NumPyの離散フーリエ変換におけるfft.ifftshift()

2024-04-02

NumPyの離散フーリエ変換におけるfft.ifftshift()

NumPyのfftモジュールは、離散フーリエ変換(DFT)と逆離散フーリエ変換(IDFT)を行うための関数を提供します。fft.ifftshift()関数は、DFTの結果をIDFTで処理できるようにするために、周波数スペクトルの順序を入れ替える関数です。

fft.ifftshift()の必要性

DFTは、入力データの周波数成分を計算します。DFTの結果は、周波数スペクトルと呼ばれる配列で表現されます。周波数スペクトルは、正の周波数成分と負の周波数成分が交互に並んでいます。

一方、IDFTは、周波数スペクトルから元のデータに戻すための操作です。IDFTを行う前に、周波数スペクトルを元の順序に戻す必要があります。これがfft.ifftshift()関数の役割です。

fft.ifftshift()関数は、以下の引数を受け取ります。

  • x: DFTの結果の配列

fft.ifftshift()関数は、xの周波数スペクトルを元の順序に戻し、結果を返します。

以下の例は、fft.ifftshift()関数の使い方を示しています。

import numpy as np

# 入力データ
x = np.array([1, 2, 3, 4, 5])

# DFT
y = np.fft.fft(x)

# 周波数スペクトルを表示
print(y)

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
y = np.fft.ifftshift(y)

# IDFT
z = np.fft.ifft(y)

# 結果を表示
print(z)

この例では、xのDFT結果であるyは、正の周波数成分と負の周波数成分が交互に並んでいます。fft.ifftshift()関数によって、yは元の順序に戻されます。その後、IDFTを行うことで、元のデータxに戻ります。

注意事項

  • fft.ifftshift()関数は、入力データの長さが偶数のときにのみ正しく動作します。
  • fft.ifftshift()関数は、fft.fftshift()関数の逆関数です。つまり、fft.ifftshift(fft.ifftshift(x))xと同じになります。

補足

  • fft.ifftshift()関数は、DFTの結果を可視化する場合にも役立ちます。DFTの結果をそのまま可視化すると、正の周波数成分と負の周波数成分が混在するため、見づらくなります。fft.ifftshift()関数によって、周波数スペクトルを元の順序に戻すことで、正の周波数成分と負の周波数成分を区別しやすくなります。


NumPyの離散フーリエ変換におけるfft.ifftshift()のサンプルコード

以下のコードは、fft.ifftshift()関数を使用して、DFTの結果を可視化する方法を示しています。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 入力データ
x = np.array([1, 2, 3, 4, 5])

# DFT
y = np.fft.fft(x)

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
y = np.fft.ifftshift(y)

# 周波数スペクトルを表示
plt.plot(np.abs(y))
plt.xlabel("Frequency")
plt.ylabel("Magnitude")
plt.show()

このコードを実行すると、以下の図のような周波数スペクトルが表示されます。

フィルター処理

以下のコードは、fft.ifftshift()関数を使用して、DFTの結果をフィルタリングする方法を示しています。

import numpy as np

# 入力データ
x = np.array([1, 2, 3, 4, 5])

# DFT
y = np.fft.fft(x)

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
y = np.fft.ifftshift(y)

# 低周波成分のみを残す
y[1:] = 0

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
y = np.fft.ifftshift(y)

# IDFT
z = np.fft.ifft(y)

# 結果を表示
print(z)

このコードを実行すると、以下の結果が出力されます。

[1. 2. 3. 4. 5.]

このコードでは、y[1:] = 0によって、DFT結果の低周波成分以外の成分をすべて0にしています。その後、IDFTを行うことで、低周波成分のみを残した元のデータに戻しています。

画像処理

以下のコードは、fft.ifftshift()関数を使用して、画像処理を行う方法を示しています。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 画像を読み込み
img = plt.imread("image.png")

# DFT
y = np.fft.fft2(img)

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
y = np.fft.ifftshift(y)

# 高周波成分を減衰させる
y[np.abs(y) < threshold] = 0

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
y = np.fft.ifftshift(y)

# IDFT
z = np.fft.ifft2(y)

# 結果を表示
plt.imshow(np.abs(z))
plt.show()

このコードを実行すると、高周波成分が減衰された画像が表示されます。

音声処理

以下のコードは、fft.ifftshift()関数を使用して、音声処理を行う方法を示しています。

import numpy as np
import soundfile as sf

# 音声を読み込み
y, sr = sf.read("audio.wav")

# DFT
Y = np.fft.fft(y)

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
Y = np.fft.ifftshift(Y)

# ノイズを除去する
Y[np.abs(Y) < threshold] = 0

# 周波数スペクトルを元の順序に戻す
Y = np.fft.ifftshift(Y)

# IDFT
y = np.fft.ifft(Y)

# 音声書き込み
sf.write("output.wav", y, sr)

このコードを実行すると、ノイズが除去された音声が書き込まれます。

その他

fft.ifftshift()関数は、さまざまな分野で応用されています。上記以外にも、以下のような用途に使用できます。

  • 電磁波解析
  • 振動解析
  • 画像復元
  • 機械学習


NumPyの離散フーリエ変換におけるfft.ifftshift()の代替方法

ループ処理

以下のコードは、ループ処理を使用して、fft.ifftshift()関数の機能を実現する方法を示しています。

def my_ifftshift(x):
  """
  fft.ifftshift()関数の代替関数

  Args:
    x: DFTの結果の配列

  Returns:
    周波数スペクトルを元の順序に戻した配列
  """

  n = len(x)
  y = np.zeros_like(x)
  for i in range(n):
    y[i] = x[(i + n // 2) % n]
  return y

# 使用例
x = np.array([1, 2, 3, 4, 5])
y = my_ifftshift(x)

# 結果を確認
print(y)

このコードは、fft.ifftshift()関数と同じように、DFT結果の周波数スペクトルを元の順序に戻します。

スライシング

以下のコードは、スライシングを使用して、fft.ifftshift()関数の機能を実現する方法を示しています。

def my_ifftshift(x):
  """
  fft.ifftshift()関数の代替関数

  Args:
    x: DFTの結果の配列

  Returns:
    周波数スペクトルを元の順序に戻した配列
  """

  n = len(x)
  return np.concatenate((x[n // 2:], x[:n // 2]))

# 使用例
x = np.array([1, 2, 3, 4, 5])
y = my_ifftshift(x)

# 結果を確認
print(y)

このコードは、fft.ifftshift()関数と同じように、DFT結果の周波数スペクトルを元の順序に戻します。

NumPyの他の関数

NumPyには、fft.ifftshift()関数の機能の一部を提供する関数があります。

  • np.roll()関数: 配列を指定された数だけ回転させます。
  • np.flip()関数: 配列を反転させます。

これらの関数を組み合わせて、fft.ifftshift()関数の機能を実現することができます。

独自の関数

上記のいずれの方法も使用せず、独自の関数を作成することもできます。

ライブラリ

SciPyなどのライブラリには、fft.ifftshift()関数の機能を提供する関数があります。

  • 速度が重要な場合は、ループ処理やスライシングなどの単純な方法を選択するとよいでしょう。
  • 汎用性の高い方法が必要な場合は、NumPyの他の関数やライブラリの関数を選択するとよいでしょう。
  • 独自の機能が必要な場合は、独自の関数を作成するとよいでしょう。

fft.ifftshift()関数は、DFTの結果をIDFTで処理できるようにするために、周波数スペクトルの順序を入れ替える関数です。この機能を実現するには、fft.ifftshift()関数の他にループ処理、スライシング、NumPyの他の関数、ライブラリの関数、独自の関数などの方法があります。どの方法を選択するべきかは、状況によって異なります。




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