最適化された Release ビルドを実現: CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT の活用
CMakeにおける CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT 変数
CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT
は、CMake の "Variables" における変数のひとつです。これは、Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化する際に使用されます。
詳細
- CMake バージョン 3.7 で導入されました。
<LANG>
は、C、C++、Fortran などの言語を表します。- 以下の CMakeLists.txt ファイル内で設定できます。
- プロジェクトのルートディレクトリ
- ツールチェーンファイル
- デフォルト値は空です。
- CMake は、環境やターゲットプラットフォームに基づいて、この値に内容を追加したり、前後に内容を挿入したりすることがあります。
設定例
# プロジェクトのルートディレクトリでの設定
set(CMAKE_C_FLAGS_RELEASE_INIT "-O3 -Wall")
# ツールチェーンファイルでの設定
set(CMAKE_CXX_FLAGS_RELEASE_INIT "-std=c++17 -march=native")
関連変数
CMAKE_LANG_FLAGS_<CONFIG>_INIT
<CONFIG>
は、Debug、Release などのビルド設定を表します。
CMAKE_LANG_FLAGS
- 言語
<LANG>
に対するすべてのビルド設定におけるコンパイラフラグを指定します。
- 言語
補足
CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT
は、ビルドツリーが初めて構成される際にのみ使用されます。- 2回目以降の構成では、
CMAKE_LANG_FLAGS
の値が使用されます。 - 特定のターゲットに対してのみコンパイラフラグを設定したい場合は、
target_compile_options
コマンドを使用できます。
例
target_compile_options(my_target PUBLIC "-O2 -g")
この例では、my_target
ターゲットに対してのみ -O2
と -g
というコンパイラフラグが設定されます。
注意事項
CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT
を設定する場合は、使用しているコンパイラが対応するフラグであることを確認する必要があります。- 設定したフラグが、ビルドエラーや予期しない動作を引き起こす可能性があります。
CMake の CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT 変数を使ったサンプルコード
プロジェクトのルートディレクトリでの設定
# C言語の Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化
set(CMAKE_C_FLAGS_RELEASE_INIT "-O3 -Wall")
# C++言語の Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化
set(CMAKE_CXX_FLAGS_RELEASE_INIT "-std=c++17 -march=native")
# サンプルコード
add_executable(my_program main.c)
# ターゲットに対して追加のコンパイラフラグを設定
target_compile_options(my_program PUBLIC "-DDEBUG")
- このコードは、プロジェクトのルートディレクトリに記述します。
CMAKE_C_FLAGS_RELEASE_INIT
とCMAKE_CXX_FLAGS_RELEASE_INIT
を使用して、C言語とC++言語の Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化しています。add_executable
コマンドを使用して、my_program
という名前の実行ファイルを作成します。target_compile_options
コマンドを使用して、my_program
ターゲットに対して-DDEBUG
というコンパイラフラグを追加しています。
ツールチェーンファイルでの設定
# ツールチェーンファイル
# C言語の Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化
set(CMAKE_C_FLAGS_RELEASE_INIT "-O3 -Wall")
# C++言語の Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化
set(CMAKE_CXX_FLAGS_RELEASE_INIT "-std=c++17 -march=native")
# サンプルコード
add_executable(my_program main.c)
解説
- このコードは、ツールチェーンファイルに記述します。
- ツールチェーンファイルは、特定のコンパイラやプラットフォーム向けのビルド設定を定義するために使用されます。
- この例では、C言語とC++言語の Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを初期化しています。
補足
- 上記のコードはあくまでもサンプルです。
- 実際のコードは、プロジェクトの要件に合わせて変更する必要があります。
CMake で Release ビルド設定におけるコンパイラフラグを設定する他の方法
CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE_INIT
変数を使用する代わりに、CMAKE_C_FLAGS
と CMAKE_CXX_FLAGS
変数を使用して、すべてのビルド設定におけるコンパイラフラグを指定できます。
# C言語のすべてのビルド設定におけるコンパイラフラグを指定
set(CMAKE_C_FLAGS "-O3 -Wall")
# C++言語のすべてのビルド設定におけるコンパイラフラグを指定
set(CMAKE_CXX_FLAGS "-std=c++17 -march=native")
# サンプルコード
add_executable(my_program main.c)
target_compile_options コマンドを使用
特定のターゲットに対してのみコンパイラフラグを設定したい場合は、target_compile_options
コマンドを使用できます。
# サンプルコード
add_executable(my_program main.c)
# my_program ターゲットに対してのみコンパイラフラグを設定
target_compile_options(my_program PUBLIC "-O2 -g")
キャッシュ変数を使用して、ビルド設定ごとに異なるコンパイラフラグを設定できます。
# キャッシュ変数を定義
set(CMAKE_CACHE_VARIABLE_BOOL CMAKE_RELEASE_BUILD_TYPE TRUE)
# Release ビルド設定の場合のみコンパイラフラグを設定
if(CMAKE_RELEASE_BUILD_TYPE)
set(CMAKE_C_FLAGS "-O3 -Wall")
set(CMAKE_CXX_FLAGS "-std=c++17 -march=native")
endif()
# サンプルコード
add_executable(my_program main.c)
環境変数を使用して、コンパイラフラグを設定できます。
# 環境変数を設定
set(CC=clang)
set(CXX=clang++)
# サンプルコード
add_executable(my_program main.c)
コマンドラインオプションを使用して、コンパイラフラグを設定できます。
cmake -DCMAKE_C_FLAGS="-O3 -Wall" -DCMAKE_CXX_FLAGS="-std=c++17 -march=native" ..
注意事項
- 上記の方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。
- どの方法を使用するかは、プロジェクトの要件に合わせて選択する必要があります。
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