CMakeポリシー CMP0094 を徹底解説:プロジェクトのソースツリーの変更を検知する
CMakeポリシー CMP0094 詳細解説:プロジェクトのソースツリーの変更を検知する
この解説では、CMP0094ポリシーについて詳しく説明します。このポリシーは、プロジェクトのソースツリーが変更されたかどうかを検知し、必要に応じてビルドプロセスを再実行するのに役立ちます。
CMP0094ポリシーは、以下の2つの主要な機能を提供します。
- ソースツリーの変更検知:
- ファイルの追加、削除、変更を監視します。
- ディレクトリの作成、削除、変更を監視します。
- ビルドプロセスの自動再実行:
- ソースツリーに変更が検出された場合、CMakeは自動的にビルドプロセスを再実行します。
- 必要に応じて、特定のターゲットのみを再ビルドすることができます。
CMP0094ポリシーを使用する利点は以下の通りです。
- ビルド時間の短縮: ソースツリーに変更がない場合は、CMakeはビルドプロセスをスキップするため、ビルド時間を短縮できます。
- エラーの削減: ソースツリーの変更がビルドプロセスに影響を与える可能性がある場合、CMakeは自動的にビルドプロセスを再実行し、エラーを検出することができます。
- 開発効率の向上: ソースツリーに変更を加えた後、すぐに結果を確認できるため、開発効率が向上します。
CMP0094ポリシーを使用するには、CMakeLists.txtファイルに以下のコードを追加する必要があります。
cmake_policy(CMP0094 NEW)
このコードは、CMakeにCMP0094ポリシーを有効にするように指示します。
CMP0094ポリシーの詳細については、以下のリソースを参照してください。
CMP0094ポリシーは、プロジェクトのソースツリーの変更を検知し、必要に応じてビルドプロセスを再実行するのに役立ちます。このポリシーを使用することで、ビルド時間の短縮、エラーの削減、開発効率の向上を実現することができます。
CMake ポリシー CMP0094 サンプルコード
基本的な使用例
cmake_policy(CMP0094 NEW)
add_executable(my_app main.cpp)
target_sources(my_app PRIVATE
"main.cpp"
"other_file.cpp")
# ソースツリーに変更があった場合は、ビルドプロセスを再実行します。
if(CMAKE_POLICY_CMP0094)
message(STATUS "ソースツリーに変更がありました。")
# 必要に応じて、特定のターゲットのみを再ビルドすることができます。
target_sources(my_app PRIVATE
"main.cpp"
"other_file.cpp"
"new_file.cpp")
endif()
このコードは、main.cpp
、other_file.cpp
、new_file.cpp
ファイルのいずれかに変更があった場合、my_app
ターゲットを再ビルドします。
特定のディレクトリのみを監視する
cmake_policy(CMP0094 NEW)
add_executable(my_app main.cpp)
target_sources(my_app PRIVATE
"main.cpp"
"other_file.cpp")
# ソースツリーの`src`ディレクトリのみを監視します。
if(CMAKE_POLICY_CMP0094)
message(STATUS "ソースツリーに変更がありました。")
# 必要に応じて、特定のターゲットのみを再ビルドすることができます。
target_sources(my_app PRIVATE
"main.cpp"
"other_file.cpp"
"new_file.cpp")
endif()
file(GLOB_RECURSE SOURCES "src/*.cpp")
target_sources(my_app PRIVATE ${SOURCES})
このコードは、src
ディレクトリ内のファイルのみに変更があった場合、my_app
ターゲットを再ビルドします。
ファイルの変更のみを監視する
cmake_policy(CMP0094 NEW)
add_executable(my_app main.cpp)
target_sources(my_app PRIVATE
"main.cpp"
"other_file.cpp")
# ディレクトリの作成や削除は無視します。
if(CMAKE_POLICY_CMP0094)
message(STATUS "ソースツリーに変更がありました。")
# 必要に応じて、特定のターゲットのみを再ビルドすることができます。
target_sources(my_app PRIVATE
"main.cpp"
"other_file.cpp"
"new_file.cpp")
endif()
file(GLOB_RECURSE SOURCES "src/*.cpp")
target_sources(my_app PRIVATE ${SOURCES})
add_custom_command(
TARGET my_app
POST_BUILD
COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E touch "my_app.exe")
このコードは、src
ディレクトリ内のファイルの変更のみを監視し、my_app
ターゲットを再ビルドします。ディレクトリの作成や削除は無視されます。
これらのサンプルコードは、CMP0094ポリシーの使用方法を示しています。これらのコードを参考に、プロジェクトのニーズに合った方法でポリシーを使用することができます。
CMakeでソースツリーの変更を検知するその他の方法
file(GLOB)
コマンドは、指定されたディレクトリ内のファイルのリストを取得します。このコマンドを使用して、ソースファイルのリストを取得し、そのリストをビルドプロセスで使用することができます。ソースファイルに変更があった場合、file(GLOB)
コマンドによって取得されるリストの内容も変わります。
file(GLOB_RECURSE SOURCES "src/*.cpp")
add_executable(my_app ${SOURCES})
このコードは、src
ディレクトリ内のすべての.cpp
ファイルを取得し、my_app
ターゲットのソースファイルとして使用します。src
ディレクトリ内の.cpp
ファイルに変更があった場合、file(GLOB)
コマンドによって取得されるリストの内容も変わり、my_app
ターゲットが再ビルドされます。
CMAKE_EXTRA_SOURCE_DIRS
変数は、ビルドプロセスに追加のソースディレクトリを指定するために使用されます。この変数を使用して、ソースツリー内の特定のディレクトリを監視することができます。これらのディレクトリ内のファイルに変更があった場合、CMakeは自動的にビルドプロセスを再実行します。
set(CMAKE_EXTRA_SOURCE_DIRS "src/my_module")
add_executable(my_app main.cpp)
このコードは、src/my_module
ディレクトリをmy_app
ターゲットの追加のソースディレクトリとして指定します。src/my_module
ディレクトリ内のファイルに変更があった場合、CMakeは自動的にmy_app
ターゲットを再ビルドします。
カスタムコマンドを使用して、ソースツリーの変更を監視することができます。カスタムコマンドは、ビルドプロセスの一環として実行される任意のコマンドです。
add_custom_command(
TARGET my_app
POST_BUILD
COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E touch "my_app.exe")
このコードは、my_app
ターゲットがビルドされた後にmy_app.exe
ファイルにタイムスタンプを付けるカスタムコマンドを追加します。my_app.exe
ファイルよりもソースファイルの方が新しい場合、my_app.exe
ファイルは再ビルドされます。
これらの方法は、CMakeでソースツリーの変更を検知する方法のほんの一例です。これらの方法を参考に、プロジェクトのニーズに合った方法を選択することができます。
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