをカスタマイズすることができます。
それぞれの方法の詳細
android
コマンドラインツールを使用するには、以下の手順が必要です。
- NDK をインストールする。
android
コマンドラインツールをインストールする。- アプリケーションのソースコードディレクトリに移動する。
- 以下のコマンドを実行する。
android update project -p .
- 以下のコマンドを実行して、アプリケーションをビルドする。
android build
Android Studio を使用するには、以下の手順が必要です。
- Android Studio をインストールする。
- 新しいプロジェクトを作成する。
- プロジェクトの設定で、CMake をビルドシステムとして選択する。
- アプリケーションのソースコードを追加する。
- ビルドして実行する。
独自の CMake ツールチェーンファイルを作成するには、以下の手順が必要です。
- NDK のドキュメントに記載されている CMake ツールチェーンファイルのフォーマットを確認する。
- ツールチェーンファイルを作成する。
- CMakeLists.txt ファイルで、作成したツールチェーンファイルを指定する。
- ビルドする。
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