Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheMode使用時のトラブルシューティング

2024-04-02

Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheModeプログラミング解説

QGraphicsViewクラスは、Qt Widgetsモジュールで提供されるグラフィックスビュークラスです。このクラスは、QGraphicsSceneクラスのシーンを表示するために使用されます。cacheModeプロパティは、シーンのレンダリング方法を制御するために使用されます。

デフォルトの動作

デフォルトでは、cacheModeプロパティはQGraphicsView::CacheBackgroundに設定されています。これは、ビューの背景のみがキャッシュされ、シーン内のアイテムはレンダリングされるたびに再描画されることを意味します。

キャッシュモード

cacheModeプロパティには、以下の4つの値を設定できます。

  • QGraphicsView::CacheNone: キャッシュを使用しません。すべてのアイテムはレンダリングされるたびに再描画されます。
  • QGraphicsView::CacheBackground: ビューの背景のみがキャッシュされます。シーン内のアイテムはレンダリングされるたびに再描画されます。
  • QGraphicsView::CacheItem: シーン内のすべてのアイテムがキャッシュされます。アイテムは最初にレンダリングされた後、キャッシュから再利用されます。
  • QGraphicsView::CacheAll: ビューの背景とシーン内のすべてのアイテムがキャッシュされます。

パフォーマンスへの影響

キャッシュモードを使用すると、パフォーマンスが向上する場合があります。これは、シーン内のアイテムを再描画する必要がなくなるためです。ただし、キャッシュモードを使用すると、メモリ使用量が増加する場合があります。

使用例

以下の例は、cacheModeプロパティを使用して、シーン内のアイテムのレンダリングパフォーマンスを向上させる方法を示しています。

QGraphicsScene scene;
QGraphicsView view(&scene);

// シーンにいくつかのアイテムを追加します
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
  QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
  item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
  scene.addItem(item);
}

// キャッシュモードをCacheItemに設定します
view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheItem);

// ビューを表示します
view.show();

その他の考慮事項

  • キャッシュモードを使用する場合は、シーン内のアイテムを頻繁に変更しないようにする必要があります。アイテムを頻繁に変更すると、キャッシュが無効になり、パフォーマンスが低下する可能性があります。

この情報は参考用であり、予告なく変更される場合があります。



Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheModeのサンプルコード

シンプルな例

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // シーンを作成します
  QGraphicsScene scene;

  // シーンにいくつかのアイテムを追加します
  for (int i = 0; i < 100; ++i) {
    QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
    item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
    scene.addItem(item);
  }

  // ビューを作成します
  QGraphicsView view(&scene);

  // キャッシュモードをCacheItemに設定します
  view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheItem);

  // ビューを表示します
  view.show();

  return app.exec();
}

異なるキャッシュモードの比較

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // シーンを作成します
  QGraphicsScene scene;

  // シーンにいくつかのアイテムを追加します
  for (int i = 0; i < 100; ++i) {
    QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
    item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
    scene.addItem(item);
  }

  // ビューを作成します
  QGraphicsView view(&scene);

  // さまざまなキャッシュモードを試します
  for (int i = 0; i < 4; ++i) {
    view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheMode(i));

    // ビューを更新します
    view.update();

    // パフォーマンスを測定します
    // ...

    // 次のキャッシュモードに進む
  }

  // ビューを表示します
  view.show();

  return app.exec();
}

この例では、4つの異なるキャッシュモードを試して、パフォーマンスを比較しています。

アイテムの変更を検知する

#include <QtWidgets>

class MyGraphicsItem : public QGraphicsItem {
 public:
  MyGraphicsItem() {}

  void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionGraphicsItem *option, QWidget *widget) override {
    // アイテムを描画します
    // ...

    // アイテムが変更されたことを通知します
    emit itemChanged();
  }

 signals:
  void itemChanged();
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // シーンを作成します
  QGraphicsScene scene;

  // シーンにいくつかのアイテムを追加します
  for (int i = 0; i < 100; ++i) {
    MyGraphicsItem *item = new MyGraphicsItem();
    item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
    scene.addItem(item);

    // アイテムが変更されたら、キャッシュを無効にします
    connect(item, &MyGraphicsItem::itemChanged, &scene, &QGraphicsScene::invalidate);
  }

  // ビューを作成します
  QGraphicsView view(&scene);

  // キャッシュモードをCacheItemに設定します
  view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheItem);

  // ビューを表示します
  view.show();

  return app.exec();
}

この例では、itemChanged()シグナルを使用して、アイテムが変更されたときにキャッシュを無効にしています。

ビューのサイズ変更を検知する

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // シーンを作成します
  QGraphicsScene scene;

  // シーンにいくつかのアイテムを追加します
  for (int i = 0; i < 100; ++i) {
    QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
    item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
    scene.addItem(item);
  }



Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheModeの代替方法

QGraphicsItem::setCacheMode() メソッドを使用して、個々のアイテムのキャッシュモードを設定できます。これは、シーン内のすべてのアイテムをキャッシュするよりも、より細かい制御を提供できます。

for (int i = 0; i < 100; ++i) {
  QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
  item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
  item->setCacheMode(QGraphicsItem::CacheItem);
  scene.addItem(item);
}

QGraphicsProxyWidget::setCacheMode() メソッドを使用して、ウィジェットをプロキシするアイテムのキャッシュモードを設定できます。

QWidget *widget = new QWidget();
// ...

QGraphicsProxyWidget *proxy = new QGraphicsProxyWidget();
proxy->setWidget(widget);
proxy->setCacheMode(QGraphicsProxyWidget::CacheBackground);
scene.addItem(proxy);

QGraphicsScene::setOptimizationFlags() メソッドを使用して、シーンのレンダリングを最適化するフラグを設定できます。

scene.setOptimizationFlags(QGraphicsScene::DontUseOpenGL);

その他の方法

  • QGraphicsView::setRenderHints() メソッドを使用して、レンダリングヒントを設定できます。
  • QGraphicsView::setDragMode() メソッドを使用して、ドラッグモードを設定できます。
  • QGraphicsView::setTransformationAnchor() メソッドを使用して、変換アンカーを設定できます。

注意事項

  • キャッシュを使用すると、メモリ使用量が増加する場合があります。
  • キャッシュを使用すると、パフォーマンスが向上する場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。
  • キャッシュを使用する場合は、シーン内のアイテムを頻繁に変更しないようにする必要があります。
  • キャッシュを使用する場合は、ビューのサイズを変更しないようにする必要があります。



Qt GUI アプリケーションにおけるフォーカス管理:QWindow::focusObjectChanged() シグナルの徹底解説

QWindow::focusObjectChanged() は、Qt GUI アプリケーションにおける重要なシグナルの一つです。これは、フォーカスを受け取るオブジェクトが変更されたときに発生し、開発者がそれに応じて適切な処理を行うための機能を提供します。



QInputDevice::availableVirtualGeometry()のサンプルコード

QInputDevice::availableVirtualGeometry() は、Qt GUIにおける入力デバイスの仮想デスクトップ上の利用可能領域を取得するための関数です。これは、タッチスクリーンやペンタブレットなどの入力デバイスが仮想デスクトップ上のどの領域にアクセスできるかを判断するために使用されます。


Qt GUI で QTextList::itemNumber() 関数を使用して特定の項目にアクセスする方法

概要QTextList::itemNumber() 関数は、QTextList オブジェクト内の特定の QTextBlock がリスト内のどの項目に対応しているのかを調べ、そのインデックスを返します。もし、その QTextBlock がリスト内に存在しない場合は、-1 を返します。


QTextTableFormat::setAlignment() 関数の使い方

QTextTableFormat::setAlignment() は、Qt GUI でテキストテーブルの配置を設定するために使用する関数です。この関数は、テーブル内のテキストを水平方向と垂直方向にどのように配置するかを指定します。引数alignment : テキストの配置を指定する Qt::Alignment 型の値。


Qt GUIにおける輪郭線描画:QPainterPathStrokerクラスの概要

QPainterPathStrokerクラスは、Qt GUIにおける描画処理において、パスに基づいた輪郭線を作成するための機能を提供します。パスは、線、曲線、その他の形状を定義する一連の点で構成されます。QPainterPathStrokerを使用すると、これらのパスを滑らかで正確な輪郭線に変換することができます。



Qt WidgetsにおけるQFileDialog::saveState()の概要

QFileDialog::saveState()は、ファイルダイアログの状態(レイアウト、履歴、現在のディレクトリなど)を保存するための関数です。この関数は、Qt 4.3で導入されました。使い方QFileDialog::saveState()を使用するには、次の手順に従います。


【Qt GUI】画像ファイルをモノクロ画像に変換してQBitmapを作成する:QBitmap::fromData()の使い方

QBitmap::fromData()は、Qt GUIでucharデータからQBitmapオブジェクトを作成するための静的関数です。QBitmapは、主にカスタムカーソルやブラシの作成、領域オブジェクトの構築、ピクセルマップやウィジェットのマスク設定などに使用されるモノクロ(1ビット深度)のピクセルマップです。


Qt Widgets サンプルコード集:ボタン、入力、レイアウト、ダイアログ、その他

QButtonGroup::checkedButton() メソッドは、Qt Widgets モジュールにおける QButtonGroup クラスの重要な機能の一つです。このメソッドは、ボタングループ内に存在するチェックされているボタンを取得することを可能にします。ボタングループは、互いに排他的な動作をする複数のボタンを管理する機能を提供します。


QOpenGLExtraFunctions::glGetInteger64i_v()の徹底解説

QOpenGLExtraFunctions::glGetInteger64i_v()は、OpenGL拡張機能を利用して、64ビット整数の配列を取得するための関数です。Qt GUIでOpenGLを利用する際、シェーダープログラムの状態情報やフレームバッファオブジェクトの情報などを取得するのに役立ちます。


アクセシビリティ対応の Qt GUI アプリ開発者必見! QAccessibleTableCellInterface::rowExtent() 関数で視覚障碍者ユーザーに優しいテーブルを実現

QAccessibleTableCellInterface::rowExtent() 関数は、アクセシビリティ API の一部として、テーブルセルが占める行数を取得するために使用されます。視覚障碍者などのユーザー補助技術を使用するユーザーに、テーブルの内容を理解させるために役立ちます。