PyTorch分散学習:Torchelasticと torch.distributed.is_torchelastic_launched()
PyTorchの分散通信におけるtorch.distributed.is_torchelastic_launched()
torch.distributed.is_torchelastic_launched()
は、PyTorchの分散通信モジュールtorch.distributed
における、Torchelasticを使用してプロセスが起動されたかどうかを判定する関数です。
Torchelasticは、大規模な分散学習を容易にする、PyTorchのオープンソース拡張ライブラリです。複数のGPUやノードにわたってモデルの訓練を効率的に行うことができます。
torch.distributed.is_torchelastic_launched()の役割
この関数は、以下の条件を満たす場合にTrueを返します。
- プロセスが
torch.distributed.launch
を使用して起動された TORCHELASTIC_MAIN_RANK
環境変数が設定されている
これらの条件を満たす場合、そのプロセスはTorchelasticによって起動されたと判断できます。
使用例
import torch.distributed
if torch.distributed.is_torchelastic_launched():
# Torchelasticによって起動された場合の処理
else:
# それ以外の処理
注意事項
- この関数は、
torch.distributed
モジュールが初期化された後にのみ呼び出すことができます。 - MacOSでは、
torch.distributed
モジュールがデフォルトで利用できないため、この関数は常にFalseを返します。
補足
torch.distributed.launch
は、Torchelasticを使用して複数のプロセスを起動するためのコマンドラインツールです。TORCHELASTIC_MAIN_RANK
環境変数は、Torchelasticによって起動されたプロセスの中で、メインランクのプロセスのみに設定されます。
PyTorchの分散通信におけるtorch.distributed.is_torchelastic_launched()のサンプルコード
# ファイル名: main.py
import torch
import torch.distributed as dist
def main():
# Torchelasticを使用してプロセスを起動
dist.launch("localhost:23456", "main.py")
# Torchelasticによって起動されたかどうかを判定
if torch.distributed.is_torchelastic_launched():
print("This process was launched by Torchelastic.")
else:
print("This process was not launched by Torchelastic.")
if __name__ == "__main__":
main()
実行方法
main.py
ファイルを保存します。- 以下のコマンドを実行して、Torchelasticを使用して2つのプロセスを起動します。
torch.distributed.launch localhost:23456 main.py
出力結果
This process was launched by Torchelastic.
This process was launched by Torchelastic.
torch.distributed.is_torchelastic_launched()を使用して、Torchelastic環境とそれ以外の環境で処理を分岐する
# ファイル名: main.py
import torch
import torch.distributed as dist
def main():
# Torchelasticによって起動されたかどうかを判定
if torch.distributed.is_torchelastic_launched():
# Torchelastic環境での処理
print("This process is running in a Torchelastic environment.")
# ...
else:
# それ以外の環境での処理
print("This process is not running in a Torchelastic environment.")
# ...
if __name__ == "__main__":
main()
実行方法
- 以下のコマンドを実行して、
torch.distributed
モジュールを初期化せずにスクリプトを実行します。
python main.py
出力結果
This process is not running in a Torchelastic environment.
python -m torch.distributed.launch localhost:23456 main.py
出力結果
This process is running in a Torchelastic environment.
これらのサンプルコードは、torch.distributed.is_torchelastic_launched()
の使い方を理解するのに役立ちます。
torch.distributed.is_torchelastic_launched()以外の方法
TORCHELASTIC_MAIN_RANK
環境変数は、Torchelasticによって起動されたプロセスの中で、メインランクのプロセスのみに設定されます。この環境変数の値を確認することで、Torchelastic環境かどうかを判定できます。
import os
if "TORCHELASTIC_MAIN_RANK" in os.environ:
# Torchelastic環境
else:
# それ以外の環境
torch.distributed.get_world_size()
は、現在の分散訓練に参加しているプロセスの数を返します。この値が1よりも大きい場合、Torchelastic環境で実行されている可能性が高いです。
import torch.distributed as dist
world_size = dist.get_world_size()
if world_size > 1:
# Torchelastic環境
else:
# それ以外の環境
torch.distributed.is_available()
は、分散訓練が利用可能かどうかを返します。この値がTrueの場合、Torchelastic環境で実行されている可能性が高いです。
import torch.distributed as dist
if dist.is_available():
# Torchelastic環境
else:
# それ以外の環境
注意事項
- 上記の方法はいずれも、確実な判定方法ではありません。
TORCHELASTIC_MAIN_RANK
環境変数は、Torchelastic以外の環境でも設定される可能性があります。torch.distributed.get_world_size()
は、torch.distributed
モジュールが初期化された後にのみ呼び出すことができます。torch.distributed.is_available()
は、PyTorchのバージョンによって動作が異なる可能性があります。
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