addcmul_() メソッドの代替方法: add_() と mul_() メソッドの組み合わせ、 torch.addcmul() メソッド、ループによる計算
PyTorch Tensor の torch.Tensor.addcmul_() メソッドの詳細解説
torch.Tensor.addcmul_()
は、PyTorch の Tensor クラスに属する in-place メソッドで、3 つの Tensor とスカラー値を受け取り、以下の式に基づいて元の Tensor を更新します。
out_i = in_i + value * tensor1_i * tensor2_i
ここで、
out_i
: 更新後の Tensor の i 番目の要素value
: スカラー値tensor1_i
: 1 つ目の Tensor の i 番目の要素
つまり、addcmul_()
は、3 つの Tensor を要素ごとに掛け、その結果にスカラー値を乗じて、元の Tensor に加算します。
コード例
import torch
# テンサーの作成
a = torch.randn(3, 3)
b = torch.randn(3, 3)
c = torch.randn(3, 3)
# addcmul_() の使用
a.addcmul_(b, c, value=0.5)
# 結果の確認
print(a)
このコードは、a
に b
と c
の要素ごとの積に 0.5 を乗じて加算し、結果を a
に格納します。
引数
tensor1
(Tensor): 1 つ目の Tensorvalue
(Number, optional): スカラー値。デフォルトは 1
戻り値
None。元の Tensor が更新されます。
注意点
tensor1
、tensor2
、およびout
は、すべて同じサイズである必要があります。value
は、Tensor のデータ型と一致する必要があります。
応用例
- 2 つのテンサーの要素ごとの積を、別のテンサーに累積加算する場合
- 行列の乗算を実装する場合
- ニューラルネットワークの重みを更新する場合
補足
addcmul_()
は、add_()
とmul_()
メソッドを組み合わせたものと考えることができます。addcmul_()
は、inplace メソッドなので、元の Tensor が更新されます。元の Tensor を変更せずに同じ計算を行う場合は、addcmul()
メソッドを使用する必要があります。
PyTorch Tensor の torch.Tensor.addcmul_() メソッドのサンプルコード
import torch
def matmul(a, b):
"""
行列の乗算を実装する関数
Args:
a (Tensor): 1 つ目の行列
b (Tensor): 2 つ目の行列
Returns:
Tensor: 積行列
"""
# 行列のサイズ確認
assert a.shape[1] == b.shape[0], "行列のサイズが一致しません"
# 出力テンサーの作成
c = torch.zeros(a.shape[0], b.shape[1])
# ループによる計算
for i in range(a.shape[0]):
for j in range(b.shape[1]):
for k in range(a.shape[1]):
c[i][j] += a[i][k] * b[k][j]
return c
# テスト
a = torch.randn(3, 4)
b = torch.randn(4, 3)
c = matmul(a, b)
# 結果の確認
print(c)
ニューラルネットワークの重みの更新
import torch
class Linear(torch.nn.Module):
"""
線形層を実装するクラス
Args:
in_features: 入力特徴量数
out_features: 出力特徴量数
Attributes:
weight: 重み
bias: バイアス
"""
def __init__(self, in_features, out_features):
super().__init__()
# 重みの初期化
self.weight = torch.nn.Parameter(torch.randn(in_features, out_features))
# バイアスの初期化
self.bias = torch.nn.Parameter(torch.zeros(out_features))
def forward(self, x):
"""
順伝播
Args:
x (Tensor): 入力
Returns:
Tensor: 出力
"""
# 線形結合
out = torch.matmul(x, self.weight)
# バイアスの加算
out += self.bias
return out
# テスト
model = Linear(10, 5)
# 入力データの作成
x = torch.randn(10, 1)
# 順伝播
out = model(x)
# 損失関数の定義
loss_fn = torch.nn.MSELoss()
# 損失の計算
loss = loss_fn(out, target)
# 勾配の計算
loss.backward()
# 重みの更新
with torch.no_grad():
model.weight.addcmul_(x.t(), -0.01 * loss.grad)
# 結果の確認
print(model.weight)
2 つのテンサーの要素ごとの積を別のテンサーに累積加算
import torch
# テンサーの作成
a = torch.randn(3, 3)
b = torch.randn(3, 3)
c = torch.zeros(3, 3)
# ループによる計算
for i in range(3):
for j in range(3):
c[i][j] += a[i][j] * b[i][j]
# addcmul_() の使用
c.addcmul_(a, b)
# 結果の確認
print(c)
これらのコードは、addcmul_()
メソッドのさまざまな使用方法を示しています。
PyTorch Tensor の torch.Tensor.addcmul_() メソッドの代替方法
add_() と mul_() メソッドの組み合わせ
def addcmul(a, b, c, value=1):
"""
addcmul_() メソッドの代替関数
Args:
a (Tensor): 出力テンサー
b (Tensor): 1 つ目のテンサー
c (Tensor): 2 つ目のテンサー
value (Number): スカラー値
Returns:
Tensor: 出力テンサー
"""
a.mul_(b).mul_(value).add_(c)
return a
# テスト
a = torch.randn(3, 3)
b = torch.randn(3, 3)
c = torch.randn(3, 3)
d = addcmul(a.clone(), b, c, value=0.5)
# 結果の確認
print(d)
torch.addcmul() メソッド
def addcmul(a, b, c, value=1):
"""
addcmul_() メソッドの代替関数
Args:
a (Tensor): 出力テンサー
b (Tensor): 1 つ目のテンサー
c (Tensor): 2 つ目のテンサー
value (Number): スカラー値
Returns:
Tensor: 出力テンサー
"""
return torch.addcmul(a, b, c, value)
# テスト
a = torch.randn(3, 3)
b = torch.randn(3, 3)
c = torch.randn(3, 3)
d = addcmul(a.clone(), b, c, value=0.5)
# 結果の確認
print(d)
ループによる計算
def addcmul(a, b, c, value=1):
"""
addcmul_() メソッドの代替関数
Args:
a (Tensor): 出力テンサー
b (Tensor): 1 つ目のテンサー
c (Tensor): 2 つ目のテンサー
value (Number): スカラー値
Returns:
Tensor: 出力テンサー
"""
for i in range(a.shape[0]):
for j in range(a.shape[1]):
a[i][j] += value * b[i][j] * c[i][j]
return a
# テスト
a = torch.randn(3, 3)
b = torch.randn(3, 3)
c = torch.randn(3, 3)
d = addcmul(a.clone(), b, c, value=0.5)
# 結果の確認
print(d)
これらの方法は、それぞれ異なる長所と短所があります。
add_()
とmul_()
メソッドの組み合わせは、最もシンプルですが、最も多くの計算量が必要です。torch.addcmul()
メソッドは、最も効率的ですが、最もコード量が多くなります。- ループによる計算は、最も柔軟ですが、最もコード量が多く、最もエラーが発生しやすいです。
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