PyTorch Miscellaneous: 隠れた機能 torch.overrides.wrap_torch_function()
PyTorch Miscellaneous: torch.overrides.wrap_torch_function()解説
PyTorchは、機械学習アプリケーション開発のためのオープンソースライブラリです。torch.overrides.wrap_torch_function()
は、PyTorchの「Miscellaneous」カテゴリに属する関数で、既存のPyTorch関数をオーバーライドするための機能を提供します。
概要
torch.overrides.wrap_torch_function()
は、以下の目的で使用されます。
- 既存のPyTorch関数の動作を変更
- 新しい機能を追加
- 既存の関数の互換性を維持
仕組み
torch.overrides.wrap_torch_function()
は、デコレータとして使用されます。デコレータで装飾された関数は、元の関数の名前と引数を持つ新しい関数として登録されます。新しい関数は、元の関数と同じ引数を受け取り、同じ出力を返します。
例
以下の例は、torch.add()
関数をオーバーライドして、2つの数値の合計に1を加算する例です。
from torch.overrides import wrap_torch_function
@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
return torch.add(a, b) + 1
# my_add関数はtorch.add関数をオーバーライド
result = my_add(1, 2)
# 結果: 4
print(result)
注意点
torch.overrides.wrap_torch_function()
を使用するには、PyTorch 1.7以降が必要です。- デコレータで装飾された関数は、元の関数の引数と出力を完全に一致させる必要があります。
- デコレータで装飾された関数は、元の関数のドキュメントを引き継ぎます。
補足
torch.overrides.wrap_torch_function()
は、高度な機能です。PyTorchの仕組みを理解していない場合は、使用を避けた方がよいでしょう。
いろいろなサンプルコード
テンソルの要素に1を加算する
from torch.overrides import wrap_torch_function
@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
return torch.add(a, b) + 1
# テンソルの要素に1を加算
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = my_add(x, 1)
# 結果: [2 3 4]
print(y)
特定の条件でテンソルの値を変更する
from torch.overrides import wrap_torch_function
@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
if a > 0:
return torch.add(a, b)
else:
return a
# 特定の条件でテンソルの値を変更
x = torch.tensor([-1, 1, 3])
y = my_add(x, 1)
# 結果: [-1 2 4]
print(y)
新しい関数を定義する
from torch.overrides import wrap_torch_function
@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
return torch.add(a, b) + 1
# 新しい関数を定義
def my_mul(a, b):
return torch.mul(a, b) + 1
# 新しい関数を呼び出す
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = my_mul(x, 2)
# 結果: [3 5 7]
print(y)
既存の関数の互換性を維持する
from torch.overrides import wrap_torch_function
# 既存の関数の互換性を維持
@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
if isinstance(a, torch.Tensor) and isinstance(b, torch.Tensor):
return torch.add(a, b)
else:
return a + b
# 互換性を維持した計算
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = my_add(x, 1)
# 結果: [2 3 4]
print(y)
z = my_add(1, 2)
# 結果: 3
print(z)
torch.overrides.wrap_torch_function() 以外の方法
サブクラス化
class MyAdd(torch.nn.Module):
def __init__(self):
super().__init__()
def forward(self, a, b):
return torch.add(a, b) + 1
# サブクラス化によるオーバーライド
model = MyAdd()
result = model(torch.tensor([1, 2, 3]), 1)
# 結果: [2 3 4]
print(result)
モンクラッチ
def my_add(a, b):
return torch.add(a, b) + 1
# モンクラッチによるオーバーライド
torch.add = my_add
# オーバーライドされた関数を呼び出す
result = torch.add(torch.tensor([1, 2, 3]), 1)
# 結果: [2 3 4]
print(result)
メタプログラミング
from torch.jit import ScriptModule
class MyAdd(ScriptModule):
@torch.jit.script_method
def forward(self, a, b):
return torch.add(a, b) + 1
# メタプログラミングによるオーバーライド
model = MyAdd()
result = model(torch.tensor([1, 2, 3]), 1)
# 結果: [2 3 4]
print(result)
- サブクラス化: 既存の関数の動作を大きく変更したい場合
- モンクラッチ: 既存の関数の動作を少しだけ変更したい場合
- メタプログラミング: 複雑な変更を行いたい場合
注意事項
- サブクラス化とモンクラッチは、PyTorchのバージョンによって動作が異なる場合があります。
- メタプログラミングは、高度な技術です。PyTorchの仕組みを理解していない場合は、使用を避けた方がよいでしょう。
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