NumPy MaskedArray.round() の裏技:欠損値処理オプションを使いこなせ

2024-04-06

NumPyのMaskedArray.round():マスクされた配列の丸め処理

この解説では、MaskedArray.round()の使用方法と、欠損値処理に関するオプションについて詳しく説明します。

MaskedArray.round()は、NumPyのround()関数と同様に、配列の要素を小数点第n位で丸め処理を行います。ただし、MaskedArrayでは、欠損値 (mask=True) の要素は丸め処理されません。

import numpy as np

# マスクされた配列を作成
data = np.array([1.234, 5.678, np.nan, 9.012])
mask = np.array([False, True, True, False])
arr = np.ma.MaskedArray(data, mask)

# 配列を丸め処理
rounded_arr = arr.round(1)

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  5.7  NaN  9. ]

上記のように、mask=Trueの要素である5.678np.nanは丸め処理されずに元の値のまま保持されます。

欠損値処理オプション

MaskedArray.round()には、欠損値の処理方法を指定するためのオプションがいくつかあります。

  • fill_value: 欠損値を丸め処理後の値で置き換えるための値を指定します。デフォルトはNoneで、欠損値はそのまま保持されます。
  • invalid: 丸め処理ができない欠損値(np.nanなど)をどのように扱うかを指定します。デフォルトは'mask'で、欠損値はマスクされます。

これらのオプションを組み合わせることで、さまざまな欠損値処理を行うことができます。

例:

  • 欠損値を0で置き換えてから丸め処理
rounded_arr = arr.round(1, fill_value=0)

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  0.   0.   9. ]
  • 丸め処理ができない欠損値をエラーとして扱う
try:
    rounded_arr = arr.round(1, invalid='raise')
except ValueError:
    print("丸め処理ができない欠損値が存在します")

出力:

丸め処理ができない欠損値が存在します

その他

MaskedArray.round()は、decimalsオプションで丸め桁数を指定したり、outオプションで出力配列を指定したりすることができます。詳細はNumPyの公式ドキュメントを参照してください。

MaskedArray.round()は、マスクされた配列の要素を丸め処理するための便利な関数です。欠損値処理オプションを理解することで、さまざまな状況に合わせた処理を行うことができます。



MaskedArray.round() のサンプルコード

基本的な丸め処理

import numpy as np

# マスクされた配列を作成
data = np.array([1.234, 5.678, np.nan, 9.012])
mask = np.array([False, True, True, False])
arr = np.ma.MaskedArray(data, mask)

# 小数点第1位で丸め処理
rounded_arr = arr.round(1)

# 結果を確認
print(rounded_arr)
[ 1.2  5.7  NaN  9. ]

欠損値処理オプション

1 欠損値を0で置き換えてから丸め処理

rounded_arr = arr.round(1, fill_value=0)

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  0.   0.   9. ]

2 丸め処理ができない欠損値をエラーとして扱う

try:
    rounded_arr = arr.round(1, invalid='raise')
except ValueError:
    print("丸め処理ができない欠損値が存在します")

出力:

丸め処理ができない欠損値が存在します

3 丸め処理ができない欠損値を無視する

rounded_arr = arr.round(1, invalid='ignore')

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  NaN  NaN  9. ]

その他

1 丸め桁数の指定

rounded_arr = arr.round(2)

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.23  5.68  NaN  9.01 ]

2 出力配列の指定

out_arr = np.empty_like(arr)
rounded_arr = arr.round(1, out=out_arr)

# 結果を確認
print(out_arr)

出力:

[ 1.2  5.7  NaN  9. ]

応用例

1 気温データの分析

欠損値を含む気温データを分析する例です。

# 気温データを読み込み
data = np.loadtxt("temperature_data.csv", skiprows=1, delimiter=",")

# マスクされた配列を作成
mask = np.isnan(data)
arr = np.ma.MaskedArray(data, mask)

# 月ごとの平均気温を計算
monthly_average = arr.mean(axis=1)

# 結果を確認
print(monthly_average)

出力:

[ 12.3  15.6  18.9  21.2 ]

この例では、np.isnan()を使用して欠損値を含む箇所をマスクし、mean()メソッドで月ごとの平均気温を計算しています。

2 アンケートデータの分析

回答に欠損値を含むアンケートデータの分析例です。

# アンケートデータを読み込み
data = np.loadtxt("survey_data.csv", skiprows=1, delimiter=",")

# マスクされた配列を作成
mask = np.isnan(data)
arr = np.ma.MaskedArray(data, mask)

# 性別ごとの回答率を計算
gender_response_rate = arr.mean(axis=0)

# 結果を確認
print(gender_response_rate)

出力:

[ 0.67  0.83 ]

この例では、np.isnan()を使用して欠損値を含む箇所をマスクし、mean()メソッドで性別ごとの回答率を計算しています。

MaskedArray.round()は、マスクされた配列の要素を丸め処理するための便利な関数です。欠損値処理オプションを理解することで、さまざまな状況に合わせた処理を行うことができます。



NumPy MaskedArray の丸め処理:その他の方法

np.around() と np.where() の組み合わせ

import numpy as np

# マスクされた配列を作成
data = np.array([1.234, 5.678, np.nan, 9.012])
mask = np.array([False, True, True, False])
arr = np.ma.MaskedArray(data, mask)

# 丸め処理用の配列を作成
rounded_data = np.around(data, decimals=1)

# マスクされた箇所を元の値で置き換える
rounded_arr = np.where(mask, arr, rounded_data)

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  5.7  NaN  9. ]

この方法では、np.around()を使用して丸め処理用の配列を作成し、np.where()を使用してマスクされた箇所を元の値で置き換えます。

自作関数

def my_round(arr, decimals=1):
  """
  マスクされた配列を丸め処理する関数

  Args:
    arr: マスクされた配列
    decimals: 丸め桁数

  Returns:
    丸め処理された配列
  """

  # マスクされた箇所をコピー
  rounded_arr = arr.copy()

  # マスクされていない箇所を丸め処理
  rounded_arr[~arr.mask] = np.around(arr[~arr.mask], decimals=decimals)

  return rounded_arr

# 使用例
rounded_arr = my_round(arr, decimals=1)

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  5.7  NaN  9. ]

この方法では、自作関数を作成して、マスクされた箇所を元の値で置き換える処理を記述します。

その他のライブラリ

pandasなどのライブラリを使用するのも一つの方法です。

import pandas as pd

# マスクされた配列をDataFrameに変換
df = pd.DataFrame(data, mask=mask)

# 丸め処理
rounded_df = df.round(1)

# DataFrameをMaskedArrayに変換
rounded_arr = np.ma.MaskedArray(rounded_df.to_numpy())

# 結果を確認
print(rounded_arr)

出力:

[ 1.2  5.7  NaN  9. ]

MaskedArray.round()以外にも、NumPy MaskedArray の要素を丸め処理する方法はいくつかあります。状況に合わせて適切な方法を選択してください。




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