CMakeでtarget_output_directory()コマンドを使用して出力を設定する方法
CMake の RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG プロパティ
RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
プロパティは、ターゲットごとに実行可能ファイルや共有ライブラリなどの出力ファイルを配置するディレクトリを構成するために使用されます。これは、ビルド構成 (Debug、Release など) ごとに異なる出力ディレクトリを設定したい場合に便利です。
設定方法
RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
プロパティは、ターゲットのプロパティとして設定できます。以下の例では、my_target
ターゲットに対して、Debug 構成では bin/debug
ディレクトリ、Release 構成では bin/release
ディレクトリに出力ファイルを配置するように設定しています。
target_compile_definitions(my_target PUBLIC
$<$<CONFIG:Debug>:MY_DEBUG>
$<$<CONFIG:Release>:MY_RELEASE>)
target_property(my_target RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
$<$<CONFIG:Debug>:bin/debug>
$<$<CONFIG:Release>:bin/release>)
使用例
- デバッグビルドとリリースビルドで異なる出力ディレクトリを使用したい場合
- 特定の構成で生成された実行可能ファイルを異なる場所に配置したい場合
- 異なるアーキテクチャ向けのビルドで異なる出力ディレクトリを使用したい場合
注意事項
RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
プロパティは、CMake バージョン 3.5 以降で利用可能です。- このプロパティは、実行可能ファイルや共有ライブラリなどのターゲットにのみ適用されます。
- 出力ディレクトリは、事前に存在している必要はありません。CMake が自動的に作成します。
補足
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
環境変数を設定することで、すべてのターゲットに対してデフォルトの出力を設定することができます。target_output_directory()
コマンドを使用して、ターゲットの出力を設定することもできます。
例
以下の例では、my_target
ターゲットに対して、Debug 構成では bin/debug
ディレクトリ、Release 構成では bin/release
ディレクトリに出力ファイルを配置するように設定しています。
cmake_minimum_required(VERSION 3.5)
project(my_project)
add_executable(my_target
main.cpp)
target_compile_definitions(my_target PUBLIC
$<$<CONFIG:Debug>:MY_DEBUG>
$<$<CONFIG:Release>:MY_RELEASE>)
target_property(my_target RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
$<$<CONFIG:Debug>:bin/debug>
$<$<CONFIG:Release>:bin/release>)
この例では、my_target
ターゲットをビルドすると、以下のファイルが生成されます。
- Debug 構成:
bin/debug/my_target
(実行可能ファイル)
- Release 構成:
RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
プロパティは、ビルド構成ごとに異なる出力ディレクトリを設定したい場合に便利な CMake プロパティです。
CMake の RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG プロパティのサンプルコード
デバッグビルドとリリースビルドで異なる出力ディレクトリを使用する
cmake_minimum_required(VERSION 3.5)
project(my_project)
add_executable(my_target
main.cpp)
target_compile_definitions(my_target PUBLIC
$<$<CONFIG:Debug>:MY_DEBUG>
$<$<CONFIG:Release>:MY_RELEASE>)
target_property(my_target RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
$<$<CONFIG:Debug>:bin/debug>
$<$<CONFIG:Release>:bin/release>)
特定の構成で生成された実行可能ファイルを異なる場所に配置する
cmake_minimum_required(VERSION 3.5)
project(my_project)
add_executable(my_target
main.cpp)
if(CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Debug")
target_property(my_target RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY bin/debug)
else()
target_property(my_target RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY bin/release)
endif()
この例では、CMAKE_BUILD_TYPE
変数の値によって、my_target
ターゲットの出力ディレクトリが決定されます。
Debug
構成:bin/debug
ディレクトリ- その他の構成:
bin/release
ディレクトリ
異なるアーキテクチャ向けのビルドで異なる出力ディレクトリを使用する
cmake_minimum_required(VERSION 3.5)
project(my_project)
add_executable(my_target
main.cpp)
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
$<$<CONFIG:Debug>:bin/debug>
$<$<CONFIG:Release>:bin/release>
$<$<CONFIG:ARM>:bin/arm>
$<$<CONFIG:X86>:bin/x86>)
target_compile_definitions(my_target PUBLIC
$<$<CONFIG:Debug>:MY_DEBUG>
$<$<CONFIG:Release>:MY_RELEASE>)
この例では、CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
プロパティを使用して、アーキテクチャごとに異なる出力ディレクトリを設定しています。
- Debug 構成:
bin/debug
ディレクトリ (すべてのアーキテクチャ)
- Release 構成:
- ARM アーキテクチャ:
bin/arm
ディレクトリ (Debug および Release 構成)
環境変数を使用してデフォルトの出力を設定する
cmake_minimum_required(VERSION 3.5)
project(my_project)
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY /usr/local/bin)
add_executable(my_target
main.cpp)
この例では、CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
環境変数を設定することで、すべてのターゲットに対してデフォルトの出力を /usr/local/bin
ディレクトリに設定しています。
target_output_directory() コマンドを使用する
cmake_minimum_required(VERSION 3.5)
project(my_project)
add_executable(my_target
main.cpp)
target_output_directory(my_target
Debug bin/debug
Release bin/release)
この例では、target_output_directory()
コマンドを使用して、my_target
ターゲットの出力ディレクトリを設定しています。
- Release 構成:
bin/release
ディレクトリ
RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY_CONFIG
プロパティは、ビルド構成やアーキテクチャなどによって異なる出力ディレクトリを設定したい場合に便利な CMake プロパティです。
CMake でターゲットの出力を設定する他の方法
CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
環境変数を設定することで、すべてのターゲットに対してデフォルトの出力を設定することができます。
set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY /usr/local/bin)
add_executable(my_target
main.cpp)
この例では、すべてのターゲットは /usr/local/bin
ディレクトリに配置されます。
target_output_directory()
コマンドを使用して、個々のターゲットの出力を設定することができます。
add_executable(my_target
main.cpp)
target_output_directory(my_target
Debug bin/debug
Release bin/release)
この例では、my_target
ターゲットは、Debug 構成では bin/debug
ディレクトリ、Release 構成では bin/release
ディレクトリに配置されます。
ターゲットのプロパティを設定することで、出力ディレクトリを構成することができます。
add_executable(my_target
main.cpp)
target_property(my_target RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY
$<$<CONFIG:Debug>:bin/debug>
$<$<CONFIG:Release>:bin/release>)
この例では、my_target
ターゲットは、Debug 構成では bin/debug
ディレクトリ、Release 構成では bin/release
ディレクトリに配置されます。
install()
コマンドを使用して、ターゲットをインストール時に特定の場所に配置することができます。
install(TARGETS my_target
RUNTIME DESTINATION /usr/local/bin)
この例では、my_target
ターゲットはインストール時に /usr/local/bin
ディレクトリに配置されます。
カスタムコマンドを使用して、出力ファイルを好きな場所にコピーすることができます。
add_custom_command(TARGET my_target
POST_BUILD
COMMAND cp $<TARGET_FILE:my_target> /usr/local/bin)
この例では、my_target
ターゲットがビルドされた後、実行可能ファイルは /usr/local/bin
ディレクトリにコピーされます。
これらの方法のどれを選択するかは、要件とプロジェクトのセットアップによって異なります。
ヒント:
- 複数の方法を組み合わせることもできます。
- CMake のドキュメントを参照して、各方法の詳細を確認してください。
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