CMakeポリシー CMP0087 の影響を受けるコマンド
CMakeポリシー CMP0087 は、install(CODE)
と install(SCRIPT)
コマンドにおけるジェネレータ式(generator expressions)の評価方法を制御します。このポリシーは CMake 3.2 で導入されました。
旧動作と新動作
旧動作 (CMake 3.1 以前):
- ジェネレータ式は、
install(CODE)
とinstall(SCRIPT)
コマンドが実行される前に評価されます。 - つまり、インストール先のパスは、CMake のconfigure段階で決定されます。
新動作 (CMake 3.2 以降):
- ジェネレータ式は、
install()
コマンドが実行される直前に評価されます。 - つまり、インストール先のパスは、ビルド段階で決定されます。
ポリシー設定方法
以下のコマンドで、ポリシーの動作を設定できます。
cmake_policy(CMP0087 NEW) # 新動作を有効にする
cmake_policy(CMP0087 OLD) # 旧動作を有効にする
影響を受けるコマンド
以下のコマンドは、CMP0087 ポリシーの影響を受けます。
install(CODE)
install(SCRIPT)
例
以下の例は、install(CODE)
コマンドでジェネレータ式を使用する例です。
set(CMAKE_INSTALL_PREFIX "/usr/local")
# 新動作の場合、インストール先のパスは "/usr/local/bin" になります。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION bin)
")
# 旧動作の場合、インストール先のパスは "/usr/local" になります。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION .)
")
注意事項
- CMP0087 ポリシーは、CMake 3.2 以降でのみ使用できます。
- 新動作を使用する場合は、ジェネレータ式がビルド段階で評価されることを考慮する必要があります。
- 上記の説明で不明な点があれば、遠慮なく質問してください。
- CMake に関する情報は、公式ドキュメントやチュートリアルを参照することをお勧めします。
CMake ポリシー CMP0087 のサンプルコード
サンプルコード 1: インストール先のパスを取得する
# 新動作の場合、インストール先のパスは "/usr/local/bin" になります。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION bin)
")
# 旧動作の場合、インストール先のパスは "/usr/local" になります。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION .)
")
このサンプルコードは、install(CODE)
コマンドでジェネレータ式を使用して、インストール先のパスを取得する方法を示しています。
新動作の場合、ジェネレータ式は install()
コマンドが実行される直前に評価されるため、インストール先のパスは ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin
になります。
旧動作の場合、ジェネレータ式は CMake のconfigure段階で評価されるため、インストール先のパスは ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}
になります。
サンプルコード 2: ファイル名にビルド情報を追加する
set(BUILD_VERSION "1.0.0")
# 新動作の場合、インストールされるファイル名は "my_program-1.0.0" になります。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program-${BUILD_VERSION}\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION bin RENAME my_program-${BUILD_VERSION})
")
# 旧動作の場合、インストールされるファイル名は "my_program" になります。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION bin)
")
説明
このサンプルコードは、install(CODE)
コマンドでジェネレータ式を使用して、ファイル名にビルド情報を追加する方法を示しています。
新動作の場合、ジェネレータ式は install()
コマンドが実行される直前に評価されるため、ファイル名は "my_program-${BUILD_VERSION}" になります。
旧動作の場合、ジェネレータ式は CMake のconfigure段階で評価されるため、ファイル名は "my_program" になります。
サンプルコード 3: 条件付きインストール
set(CONDITION TRUE)
# 新動作の場合、CONDITION が TRUE の場合のみ、my_program がインストールされます。
install(CODE "
if(${CONDITION})
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION bin)
endif()
")
# 旧動作の場合、CONDITION に関係なく、my_program がインストールされます。
install(CODE "
message(\"-- Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program\")
install(PROGRAMS my_program DESTINATION bin)
")
説明
このサンプルコードは、install(CODE)
コマンドでジェネレータ式を使用して、条件付きインストールを行う方法を示しています。
新動作の場合、ジェネレータ式は install()
コマンドが実行される直前に評価されるため、CONDITION
が TRUE の場合のみ my_program
がインストールされます。
旧動作の場合、ジェネレータ式は CMake のconfigure段階で評価されるため、CONDITION
に関係なく my_program
がインストールされます。
上記は、CMake ポリシー CMP0087 のサンプルコードです。これらのサンプルコードを参考に、実際のプロジェクトで CMP0087 ポリシーを活用してください。
- 上記のサンプルコードは、あくまでも参考例です。
- ご質問やご不明な点がございましたら、遠慮なくお声掛けください。
CMake ポリシー CMP0087 の代替方法
カスタムコマンドを使用する
install(CODE)
と install(SCRIPT)
コマンドの代わりに、カスタムコマンドを使用してインストール処理を行うことができます。カスタムコマンドでは、ジェネレータ式を自由に使用できます。
例
add_custom_command(
TARGET my_program
POST_BUILD
COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E echo "Installing executable: ${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/bin/my_program"
COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E install PROGRAMS my_program DESTINATION bin
)
説明
この例では、add_custom_command
コマンドを使用して、my_program
のインストール処理を定義しています。
POST_BUILD
オプションにより、my_program
のビルド後にインストール処理が実行されます。
-E echo
コマンドにより、インストール先のパスを出力しています。
-E install
コマンドにより、my_program
をインストールしています。
インストールスクリプトを使用する
install(SCRIPT)
コマンドの代わりに、インストールスクリプトを使用してインストール処理を行うことができます。インストールスクリプトでは、任意の言語を使用してジェネレータ式を評価できます。
例
# install.sh
#!/bin/bash
set -e
echo "Installing executable: /usr/local/bin/my_program"
install my_program /usr/local/bin
説明
この例では、install.sh
という名前のインストールスクリプトを作成しています。
このスクリプトは、my_program
を /usr/local/bin
ディレクトリにインストールします。
スクリプト内で、echo
コマンドを使用してインストール先のパスを出力しています。
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