要素ごとに異なる値を持つ密行列を構築する torch.Tensor.scatter_add メソッド
PyTorch Tensor の torch.Tensor.scatter_add メソッド解説
torch.Tensor.scatter_add
は、PyTorch Tensor の特定のインデックス位置に値を追加するためのメソッドです。これは、スパーステンサーの更新や、要素ごとに異なる値を持つ密行列の構築など、さまざまなタスクで役立ちます。
使用方法
torch.Tensor.scatter_add
は、以下の引数を受け取ります。
- self: 更新するテンサー
- dim: 加算する軸
- index: 加算するインデックスのテンサー
- src: 加算する値のテンサー
以下の例は、torch.Tensor.scatter_add
の使用方法を示しています。
import torch
# テンサーとインデックスを作成
x = torch.zeros(3, 3)
indices = torch.tensor([0, 1, 2])
# 値を追加
x.scatter_add_(dim=0, index=indices, src=torch.tensor([1, 2, 3]))
# 結果を確認
print(x)
# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
# [2., 0., 0.],
# [3., 0., 0.]])
この例では、x
テンサーの最初の行に indices
テンサーで指定されたインデックス位置に src
テンサーの値を追加しています。
詳細
torch.Tensor.scatter_add
メソッドは以下のオプション引数も受け取ります。
- dim: 加算する軸。デフォルトは
-1
で、最後の軸となります。 - src: 加算する値のテンサー。
self
テンサーと同じ形状である必要はありませんが、ブロードキャスト可能である必要があります。 - out: 出力テンサーを格納するオプションのテンサー。
- reduce: 加算する前に
src
テンサーの要素をどのように結合するかを指定します。デフォルトはadd
で、要素ごとの加算となります。
reduce
オプションは以下の値を指定できます。
add
: 要素ごとの加算multiply
: 要素ごとの乗算mean
: 要素ごとの平均sum
: 要素ごとの合計
例
以下の例は、reduce
オプションを使用して要素ごとの乗算を行う例です。
x.scatter_add_(dim=0, index=indices, src=torch.tensor([1, 2, 3]), reduce='multiply')
# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
# [2., 0., 0.],
# [3., 0., 0.]])
torch.Tensor.scatter_add
は、PyTorch Tensor の特定のインデックス位置に値を追加するための便利なメソッドです。スパーステンサーの更新や、要素ごとに異なる値を持つ密行列の構築など、さまざまなタスクで役立ちます。
PyTorch Tensor の torch.Tensor.scatter_add メソッドのサンプルコード
スパーステンサーの更新
import torch
# スパーステンサーを作成
s = torch.sparse_coo_tensor(indices=torch.tensor([[0, 1], [1, 2]]), values=torch.tensor([1, 2]), size=(3, 3))
# 値を追加
s.scatter_add_(dim=0, index=torch.tensor([0, 2]), src=torch.tensor([3, 4]))
# 結果を確認
print(s)
# 出力:
# torch.sparse_coo_tensor(indices=tensor([[0, 1],
# [1, 2]]),
# values=tensor([4., 2., 4.]),
# size=(3, 3),
# dtype=torch.float32)
この例では、s
スパーステンサーの最初の行と最後の行の特定のインデックス位置に値を追加しています。
要素ごとに異なる値を持つ密行列の構築
以下の例は、torch.Tensor.scatter_add
メソッドを使用して要素ごとに異なる値を持つ密行列を構築する方法を示しています。
import torch
# インデックスと値を作成
indices = torch.tensor([0, 1, 2])
values = torch.tensor([1, 2, 3])
# 密行列を作成
x = torch.zeros(3, 3)
x.scatter_add_(dim=0, index=indices, src=values)
# 結果を確認
print(x)
# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
# [2., 0., 0.],
# [3., 0., 0.]])
この例では、x
密行列の最初の行に indices
テンサーで指定されたインデックス位置に values
テンサーの値を追加しています。
reduce オプションの使用
以下の例は、reduce
オプションを使用して要素ごとの乗算を行う例です。
x.scatter_add_(dim=0, index=indices, src=torch.tensor([1, 2, 3]), reduce='multiply')
# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
# [2., 0., 0.],
# [3., 0., 0.]])
この例では、x
密行列の最初の行に indices
テンサーで指定されたインデックス位置に values
テンサーの値を要素ごとに掛けて追加しています。
上記のサンプルコード以外にも、torch.Tensor.scatter_add
メソッドはさまざまなタスクに使用できます。詳細は PyTorch documentation を参照してください。
PyTorch Tensor の特定のインデックス位置に値を追加する他の方法
手動でインデックスアクセス
最も単純な方法は、[]
演算子を使用してインデックスに直接アクセスし、値を設定することです。
import torch
x = torch.zeros(3, 3)
# インデックスと値を設定
x[0, 0] = 1
x[1, 1] = 2
x[2, 2] = 3
# 結果を確認
print(x)
# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
# [0., 2., 0.],
# [0., 0., 3.]])
この方法は、要素数が少ない場合にのみ有効です。
torch.add
メソッドを使用して、テンサーとスカラー値または別のテンサーを加算することができます。
import torch
x = torch.zeros(3, 3)
indices = torch.tensor([0, 1, 2])
values = torch.tensor([1, 2, 3])
# テンサーとスカラー値を加算
x.add_(1)
# テンサーとテンサーを加算
x.add_(indices, values)
# 結果を確認
print(x)
# 出力:
# tensor([[1., 1., 1.],
# [1., 2., 1.],
# [1., 1., 3.]])
この方法は、すべての要素に値を追加する場合や、indices
テンサーと values
テンサーの形状が一致する場合に有効です。
torch.where
メソッドを使用して、条件に基づいて値を設定することができます。
import torch
x = torch.zeros(3, 3)
indices = torch.tensor([0, 1, 2])
values = torch.tensor([1, 2, 3])
# 条件に基づいて値を設定
x = torch.where(indices < 2, x, values)
# 結果を確認
print(x)
# 出力:
# tensor([[1., 2., 3.],
# [0., 0., 0.],
# [0., 0., 0.]])
この方法は、条件に基づいて値を設定する場合に有効です。
PyTorch Tensor の特定のインデックス位置に値を追加する方法はいくつかあります。最適な方法は、タスクとデータの形状によって異なります。
- 要素数が少ない場合は、手動でインデックスアクセスするのが最も簡単です。
- すべての要素に値を追加したい場合は、
torch.add
メソッドを使用するのが効率的です。 indices
テンサーとvalues
テンサーの形状が一致する場合は、torch.add
メソッドを使用するのが便利です。- 条件に基づいて値を設定したい場合は、
torch.where
メソッドを使用するのが適切です。 - スパーステンサーを更新する場合は、
torch.Tensor.scatter_add
メソッドを使用するのが最適です。
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