PyTorch 分散チェックポイント徹底解説:DefaultLoadPlanner を使いこなす
PyTorch の分散チェックポイントと DefaultLoadPlanner
DefaultLoadPlanner は、以下の動作を行うシンプルなロードプランナーです。
- モデルの状態を複数のファイルに分割します。
- 各ファイルを異なる GPU に読み込みます。
- すべてのファイルが読み込まれるまで、GPU を同期します。
DefaultLoadPlanner は、以下の利点があります。
- 実装が簡単です。
- 多くの場合、良好なパフォーマンスを発揮します。
しかし、DefaultLoadPlanner は、以下の欠点もあります。
- すべての GPU が同じ速度で読み込みを行う必要があるため、遅い GPU によって全体のパフォーマンスが制限される可能性があります。
- ネットワーク帯域幅が制限されている場合、ファイルの読み込みに時間がかかる可能性があります。
DefaultLoadPlanner を使用するには、以下のコードを使用します。
from torch.distributed.checkpoint import DefaultLoadPlanner
# ロードプランナーを作成します。
load_planner = DefaultLoadPlanner()
# チェックポイントファイルを読み込みます。
checkpoint = torch.load("checkpoint.pth", map_location="cpu")
# モデルの状態を復元します。
load_planner.load_checkpoint(checkpoint)
DefaultLoadPlanner は、以下のオプションをサポートしています。
chunk_size
: ファイル分割時のチャンクサイズです。timeout
: ファイル読み込みのタイムアウト時間です。min_chunk_size
: 最小チャンクサイズです。
これらのオプションは、パフォーマンスを調整するために使用できます。
DefaultLoadPlanner は、PyTorch の分散チェックポイント機能で使用されるシンプルなロードプランナーです。多くの場合、良好なパフォーマンスを発揮しますが、ネットワーク帯域幅が制限されている場合や、GPU の速度が異なる場合は、他のロードプランナーの方が良いパフォーマンスを発揮する可能性があります。
DefaultLoadPlanner を使用した分散チェックポイントのサンプルコード
import torch
import torch.distributed as dist
from torch.distributed.checkpoint import DefaultLoadPlanner
# 分散環境を初期化します。
dist.init_process_group("nccl", init_method="env://")
# モデルを定義します。
model = torch.nn.Linear(10, 1)
# モデルを訓練します。
for epoch in range(10):
# ...
# モデルの状態を保存します。
torch.save(model.state_dict(), "checkpoint.pth")
# ロードプランナーを作成します。
load_planner = DefaultLoadPlanner()
# チェックポイントファイルを読み込みます。
checkpoint = torch.load("checkpoint.pth", map_location="cpu")
# モデルの状態を復元します。
load_planner.load_checkpoint(checkpoint)
このコードは、以下の手順を実行します。
- 分散環境を初期化します。
- モデルを定義します。
- モデルを訓練します。
- モデルの状態を保存します。
- ロードプランナーを作成します。
- チェックポイントファイルを読み込みます。
異なる GPU 速度に対応するサンプルコード
以下のコードは、異なる GPU 速度に対応するために、chunk_size
オプションを使用するサンプルコードです。
# ...
# ロードプランナーを作成します。
load_planner = DefaultLoadPlanner(chunk_size=1024 * 1024)
# ...
このコードは、ファイルを 1MB のチャンクに分割して読み込みます。これにより、遅い GPU がファイルを読み込むのを待っている間に、速い GPU が処理を続行することができます。
ネットワーク帯域幅制限に対応するサンプルコード
以下のコードは、ネットワーク帯域幅制限に対応するために、timeout
オプションを使用するサンプルコードです。
# ...
# ロードプランナーを作成します。
load_planner = DefaultLoadPlanner(timeout=10)
# ...
このコードは、ファイル読み込みのタイムアウトを 10 秒に設定します。これにより、ネットワーク帯域幅が制限されている場合でも、ファイル読み込みが長時間になるのを防ぐことができます。
これらのサンプルコードは、DefaultLoadPlanner を使用して分散チェックポイントを行うための参考になります。
DefaultLoadPlanner 以外の分散チェックポイント方法
ShardedLoadPlanner は、モデルの状態をシャードと呼ばれる小さな部分に分割し、各シャードを異なる GPU に読み込むロードプランナーです。ShardedLoadPlanner は、DefaultLoadPlanner よりも以下の利点があります。
- ネットワーク帯域幅の使用量を削減できます。
- 異なる GPU 速度に対応できます。
しかし、ShardedLoadPlanner は、DefaultLoadPlanner よりも実装が複雑です。
PipelinedLoadPlanner は、モデルの状態を複数のファイルに分割し、ファイルをパイプラインで読み込むロードプランナーです。PipelinedLoadPlanner は、DefaultLoadPlanner よりも以下の利点があります。
- ファイル読み込み時間を短縮できます。
しかし、PipelinedLoadPlanner は、実装が複雑であり、すべての GPU が同じ速度で読み込みを行う必要があるという制限があります。
自作のロードプランナー
上記以外にも、独自のロードプランナーを作成することもできます。独自のロードプランナーを作成する場合は、以下の点を考慮する必要があります。
- ネットワーク帯域幅の使用量
- GPU 速度
- 実装の複雑さ
DefaultLoadPlanner は、PyTorch の分散チェックポイント機能で使用できるシンプルなロードプランナーです。多くの場合、良好なパフォーマンスを発揮しますが、ネットワーク帯域幅が制限されている場合や、GPU の速度が異なる場合は、他のロードプランナーの方が良いパフォーマンスを発揮する可能性があります。
上記のロードプランナーの比較表を参考にして、ニーズに合ったロードプランナーを選択してください。
ロードプランナー | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
DefaultLoadPlanner | 実装が簡単 | ネットワーク帯域幅や GPU 速度の影響を受けやすい |
ShardedLoadPlanner | ネットワーク帯域幅の使用量を削減できる | 実装が複雑 |
PipelinedLoadPlanner | ファイル読み込み時間を短縮できる | 実装が複雑、すべての GPU が同じ速度で読み込みを行う必要がある |
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