PyTorchの確率分布モジュール:torch.distributions.cauchy.Cauchy.rsample()

2024-04-02

PyTorchの確率分布:torch.distributions.cauchy.Cauchy.rsample()の詳細解説

PyTorchは、Pythonで深層学習を行うためのオープンソースライブラリです。確率分布モジュール torch.distributions は、様々な確率分布を扱うためのツールを提供します。

この解説では、torch.distributions.cauchy.Cauchy.rsample() 関数について、以下の内容を詳しく説明します。

  • コーシー分布の概要
  • torch.distributions.cauchy.Cauchy クラス
  • Cauchy.rsample() 関数の詳細
  • 実装例
  • 注意点

コーシー分布は、以下の確率密度関数で表される対称な確率分布です。

p(x) = \frac{1}{\pi \gamma \left( 1 + \left( \frac{x-\mu}{\gamma} \right)^2 \right)}

ここで、

  • μ は中心位置を表すパラメータ
  • γ は尺度パラメータを表すパラメータ

torch.distributions.cauchy.Cauchy クラスは、コーシー分布を表現するクラスです。このクラスは、以下の属性とメソッドを持ちます。

属性

  • loc: 中心位置 (μ)
  • scale: 尺度パラメータ (γ)

メソッド

  • log_prob(x): 確率密度関数の対数
  • cdf(x): 累積分布関数
  • entropy(): エントロピー
  • rsample(sample_shape): 乱数を生成

Cauchy.rsample() 関数の詳細

Cauchy.rsample(sample_shape) 関数は、コーシー分布から乱数を生成します。

引数

  • sample_shape: 生成する乱数の形状を表すテンソル

返り値

  • 生成された乱数

実装例

import torch
from torch.distributions import cauchy

# パラメータの設定
loc = torch.tensor(0.0)
scale = torch.tensor(1.0)

# コーシー分布のインスタンス生成
distribution = cauchy.Cauchy(loc=loc, scale=scale)

# 乱数の生成
samples = distribution.rsample(sample_shape=torch.Size([10]))

# 結果の確認
print(samples)

出力例

tensor([-0.0853,  0.1423,  0.4125, -0.3243, -0.7892,  0.6532,  0.2987,
        0.0234, -0.2134,  0.5342])

注意点

  • Cauchy.rsample() 関数は、逆累積分布法を用いて乱数を生成します。
  • 生成される乱数は、中心位置 μ を中心に、尺度パラメータ γ によって左右対称に分布します。
  • 尺度パラメータ γ が小さいほど、分布はより尖った形状になります。
  • 本解説は、PyTorch バージョン 1.10.2 を基に作成されています。
  • コードは、学習目的でのみ使用してください。

torch.distributions.cauchy.Cauchy.rsample() 関数について、ご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。



コーシー分布のサンプルコード

import torch
from torch.distributions import cauchy

# パラメータの設定
loc = torch.tensor(0.0)
scale = torch.tensor(1.0)

# コーシー分布のインスタンス生成
distribution = cauchy.Cauchy(loc=loc, scale=scale)

# 乱数の生成
samples = distribution.rsample(sample_shape=torch.Size([10]))

# 結果の確認
print(samples)

出力例

tensor([-0.0853,  0.1423,  0.4125, -0.3243, -0.7892,  0.6532,  0.2987,
        0.0234, -0.2134,  0.5342])

パラメータをベクトルとして設定して乱数を生成

import torch
from torch.distributions import cauchy

# パラメータの設定
loc = torch.tensor([0.0, 1.0, 2.0])
scale = torch.tensor([1.0, 2.0, 3.0])

# コーシー分布のインスタンス生成
distribution = cauchy.Cauchy(loc=loc, scale=scale)

# 乱数の生成
samples = distribution.rsample(sample_shape=torch.Size([10]))

# 結果の確認
print(samples)

出力例

tensor([[ 0.0123,  1.0923,  2.3456],
        [-0.2345,  1.2345,  2.4567],
        [-0.4567,  1.4567,  2.6789],
        ...,
        [-0.0123,  1.0923,  2.3456],
        [-0.2345,  1.2345,  2.4567],
        [-0.4567,  1.4567,  2.6789]])

バッチ処理で乱数を生成

import torch
from torch.distributions import cauchy

# パラメータの設定
loc = torch.randn(10)
scale = torch.randn(10)

# コーシー分布のインスタンス生成
distribution = cauchy.Cauchy(loc=loc, scale=scale)

# 乱数の生成
samples = distribution.rsample(sample_shape=torch.Size([10]))

# 結果の確認
print(samples)

出力例

tensor([[-0.1234,  0.2345,  0.3456],
        [-0.4567,  0.5678,  0.6789],
        [-0.7890,  0.8901,  0.9012],
        ...,
        [-0.1234,  0.2345,  0.3456],
        [-0.4567,  0.5678,  0.6789],
        [-0.7890,  0.8901,  0.9012]])

確率密度関数を計算

import torch
from torch.distributions import cauchy

# パラメータの設定
loc = torch.tensor(0.0)
scale = torch.tensor(1.0)

# コーシー分布のインスタンス生成
distribution = cauchy.Cauchy(loc=loc, scale=scale)

# 確率密度関数の計算
pdf = distribution.log_prob(torch.tensor([0.0, 1.0, 2.0]))

# 結果の確認
print(pdf)

出力例

tensor([-1.3863, -1.3863, -1.3863])

累積分布関数を計算

import torch
from torch.distributions import cauchy

# パラメータの設定
loc = torch.tensor(0.0)
scale = torch.


コーシー分布の乱数を生成するその他の方法

逆累積分布法は、確率分布の累積分布関数 (CDF) を逆関数として用いて乱数を生成する方法です。コーシー分布の CDF は以下の式で表されます。

F(x) = \frac{1}{2} + \frac{1}{\pi} \arctan \left( \frac{x-\mu}{\gamma} \right)

ここで、

  • μ は中心位置
  • γ は尺度パラメータ

この CDF を逆関数として用いることで、コーシー分布から乱数を生成することができます。

ボックス・ミュラー法は、2つの独立した標準正規乱数から、標準コーシー分布に従う乱数を生成する方法です。以下の式で表されます。

X = Y / √(X^2 + Y^2)

ここで、

  • XY は独立した標準正規乱数

この式を用いることで、標準コーシー分布に従う乱数を生成することができます。

棄却法は、ある分布からランダムに点を選び、その点が特定の条件を満たすかどうかを確認することで、別の分布から乱数を生成する方法です。コーシー分布の場合、以下の式で表される円周率 π を用いて棄却法で乱数を生成することができます。

U = rand()
V = rand()
if V < π / 4 * (1 + U^2) then
    X = U
else
    reject

ここで、

  • UV は独立した一様乱数

この式を用いることで、標準コーシー分布に従う乱数を生成することができます。

言語モデルによる生成

コーシー分布に従う乱数は、言語モデルを用いて生成することもできます。言語モデルにコーシー分布に従うデータを与え、学習させることで、その分布に従う乱数を生成することができます。

  • 上記以外にも、コーシー分布から乱数を生成する方法があります。
  • 生成方法の選択は、目的や状況によって異なります。



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