NumPy linalg.matrix_rank():特異値分解、QR分解、LU分解によるランク計算

2024-04-09

NumPyの線形代数におけるlinalg.matrix_rank()の詳細解説

NumPyは、Pythonで科学計算を行うための強力なライブラリです。その線形代数モジュールには、行列のランクを求めるlinalg.matrix_rank()関数など、様々な便利な機能が用意されています。

本記事では、linalg.matrix_rank()関数の詳細な解説と、実際のプログラミング例を通して、その使い方を分かりやすく説明します。

linalg.matrix_rank()関数とは

linalg.matrix_rank()関数は、与えられた行列のランクを計算します。行列のランクとは、その行列を表現するために必要な独立なベクトルの数です。

使い方

linalg.matrix_rank()関数は、以下の形式で使用します。

linalg.matrix_rank(matrix, tol=None)

引数

  • matrix: ランクを求める行列
  • tol: 特異値の判定閾値 (デフォルトはNone)

戻り値

  • 行列のランク

詳細解説

linalg.matrix_rank()関数は、以下の手順で行列のランクを計算します。

  1. 行列を特異値分解します。
  2. 特異値の絶対値を計算します。
  3. 閾値tolよりも大きい絶対値を持つ特異値の数をランクとして返します。

特異値分解とは、行列を3つの行列の積として表現する数学的な手法です。3つの行列は以下の通りです。

  • 左特異値行列: 行列の列ベクトルを正規直交化したもの
  • 特異値行列: 対角行列で、対角成分には特異値と呼ばれる非負の実数が格納されている

特異値は、行列の線形独立性を表す指標です。特異値が0であれば、その行列は線形従属なベクトルを含んでいます。

閾値tolは、特異値が0とみなされるための境界値です。デフォルトではNoneに設定されており、この場合、マシンイプシロンと呼ばれる浮動小数点数の誤差に基づいて自動的に設定されます。

プログラミング例

以下は、linalg.matrix_rank()関数を使用して行列のランクを計算する例です。

import numpy as np

# 行列の作成
matrix = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])

# ランクの計算
rank = linalg.matrix_rank(matrix)

# 結果の出力
print(f"行列のランクは {rank} です")

この例では、3行3列の行列のランクを計算し、その結果を出力します。

補足

  • linalg.matrix_rank()関数は、QR分解LU分解などの他の手法を使用して行列のランクを計算することもできます。
  • 行列のランクは、逆行列の存在連立方程式の解の存在など、様々な線形代数の問題で重要な役割を果たします。
  • 本記事の内容は、NumPyバージョン1.22.3に基づいています。
  • 質問や疑問点があれば、お気軽にコメントしてください。


NumPy linalg.matrix_rank() のサンプルコード

import numpy as np

# 2つのベクトル
v1 = np.array([1, 2, 3])
v2 = np.array([4, 5, 6])

# 行列の作成
matrix = np.vstack((v1, v2))

# ランクの計算
rank = linalg.matrix_rank(matrix)

# 結果の出力
print(f"行列のランクは {rank} です")

線形従属なベクトルを含む行列のランク

import numpy as np

# 3つのベクトル
v1 = np.array([1, 2, 3])
v2 = np.array([4, 5, 6])
v3 = 2 * v1

# 行列の作成
matrix = np.vstack((v1, v2, v3))

# ランクの計算
rank = linalg.matrix_rank(matrix)

# 結果の出力
print(f"行列のランクは {rank} です")

特異値分解によるランク計算

import numpy as np

# 行列の作成
matrix = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])

# 特異値分解
U, S, Vh = linalg.svd(matrix)

# 特異値の絶対値
s_abs = np.abs(S)

# 閾値の設定
tol = np.finfo(matrix.dtype).eps

# ランクの計算
rank = np.sum(s_abs > tol)

# 結果の出力
print(f"行列のランクは {rank} です")

QR分解によるランク計算

import numpy as np

# 行列の作成
matrix = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])

# QR分解
Q, R = linalg.qr(matrix)

# ランクの計算
rank = np.linalg.matrix_rank(R)

# 結果の出力
print(f"行列のランクは {rank} です")

LU分解によるランク計算

import numpy as np

# 行列の作成
matrix = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])

# LU分解
P, L, U = linalg.lu(matrix)

# ランクの計算
rank = np.linalg.matrix_rank(U)

# 結果の出力
print(f"行列のランクは {rank} です")
  • 上記のサンプルコードは、NumPyバージョン1.22.3に基づいています。


NumPy linalg.matrix_rank() 以外の方法

特異値分解は、行列を3つの行列の積として表現する数学的な手法です。3つの行列は以下の通りです。

  • 左特異値行列

特異値は、行列の線形独立性を表す指標です。特異値が0であれば、その行列は線形従属なベクトルを含んでいます。

QR分解は、行列を直交行列と上三角行列の積として表現する数学的な手法です。

上三角行列の対角成分の数値が0であれば、その行列は線形従属なベクトルを含んでいます。

LU分解は、行列を下三角行列と上三角行列の積として表現する数学的な手法です。

上三角行列の対角成分の数値が0であれば、その行列は線形従属なベクトルを含んでいます。

行列式の値が0であれば、その行列は線形従属なベクトルを含んでいます。

ガウス消去法は、行列を簡約行階段形に変換する数学的な手法です。

簡約行階段形の最後の行がすべて0であれば、その行列は線形従属なベクトルを含んでいます。

それぞれの方法のメリットとデメリット

方法メリットデメリット
特異値分解行列の構造を理解しやすい計算コストが高い
QR分解計算コストが比較的低い行列の構造を理解しにくい
LU分解計算コストが比較的低い行列の構造を理解しにくい
行列式計算コストが低い計算が不安定になる場合がある
ガウス消去法計算コストが低い計算が不安定になる場合がある

どの方法を選択するべきかは、行列のサイズや構造、計算コストなどの様々な要因によって異なります。

  • 上記の方法は、NumPy以外のライブラリでも実装されています。



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