Qt Widgetsでパフォーマンスを向上させる:QListView::batchSizeとその他の方法の比較

2024-04-02

Qt WidgetsにおけるQListView::batchSizeの詳細解説

バッチ処理とは、複数の処理をまとめて実行することで、個別に実行するよりも効率的に処理を行う手法です。QListView::batchSize プロパティは、このバッチ処理を QListView でどのように行うかを制御します。

QListView::batchSize の役割

QListView::batchSize プロパティは、一度に処理するデータ項目の最大数を指定します。この値を設定すると、QListView は以下の処理をバッチ単位で実行します。

  • データ項目の表示
  • スクロール処理
  • 選択処理

QListView::batchSize プロパティは、以下の方法で設定できます。

  • デフォルト値は 100 です。
  • 0 に設定すると、バッチ処理は無効になります。
  • 1 より大きい値を設定すると、バッチ処理が有効になります。

QListView::batchSize の設定例

// バッチ処理を無効にする
listView->setBatchSize(0);

// バッチ処理を有効にし、一度に処理するデータ項目の最大数を 50 に設定
listView->setBatchSize(50);

QListView::batchSize プロパティの値は、以下の要素に影響を与えます。

  • パフォーマンス: バッチ処理を有効にすることで、大量のデータ項目を処理する際にパフォーマンスが向上します。
  • メモリ使用量: バッチ処理を有効にすることで、一度に処理するデータ項目の数が多くなるため、メモリ使用量が増加します。
  • ユーザーインターフェースの応答性: バッチ処理を有効にすることで、スクロールや選択処理などのユーザーインターフェース操作の応答性が低下する場合があります。

QListView::batchSize プロパティの最適な値は、アプリケーションの要件と処理するデータ項目の量によって異なります。以下の点を考慮して、最適な値を設定してください。

  • 処理するデータ項目の量: 処理するデータ項目が多い場合は、バッチ処理を有効にすることでパフォーマンスが向上します。
  • メモリ使用量: メモリ使用量が制限されている場合は、バッチ処理を無効にするか、バッチサイズを小さく設定する必要があります。
  • ユーザーインターフェースの応答性: ユーザーインターフェースの応答性が重要場合は、バッチサイズを小さく設定する必要があります。

補足

  • 上記の情報は、Qt 5.15 以降のバージョンに適用されます。
  • バッチ処理は、Qt Widgets モジュールの QListView クラスでのみ使用できます。


QListView::batchSize を使用したサンプルコード

例1:バッチ処理を無効にする

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // モデルを作成
  QStringListModel model;
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
  }

  // リストビューを作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // バッチ処理を無効にする
  listView.setBatchSize(0);

  // リストビューを表示
  listView.show();

  return app.exec();
}

例2:バッチ処理を有効にする

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // モデルを作成
  QStringListModel model;
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
  }

  // リストビューを作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // バッチ処理を有効にし、一度に処理するデータ項目の最大数を 50 に設定
  listView.setBatchSize(50);

  // リストビューを表示
  listView.show();

  return app.exec();
}

例3:バッチサイズを動的に変更する

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // モデルを作成
  QStringListModel model;
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
  }

  // リストビューを作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // スライダーを作成
  QSlider slider(Qt::Horizontal);
  slider.setRange(0, 1000);
  slider.setValue(50);

  // スライダーの値が変更されたら、バッチサイズを更新する
  QObject::connect(&slider, &QSlider::valueChanged, &listView, [=](int value) {
    listView.setBatchSize(value);
  });

  // レイアウトを作成
  QVBoxLayout layout;
  layout.addWidget(&listView);
  layout.addWidget(&slider);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;
  widget.setLayout(&layout);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

これらのサンプルコードは、QListView::batchSize プロパティの使用方法を理解するのに役立ちます。

補足

  • 上記のサンプルコードは、Qt 5.15 以降のバージョンで動作します。


QListView::batchSize 以外の方法

QAbstractItemModel::beginUpdate()QAbstractItemModel::endUpdate() 関数を使用して、モデルの更新を一時的に停止することができます。これにより、大量のデータ項目をまとめて更新する際にパフォーマンスを向上させることができます。

例:

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // モデルを作成
  QStringListModel model;
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
  }

  // リストビューを作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // モデルの更新を一時的に停止
  model.beginUpdate();

  // データ項目を更新
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.setData(model.index(i, 0), new QString("Updated Item %1").arg(i));
  }

  // モデルの更新を再開
  model.endUpdate();

  // リストビューを表示
  listView.show();

  return app.exec();
}

QItemDelegate::paint() 関数をオーバーライドして、カスタムレンダリングロジックを実装することができます。このロジックを使用して、大量のデータ項目を効率的にレンダリングすることができます。

例:

#include <QtWidgets>

class MyDelegate : public QItemDelegate {
public:
  MyDelegate(QObject *parent = nullptr) : QItemDelegate(parent) {}

  void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionViewItem &option,
             const QModelIndex &index) const override {
    // カスタムレンダリングロジック
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // モデルを作成
  QStringListModel model;
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
  }

  // リストビューを作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // カスタムデリゲートを設定
  listView.setItemDelegate(new MyDelegate);

  // リストビューを表示
  listView.show();

  return app.exec();
}

QtConcurrent::map() 関数を使用して、複数のスレッドでデータ項目を処理することができます。これにより、大量のデータ項目を並列処理して処理速度を向上させることができます。

例:

#include <QtConcurrent>
#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // モデルを作成
  QStringListModel model;
  for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
    model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
  }

  // リストビューを作成
  QListView listView;
  listView.setModel(&model);

  // データ項目を並列処理
  QVector<QString> results = QtConcurrent::map(model.data(), [](const QModelIndex &index) {
    return QString("Processed Item %1").arg(index.row());
  });

  // 結果をモデルに反映
  for (int i = 0; i < results.size(); ++i) {
    model.setData(model.index(i, 0), results[i]);
  }

  // リストビューを表示
  listView.show();

  return app.exec();
}

これらの方法は、QListView::batchSize プロパティと組み合わせて使用することもできます。最適な方法は、アプリケーションの要件と処理するデータ項目の量によって異なります。

  • Qt ドキュメント: QtConcurrent::map(): [無効



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