CMakeにおけるCMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODEの詳細解説
CMakeの変数「CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE」の詳細解説
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は、CMakeにおける特殊な変数です。これは、Qtのメタオブジェクトコンパイラ(moc)の動作を制御するために使用されます。デフォルトでは、mocは厳格なモードで動作し、公式ドキュメントに記載されている規則に厳密に従います。一方、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を有効にすると、mocはより寛容なモードで動作し、規則から多少逸脱した入力を受け入れられるようになります。
歴史と背景
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は、Qt 4との互換性を維持するために導入されました。Qt 4では、mocは現在の公式ドキュメントとは異なる規則に従っていました。そのため、Qt 4プロジェクトをCMakeでビルドするには、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を有効にする必要がありました。
詳細な動作
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を有効にすると、mocは以下の動作が変わります。
- ヘッダーファイルがmocによって処理されるべきかどうかを判断する際に、より緩やかな規則が適用されます。具体的には、以下の条件を満たすファイルがmocによって処理されます。
- ファイル名が
*.moc
である。 - ファイル名が
moc_*.h
である。 #include "moc_*.h"
という行を含むファイル。
- ファイル名が
- mocは、
Q_OBJECT
マクロを含むファイルだけでなく、そのファイルをインクルードするファイルも処理します。 - mocは、
QObject
クラスから派生していないクラスでも処理します。
使用例
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は、Qt 4プロジェクトをCMakeでビルドする場合に必要です。また、Qt 5プロジェクトであっても、mocの動作をより寛容にしたい場合に使用できます。
以下のコード例は、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を有効にする方法を示しています。
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
add_executable(my_app main.cpp)
target_link_libraries(my_app Qt5::Core)
注意事項
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を有効にすると、mocの動作が公式ドキュメントとは異なるため、予期しない結果になる可能性があります。Qt 5プロジェクトでこの変数を使用する場合は、注意が必要です。
補足
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は CMake 3.15 以降で非推奨となりました。Qt 5プロジェクトでは、代わりにAUTOMOC_MOC_OPTIONS
プロパティを使用することを推奨します。- Qt 6では、mocはより寛容な動作をするようになり、
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は必要なくなりました。
CMakeの変数「CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE」を使用したサンプルコード
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
add_executable(my_app main.cpp)
target_link_libraries(my_app Qt4::Core)
サンプル2:Qt 5プロジェクトでmocの動作をより寛容にする
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
add_executable(my_app main.cpp)
target_link_libraries(my_app Qt5::Core)
set_target_properties(my_app PROPERTIES AUTOMOC_MOC_OPTIONS "-relaxed")
サンプル3:Qt 6プロジェクトでmocの動作をより寛容にする
add_executable(my_app main.cpp)
target_link_libraries(my_app Qt6::Core)
set_target_properties(my_app PROPERTIES AUTOMOC_MOC_OPTIONS "-relaxed")
補足
- サンプルコードは、あくまでも参考として使用してください。
- 実際のプロジェクトでは、必要に応じてコードを変更する必要があります。
CMakeでQtプロジェクトをビルドする他の方法
CMake GUIを使用するには、以下の手順に従います。
- CMake GUIをインストールします。
- CMake GUIを起動します。
- "Where is the source code?" というフィールドに、プロジェクトのソースコードディレクトリを指定します。
- "Where to build the binaries?" というフィールドに、ビルド出力ディレクトリを指定します。
- "Configure" ボタンをクリックします。
- 必要に応じて、CMake GUIの設定を変更します。
- "Generate" ボタンをクリックします。
- ビルドツールを使用して、プロジェクトをビルドします。
qmakeを使用する
qmakeは、Qtプロジェクトをビルドするためのツールです。qmakeは、CMakeよりも軽量なツールであり、Qtプロジェクトを素早くビルドしたい場合に便利です。
qmakeを使用するには、以下の手順に従います。
- qmakeをインストールします。
- コマンドプロンプトを開きます。
- プロジェクトのソースコードディレクトリに移動します。
- 以下のコマンドを実行します。
qmake -project
- 生成されたプロジェクトファイルをビルドツールを使用してビルドします。
その他の方法
上記以外にも、CMakeやqmake以外のツールを使用してQtプロジェクトをビルドすることができます。
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