CMake: CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY変数を使って出力ディレクトリを制御
CMakeの変数 CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY の詳細解説
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
は、CMake でビルドされた実行可能ファイル(exeファイルなど)の出力ディレクトリを指定する変数です。これは、ビルドされた実行ファイルをどこに配置するかを制御するのに役立ちます。
デフォルトでは、CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
は以下のようになります。
- Unix 系:
<build_directory>/bin
- Windows:
<build_directory>/Debug
または<build_directory>/Release
(構成によって異なります)
設定方法
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
は、以下の方法で設定できます。
- CMakeLists.txt ファイルで
set()
コマンドを使用する - CMake GUI で設定する
例
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin")
上記の例では、CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
を <build_directory>/bin
に設定しています。
詳細
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
は、ターゲットごとに個別に設定することもできます。- CMake は、
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
の値にジェネレータ式を使用することができます。 - マルチ構成ジェネレータを使用している場合、
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
には構成名が付加されたサブディレクトリが作成されます。
補足
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
は、CMAKE_LIBRARY_OUTPUT_DIRECTORY
と似ていますが、こちらはライブラリファイルの出力ディレクトリを指定します。CMAKE_ARCHIVE_OUTPUT_DIRECTORY
は、アーカイブファイルの出力ディレクトリを指定します。
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
に関する質問があれば、お気軽にコメントしてください。
CMake の CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY を使ったサンプルコード
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin")
add_executable(my_app src/main.cpp)
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルが <build_directory>/bin
ディレクトリに生成されます。
ターゲットごとの設定
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_DEBUG "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin/Debug")
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_RELEASE "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin/Release")
add_executable(my_app src/main.cpp)
target_compile_definitions(my_app PUBLIC DEBUG=1)
target_link_libraries(my_app PRIVATE debug_library)
set_target_properties(my_app PROPERTIES
RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY "${CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_<CONFIG>}")
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルが、デバッグ構成の場合は <build_directory>/bin/Debug
ディレクトリに、リリース構成の場合は <build_directory>/bin/Release
ディレクトリに生成されます。
ジェネレータ式
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin/${CMAKE_BUILD_TYPE}")
add_executable(my_app src/main.cpp)
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルが <build_directory>/bin/<build_type>
ディレクトリに生成されます。<build_type>
は、デバッグ構成の場合は Debug
、リリース構成の場合は Release
になります。
マルチ構成ジェネレータ
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin/${CMAKE_CONFIG_NAME}")
add_executable(my_app src/main.cpp)
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルが <build_directory>/bin/<config_name>
ディレクトリに生成されます。<config_name>
は、構成名になります。
インストール
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY "${CMAKE_BINARY_DIR}/bin")
install(TARGETS my_app
RUNTIME DESTINATION "${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin")
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルが <install_prefix>/bin
ディレクトリにインストールされます。
これらのサンプルコードは、CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
の使い方を理解するのに役立ちます。
CMakeで実行可能ファイルの出力ディレクトリを指定する他の方法
CMAKE_INSTALL_PREFIX と DESTINATION
CMAKE_INSTALL_PREFIX
は、インストール時のデフォルトのプレフィックスディレクトリを指定します。 DESTINATION
は、個々のターゲットに対してインストール先ディレクトリを指定できます。
# CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_INSTALL_PREFIX "/usr/local")
add_executable(my_app src/main.cpp)
install(TARGETS my_app
RUNTIME DESTINATION bin)
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルは /usr/local/bin
ディレクトリにインストールされます。
add_custom_command
を使って、実行可能ファイルの生成後にコピーコマンドを実行することができます。
# CMakeLists.txt ファイル
add_executable(my_app src/main.cpp)
add_custom_command(TARGET my_app
POST_BUILD
COMMAND cp $<TARGET_FILE:my_app> /usr/local/bin)
この例では、my_app
という名前の実行可能ファイルはビルド後に /usr/local/bin
ディレクトリにコピーされます。
手動でコピー
ビルド後に手動で実行可能ファイルをコピーすることもできます。
# ビルド後
cp <build_directory>/bin/my_app /usr/local/bin
この方法は、単純ですが、他の方法に比べて柔軟性に欠けます。
- 多くのプロジェクトでは、
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
で十分です。 - インストール時に実行可能ファイルの場所をカスタマイズしたい場合は、
CMAKE_INSTALL_PREFIX
とDESTINATION
を使います。 - ビルド後に実行可能ファイルに対して特別な処理を行いたい場合は、
add_custom_command
を使います。 - 手動でコピーする方法は、単純なプロジェクトにのみ適しています。
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