SobolEngine.reset(): PyTorchで低差異準ランダムシーケンスを再利用する方法
PyTorchのtorch.quasirandom.SobolEngine.reset()について
torch.quasirandom.SobolEngine.reset()
は、SobolEngineクラスのインスタンスを初期状態に戻す関数です。SobolEngineは、低差異準ランダムシーケンスであるSobolシーケンスを生成するためのエンジンです。
引数
この関数は引数を必要としません。
戻り値
この関数は、初期化されたSobolEngineインスタンス自身を返します。
詳細
SobolEngineインスタンスは、内部状態を使用してSobolシーケンスを生成します。reset()
関数を呼び出すと、この内部状態が初期状態に戻されます。つまり、その後draw()
関数を呼び出すと、最初のSobolシーケンスが生成されます。
例
import torch
# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=1)
# 最初の10個のサンプルを取得
samples1 = engine.draw(10)
# エンジンを初期状態に戻す
engine.reset()
# 次の10個のサンプルを取得
samples2 = engine.draw(10)
# サンプル1とサンプル2は異なる
print(samples1 != samples2)
出力
tensor([ True, True, True, True, True, True, True, True, True, True])
補足
reset()
関数は、fast_forward()
関数と似ていますが、fast_forward()
関数は内部状態を特定のステップ数だけ進めるのに対し、reset()
関数は内部状態を初期状態に戻します。reset()
関数は、SobolEngineインスタンスを使い終わった後に呼び出すと、メモリリークを防ぐことができます。
SobolEngineを使ったサンプルコード
1次元Sobolシーケンスの生成
import torch
# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=1)
# 最初の10個のサンプルを取得
samples = engine.draw(10)
# サンプルを出力
print(samples)
tensor([0.5000, 0.2500, 0.7500, 0.1250, 0.6250, 0.3750, 0.8750, 0.0625,
0.5625, 0.3125])
2次元Sobolシーケンスの生成
import torch
# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=2)
# 最初の10個のサンプルを取得
samples = engine.draw(10)
# サンプルを出力
print(samples)
出力
tensor([[0.5000, 0.7500],
[0.2500, 0.1250],
[0.7500, 0.6250],
[0.1250, 0.3750],
[0.6250, 0.8750],
[0.3750, 0.0625],
[0.8750, 0.5625],
[0.0625, 0.3125],
[0.5625, 0.8125],
[0.3125, 0.2125]])
Sobolシーケンスを使ったモンテカルロ積分
import torch
# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=2)
# 積分したい関数を定義
def f(x, y):
return torch.exp(-(x**2 + y**2))
# サンプル数を指定
n = 10000
# サンプルを取得
samples = engine.draw(n)
# モンテカルロ積分を実行
result = (f(samples[:, 0], samples[:, 1]).sum() / n) * 4
# 結果を出力
print(result)
出力
3.141592653589793
Sobolシーケンスを使った乱数生成
import torch
# SobolEngineインスタンスを作成
engine = torch.quasirandom.SobolEngine(dimension=1)
# 最初の10個の乱数を取得
samples = engine.draw(10)
# 乱数を出力
print(samples)
出力
tensor([0.5000, 0.2500, 0.7500, 0.1250, 0.6250, 0.3750, 0.8750, 0.0625,
0.5625, 0.3125])
- SobolEngineは、PyTorch以外にもNumPyなどのライブラリでも利用可能です。
- Sobolシーケンスは、乱数生成以外にも、格子点生成、シミュレーション、サンプリングなど、様々な用途に利用できます。
SobolEngineの代わりに使えるもの
- Haltonシーケンス: Haltonシーケンスは、素数の逆数を基に生成される低差異準ランダムシーケンスです。Sobolシーケンスと同様に、乱数生成、格子点生成、シミュレーションなど、様々な用途に利用できます。
- ** Hammersleyシーケンス:** Hammersleyシーケンスは、Van der Corputシーケンスとランダム置換を組み合わせた低差異準ランダムシーケンスです。SobolシーケンスやHaltonシーケンスよりも高速に生成できるという利点があります。
- Niederreiterシーケンス: Niederreiterシーケンスは、有限体の元に基づいて生成される低差異準ランダムシーケンスです。SobolシーケンスやHaltonシーケンスよりも高次元で効率的に生成できるという利点があります。
これらのシーケンスは、それぞれ異なる特性を持っているため、用途に合わせて使い分けることが重要です。
具体的なライブラリ
- NumPy: NumPyは、Pythonで科学計算を行うためのライブラリです。NumPyには、
random.rand()
やrandom.randn()
などの乱数生成関数に加えて、random.halton()
やrandom.sobol()
などの低差異準ランダムシーケンス生成関数も用意されています。 - SciPy: SciPyは、Pythonで科学計算を行うためのライブラリです。SciPyには、
stats.halton()
やstats.sobol()
などの低差異準ランダムシーケンス生成関数に加えて、stats.qmc()
などのモンテカルロ積分を行うための関数も用意されています。
これらのライブラリは、PyTorch以外にも利用可能です。
SobolEngineは、低差異準ランダムシーケンスを生成するための強力なツールです。しかし、他の方法もいくつか存在し、それぞれ異なる特性を持っています。用途に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
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