C++標準ライブラリ、テンプレートエンジン、シェルスクリプト... string()コマンドの代替方法を徹底比較
CMakeにおけるstring()コマンド
CMakeのstring()コマンドは、文字列処理を行うための強力なツールです。C++のstd::stringのような機能に加え、CMake特有の便利な機能も備えています。
主な機能
- 文字列の連結、分割、置換、比較
- 大文字・小文字変換
- 部分文字列の抽出
- 正規表現による検索・置換
- ファイルパス処理
- リスト操作
使い方
string()コマンドは、以下の形式で記述します。
string(COMMAND <コマンド> <引数> ...)
コマンド一覧
以下に、代表的なコマンドと簡単な説明を紹介します。詳細はCMake公式ドキュメントを参照してください。
- APPEND:文字列を連結します。
- COMPARE:文字列を比較します。
- CONCAT:複数の文字列を連結します。
- COPY:文字列をコピーします。
- FIND:部分文字列を検索します。
- LENGTH:文字列の長さを取得します。
- LOWER:文字列を小文字に変換します。
- MATCH:正規表現による検索を行います。
- REPLACE:文字列を置換します。
- REVERSE:文字列を反転します。
- SUBSTRING:部分文字列を抽出します。
- TITLE:単語の先頭を大文字に変換します。
- TRIM:文字列の両端の空白文字を削除します。
例
以下に、string()コマンドの例を紹介します。
# 文字列の連結
string(APPEND var1 "Hello" " " "World!")
message(${var1}) # 出力: Hello World!
# 部分文字列の抽出
string(SUBSTRING var2 ${var1} 6 5)
message(${var2}) # 出力: World
# 大文字・小文字変換
string(TOUPPER var3 ${var2})
message(${var3}) # 出力: WORLD
# 正規表現による検索
string(MATCH regex "[A-Z]+ ${var3}")
if(${regex})
message("英字のみの文字列です")
else
message("英字以外の文字が含まれています")
endif
応用
string()コマンドは、様々な場面で活用できます。以下に、いくつかの例を紹介します。
- ソースコードのバージョン情報自動生成
- 設定ファイルの生成
- テストコードの自動生成
- ファイルパスの変換
- 文字列の比較による条件分岐
- 書籍: 書籍 CMakeによるC++ビルドシステム構築: URL 書籍 CMakeによるC++ビルドシステム構築
string()コマンドは、CMakeで文字列処理を行うための強力なツールです。様々な機能を理解することで、CMakeスクリプトの開発効率を大幅に向上させることができます。
string()コマンドのサンプルコード
ソースコードのバージョン情報自動生成
set(VERSION_MAJOR 1)
set(VERSION_MINOR 2)
set(VERSION_PATCH 3)
string(CONCAT VERSION "${VERSION_MAJOR}.${VERSION_MINOR}.${VERSION_PATCH}")
# ソースコードにバージョン情報を埋め込む
configure_file(
"${CMAKE_SOURCE_DIR}/version.h.in"
"${CMAKE_BINARY_DIR}/version.h"
@ONLY
)
# バージョン情報を出力する
message("VERSION: ${VERSION}")
設定ファイルの生成
set(CONFIG_FILE "${CMAKE_BINARY_DIR}/config.ini")
string(APPEND CONFIG_FILE "[General]")
string(APPEND CONFIG_FILE "Name=My Application")
string(APPEND CONFIG_FILE "Version=${VERSION}")
string(APPEND CONFIG_FILE "[Settings]")
string(APPEND CONFIG_FILE "Option1=True")
string(APPEND CONFIG_FILE "Option2=False")
# 設定ファイルを書き出す
file(WRITE "${CONFIG_FILE}" "${CONFIG_FILE}")
テストコードの自動生成
set(TEST_CASES "
Test1
Test2
Test3
")
foreach(TEST_CASE IN LISTS TEST_CASES)
string(APPEND TEST_CODE "
TEST(${TEST_CASE}) {
// テストコード
}
")
endforeach()
# テストコードをファイルに書き出す
file(WRITE "${CMAKE_BINARY_DIR}/test.cpp" "${TEST_CODE}")
ファイルパスの変換
set(SOURCE_FILE "${CMAKE_SOURCE_DIR}/main.cpp")
set(RELATIVE_PATH "${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/../include")
string(RELATIVE_PATH RELATIVE_PATH "${SOURCE_FILE}" "${RELATIVE_PATH}")
# 相対パスを出力する
message("RELATIVE_PATH: ${RELATIVE_PATH}")
文字列の比較による条件分岐
set(OS_NAME "Windows")
string(EQUAL OS_NAME "Windows" IS_WINDOWS)
if(IS_WINDOWS)
# Windows用の処理
else()
# それ以外のOS用の処理
endif()
string()コマンドの代替方法
C++の標準ライブラリ
- 利点:
- 汎用性が高い
- 多くのプログラマーが使い慣れている
- 欠点:
- CMake特有の機能を利用できない
- CMakeスクリプト内でC++のコードを書く必要がある
テンプレートエンジン
- 利点:
- 複雑な文字列処理を簡単に記述できる
- コードの可読性が高い
- 欠点:
- CMakeに標準で搭載されていない
- 別途ライブラリをインストールする必要がある
シェルスクリプト
- 利点:
- 非常に柔軟な処理が可能
- 多くのコマンドラインツールを利用できる
- 欠点:
- 可読性が低くなる可能性がある
- プラットフォーム依存の問題が発生する可能性がある
Pythonスクリプト
- 利点:
- 豊富なライブラリを利用できる
方法の選択
どの方法を選択するかは、処理内容やプログラマーのスキル、環境などによって異なります。以下に、いくつかの目安を紹介します。
- 簡単な文字列処理であれば、C++の標準ライブラリで十分
- 複雑な文字列処理や繰り返し処理を行う場合は、テンプレートエンジンやシェルスクリプト、Pythonスクリプトなどを検討
- CMake特有の機能を利用したい場合は、string()コマンドを使用
CMake: find_library()とtarget_link_directories()の連携
target_link_directories()コマンドは、CMakeプロジェクト内のターゲットに対して、リンカがライブラリを検索するディレクトリを指定するために使用されます。これは、ターゲットがリンクするライブラリが標準の検索パスに存在しない場合に特に重要です。
CMakeのCommandsにおけるuse_mangled_mesa()
use_mangled_mesa() は CMake の Commands における関数で、Mesa ライブラリの mangled シンボル名を解決するために使用されます。Mesa は OpenGL の実装であり、古いバージョンの Mesa ではシンボル名が mangled されるため、use_mangled_mesa() を使用してこれらのシンボル名を解決する必要があります。
CMake で変数を削除する3つの方法:unset() 以外にも使えるテクニック
<variable_name> は、削除したい変数の名前です。変数の名前は、文字、数字、下線(_)で構成され、先頭に数字以外のアクティブ文字が来る必要があります。変数の削除この例では、MY_VAR という変数を作成し、"Hello, world!" という値を設定します。その後、unset() コマンドを使用して MY_VAR を削除します。2番目の message() コマンドは、MY_VAR が削除されたことを確認するために使用されます。
CMake try_compile() を使って特定のライブラリがインストールされているかどうかを確認する方法
try_compile() は、CMake の強力なコマンドの一つで、コードを実際にコンパイルすることなく、コンパイルが成功するかどうかを確認することができます。これは、特定のコンパイラやオプションがシステム上で使用可能かどうかをテストしたり、コードの移植性を検証したりする際に非常に便利です。
CMakeの依存関係を使用したプログラミング
CMakeで依存関係を使用するには、以下の2つの方法があります。find_packageコマンドは、特定のライブラリやフレームワークがインストールされているかどうかを検出し、その場所と設定情報を提供します。外部プロジェクトを参照するadd_subdirectoryコマンドを使用して、外部プロジェクトを現在のプロジェクトに組み込むことができます。外部プロジェクトは、CMakeLists
異なるアーキテクチャ向けにアセンブリソースファイルをコンパイル:ASM_DIALECTFLAGSの活用例
ASM_DIALECTFLAGSは、以下の方法で設定できます。CMakeLists. txtファイル内でset()コマンドを使用するコマンドラインで-Dオプションを使用する以下の例は、ASM_DIALECTFLAGSを使用して、異なるアーキテクチャ向けの異なるアセンブリソースファイルをコンパイルする方法を示しています。
質問:制約条件とは何ですか?
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CMakeでVisual Studio ソリューションのソースコード管理を楽にする「VS_SCC_LOCALPATH」
"VS_SCC_LOCALPATH" は、CMake の "Properties: Targets" で使用されるプロパティです。Visual Studio ソリューション内でソースコード管理 (SCC) を使用する際に、ソースファイルのローカルパスを指定するために使用されます。
CMake の INTERFACE_SYSTEM_INCLUDE_DIRECTORIES とは?
INTERFACE_SYSTEM_INCLUDE_DIRECTORIES は、CMake のターゲットプロパティの一つであり、他のターゲットがこのターゲットを依存関係として使用する際に、コンパイル時に自動的に追加されるシステムヘッダーディレクトリを指定します。これは、ターゲットが提供するインターフェースの一部として公開されるヘッダーファイルへのパスを指定するために使用されます。
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