torch.HalfStorage を使ってメモリ使用量を削減する方法
PyTorch の Storage と torch.HalfStorage
torch.HalfStorage は、16 ビット浮動小数点数 (half precision) データ型を格納するために特化した Storage オブジェクトです。これは、メモリ使用量を抑え、計算速度を向上させる必要がある場合に役立ちます。
- メモリ使用量の削減: 32 ビット浮動小数点数 (float precision) データ型と比較して、50% のメモリ使用量で済みます。
- 計算速度の向上: 16 ビット演算は 32 ビット演算よりも高速に実行できます。
- 精度: 16 ビットデータ型は、32 ビットデータ型よりも精度が低くなります。
- 互換性: すべての PyTorch 操作が torch.HalfStorage をサポートしているわけではありません。
torch.HalfStorage は、いくつかの方法で使用できます。
- 直接作成:
half_storage = torch.HalfStorage(1024)
- 既存のテンソルから作成:
tensor = torch.randn(10, 10)
half_storage = tensor.storage().half()
- torch.from_buffer を使用:
data = bytearray(1024)
half_storage = torch.from_buffer(data, dtype=torch.half)
- torch.HalfStorage は、CPU と GPU の両方で使用できます。
- デフォルトでは、torch.HalfStorage は CPU 上に作成されます。
- GPU 上に torch.HalfStorage を作成するには、
device="cuda"
オプションを指定する必要があります。
まとめ
torch.HalfStorage は、メモリ使用量を抑え、計算速度を向上させる必要がある場合に役立つ Storage オブジェクトです。ただし、精度が低くなる可能性がある点に注意が必要です。
補足:
- 上記の情報は、PyTorch 1.9.1 に基づいています。
- 詳細については、PyTorch ドキュメントを参照してください。
torch.HalfStorage のサンプルコード
直接作成
# 1024 個の要素を持つ HalfStorage を作成
half_storage = torch.HalfStorage(1024)
# 最初の要素の値を設定
half_storage[0] = 1.234
# データを読み出す
value = half_storage[0]
# ストレージのサイズを取得
size = half_storage.size()
# ストレージの内容をすべてクリア
half_storage.fill_(0)
既存のテンソルから作成
# ランダムな値を持つ 10x10 テンソルを作成
tensor = torch.randn(10, 10)
# テンソルのストレージを HalfStorage に変換
half_storage = tensor.storage().half()
# 変換後のテンソルのデータ型を確認
tensor.dtype
# 変換後のテンソルの値を確認
tensor[0, 0]
torch.from_buffer を使用
# 1024 バイトのバイト配列を作成
data = bytearray(1024)
# バイト配列から HalfStorage を作成
half_storage = torch.from_buffer(data, dtype=torch.half)
# ストレージの最初の要素の値を設定
half_storage[0] = 1.234
# バイト配列の内容を変更
data[0] = 1
# ストレージの値が変更されていることを確認
half_storage[0]
CPU と GPU 間の転送
# CPU 上に HalfStorage を作成
half_storage = torch.HalfStorage(1024)
# CPU から GPU に転送
half_storage_cuda = half_storage.cuda()
# GPU 上のストレージの最初の要素の値を設定
half_storage_cuda[0] = 1.234
# GPU から CPU に転送
half_storage_cpu = half_storage_cuda.cpu()
# 転送後のストレージの値を確認
half_storage_cpu[0]
その他
torch.HalfStorage.fill_(value)
: ストレージのすべての要素を指定された値で初期化します。torch.HalfStorage.copy_(source)
:
PyTorchでテンソルのメモリ使用量を削減する方法
データ型を低精度にする
torch.float
ではなくtorch.half
を使用します。torch.double
ではなくtorch.float
を使用します。
バッチサイズを小さくする
- バッチサイズを小さくすると、一度に処理するデータ量が減り、メモリ使用量が削減されます。
モデルの複雑さを減らす
- モデルの複雑さを減らすと、必要なパラメータの数が減り、メモリ使用量が削減されます。
GPU を使用する
- GPU は CPU よりも多くのメモリを搭載しているので、GPU を使用することでメモリ使用量を削減できます。
勾配の蓄積
- 勾配計算時に
torch.autograd.backward()
を実行する前にtorch.grad.accumulate()
を使用することで、勾配をメモリに蓄積することができます。
メモリ使用量の監視
torch.cuda.memory_allocated()
やtorch.cuda.max_memory_allocated()
を使用して、メモリ使用量を監視することができます。
その他
torch.jit.trace()
やtorch.jit.script()
を使用して、モデルをグラフ化することで、メモリ使用量を削減できる場合があります。torch.onnx.export()
を使用して、モデルを ONNX 形式に変換することで、他のフレームワークで実行できるようになります。
上記の情報は参考用であり、最新の情報ではない可能性があります。詳細は、PyTorch ドキュメントを参照してください。
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