C++ で Qt GUI アプリケーション開発: QBackingStore::setStaticContents()

Qt GUI の QBackingStore::setStaticContents() 解説

QBackingStore::setStaticContents() は、Qt GUI フレームワークにおける重要な機能の一つです。この関数は、ウィンドウの静的なコンテンツを指定するために使用されます。静的なコンテンツとは、ウィンドウの描画時に毎回更新されないコンテンツを指します。

仕組み

QBackingStore::setStaticContents() は、QRegion オブジェクトを受け取り、その領域内のコンテンツを静的なコンテンツとしてマークします。静的なコンテンツとしてマークされた領域は、ウィンドウの描画時にのみ描画され、その後は更新されません。

利点

QBackingStore::setStaticContents() を使用すると、ウィンドウのパフォーマンスを向上させることができます。静的なコンテンツは更新されないため、描画処理が軽減されます。これは、特に複雑なコンテンツを持つウィンドウにおいて顕著になります。

使用例

QBackingStore::setStaticContents() は、以下のような状況で役立ちます。

• ウィンドウに背景画像を設定する場合
• ウィンドウにロゴやアイコンを表示する場合
• ウィンドウにボタンやラベルなどの静的なコントロールを表示する場合

コード例

// ウィンドウの静的なコンテンツを設定する例

QBackingStore *backingStore = window->backingStore();
QRegion staticContents;

// 静的なコンテンツ領域を定義
staticContents += QRect(0, 0, 100, 100);

// 静的なコンテンツを設定
backingStore->setStaticContents(staticContents);

補足

• QBackingStore::setStaticContents() は、ウィンドウが初めて表示される前に呼び出す必要があります。
• 静的なコンテンツ領域を変更する場合は、QBackingStore::setStaticContents() を再度呼び出す必要があります。
• QBackingStore::setStaticContents() は、Qt 5.0 以降で使用できます。

• QBackingStore::setStaticContents() は、Qt GUI の高度な機能の一つです。この機能を使用する前に、Qt GUI の基礎知識を習得しておくことをお勧めします。
• QBackingStore::setStaticContents() を使用すると、パフォーマンスを向上させることができますが、使い方によっては逆にパフォーマンスを低下させてしまう可能性もあります。使用前に、その影響を理解しておくことが重要です。

Qt GUI の QBackingStore::setStaticContents() サンプルコード

// ウィンドウに背景画像を設定する例

QMainWindow window;
QBackingStore *backingStore = window.backingStore();

// 背景画像を読み込む
QPixmap backgroundImage("background.png");

// 静的なコンテンツ領域を定義
QRegion staticContents = window.rect();

// 背景画像を静的なコンテンツとして設定
backingStore->setStaticContents(staticContents, backgroundImage);

window.show();

ロゴとアイコンを表示

// ウィンドウにロゴとアイコンを表示する例

QMainWindow window;
QBackingStore *backingStore = window.backingStore();

// ロゴ画像を読み込む
QPixmap logoImage("logo.png");

// アイコン画像を読み込む
QIcon icon("icon.png");

// 静的なコンテンツ領域を定義
QRegion staticContents;

// ロゴ画像を表示する領域
staticContents += QRect(0, 0, 100, 100);

// アイコンを表示する領域
staticContents += QRect(window.width() - 100, 0, 100, 100);

// ロゴ画像とアイコンを静的なコンテンツとして設定
backingStore->setStaticContents(staticContents, logoImage, icon);

window.show();

ボタンとラベルを表示

// ウィンドウにボタンとラベルを表示する例

QMainWindow window;
QBackingStore *backingStore = window.backingStore();

// ボタンを作成
QPushButton *button = new QPushButton("ボタン");

// ラベルを作成
QLabel *label = new QLabel("ラベル");

// 静的なコンテンツ領域を定義
QRegion staticContents;

// ボタンを表示する領域
staticContents += QRect(0, 0, 100, 100);

// ラベルを表示する領域
staticContents += QRect(100, 0, 100, 100);

// ボタンとラベルを静的なコンテンツとして設定
backingStore->setStaticContents(staticContents, button, label);

window.show();

スクロールエリア内のコンテンツを静的に設定

// スクロールエリア内のコンテンツを静的に設定する例

QMainWindow window;
QScrollArea *scrollArea = new QScrollArea;

// スクロールエリア内にウィジェットを追加
QWidget *widget = new QWidget;
scrollArea->setWidget(widget);

// ウィジェット内にコンテンツを追加
QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
for (int i = 0; i < 10; i++) {
  QLabel *label = new QLabel(QString::number(i));
  layout->addWidget(label);
}
widget->setLayout(layout);

// 静的なコンテンツ領域を定義
QRegion staticContents = widget->rect();

// スクロールエリア内のコンテンツを静的なコンテンツとして設定
scrollArea->backingStore()->setStaticContents(staticContents);

window.setCentralWidget(scrollArea);
window.show();

動的に変化するコンテンツと静的なコンテンツを組み合わせる

// 動的に変化するコンテンツと静的なコンテンツを組み合わせる例

QMainWindow window;
QBackingStore *backingStore = window.backingStore();

// 静的なコンテンツ領域を定義
QRegion staticContents;

// 動的に変化するコンテンツを表示する領域
QRect dynamicContentRect = QRect(100, 100, 100, 100);

// 静的なコンテンツを設定
backingStore->setStaticContents(staticContents);

// タイマーを使って動的に変化するコンテンツを更新
QTimer *timer = new QTimer;
timer->setInterval(100);
connect(timer, &QTimer::timeout, [&] {
  // 動的に変化するコンテンツを描画
  QPainter painter(window);
  painter.setPen(Qt::red);
  painter.drawRect(dynamicContentRect);
});
timer->start();

window.show();

これらのサンプルコードは、QBackingStore::setStaticContents() の使用方法を理解する

Qt GUI でウィンドウの静的なコンテンツを設定する他の方法

QPixmap を直接ウィンドウに設定

// ウィンドウに背景画像を設定する例

QMainWindow window;

// 背景画像を読み込む
QPixmap backgroundImage("background.png");

// ウィンドウに背景画像を設定
window.setBackground(backgroundImage);

window.show();

QWidget::setStyleSheet() を使用

// ウィンドウに背景画像を設定する例

QMainWindow window;

// スタイルシートを設定
window.setStyleSheet("background-image: url(background.png);");

window.show();

QCustomQWidget を使用

// ウィンドウにカスタムウィジェットを表示する例

QMainWindow window;

// カスタムウィジェットを作成
QCustomQWidget *widget = new QCustomQWidget;

// カスタムウィジェットの描画処理を実装
void QCustomQWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
  QPainter painter(this);

  // 背景画像を描画
  painter.drawPixmap(0, 0, QPixmap("background.png"));

  // その他のコンテンツを描画
}

// ウィジェットをウィンドウに追加
window.setCentralWidget(widget);

window.show();

これらの方法は、QBackingStore::setStaticContents() よりもシンプルで軽量ですが、パフォーマンスの面では劣る可能性があります。

どの方法を選択するかは、以下の要素を考慮する必要があります。

• ウィンドウの複雑さ
• パフォーマンス要件
• 開発者のスキルレベル

• 上記以外にも、Qt GUI でウィンドウの静的なコンテンツを設定する方法はいくつかあります。詳細は Qt ドキュメントを参照してください。
• どの方法を選択する場合でも、ウィンドウのコンテンツが適切に表示されるように、コードをテストすることが重要です。