Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheMode使用時のトラブルシューティング
Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheModeプログラミング解説
QGraphicsView
クラスは、Qt Widgetsモジュールで提供されるグラフィックスビュークラスです。このクラスは、QGraphicsScene
クラスのシーンを表示するために使用されます。cacheMode
プロパティは、シーンのレンダリング方法を制御するために使用されます。
デフォルトの動作
デフォルトでは、cacheMode
プロパティはQGraphicsView::CacheBackground
に設定されています。これは、ビューの背景のみがキャッシュされ、シーン内のアイテムはレンダリングされるたびに再描画されることを意味します。
キャッシュモード
cacheMode
プロパティには、以下の4つの値を設定できます。
- QGraphicsView::CacheNone: キャッシュを使用しません。すべてのアイテムはレンダリングされるたびに再描画されます。
- QGraphicsView::CacheBackground: ビューの背景のみがキャッシュされます。シーン内のアイテムはレンダリングされるたびに再描画されます。
- QGraphicsView::CacheItem: シーン内のすべてのアイテムがキャッシュされます。アイテムは最初にレンダリングされた後、キャッシュから再利用されます。
- QGraphicsView::CacheAll: ビューの背景とシーン内のすべてのアイテムがキャッシュされます。
パフォーマンスへの影響
キャッシュモードを使用すると、パフォーマンスが向上する場合があります。これは、シーン内のアイテムを再描画する必要がなくなるためです。ただし、キャッシュモードを使用すると、メモリ使用量が増加する場合があります。
使用例
以下の例は、cacheMode
プロパティを使用して、シーン内のアイテムのレンダリングパフォーマンスを向上させる方法を示しています。
QGraphicsScene scene;
QGraphicsView view(&scene);
// シーンにいくつかのアイテムを追加します
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
scene.addItem(item);
}
// キャッシュモードをCacheItemに設定します
view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheItem);
// ビューを表示します
view.show();
その他の考慮事項
- キャッシュモードを使用する場合は、シーン内のアイテムを頻繁に変更しないようにする必要があります。アイテムを頻繁に変更すると、キャッシュが無効になり、パフォーマンスが低下する可能性があります。
この情報は参考用であり、予告なく変更される場合があります。
Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheModeのサンプルコード
シンプルな例
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成します
QGraphicsScene scene;
// シーンにいくつかのアイテムを追加します
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
scene.addItem(item);
}
// ビューを作成します
QGraphicsView view(&scene);
// キャッシュモードをCacheItemに設定します
view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheItem);
// ビューを表示します
view.show();
return app.exec();
}
異なるキャッシュモードの比較
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成します
QGraphicsScene scene;
// シーンにいくつかのアイテムを追加します
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
scene.addItem(item);
}
// ビューを作成します
QGraphicsView view(&scene);
// さまざまなキャッシュモードを試します
for (int i = 0; i < 4; ++i) {
view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheMode(i));
// ビューを更新します
view.update();
// パフォーマンスを測定します
// ...
// 次のキャッシュモードに進む
}
// ビューを表示します
view.show();
return app.exec();
}
この例では、4つの異なるキャッシュモードを試して、パフォーマンスを比較しています。
アイテムの変更を検知する
#include <QtWidgets>
class MyGraphicsItem : public QGraphicsItem {
public:
MyGraphicsItem() {}
void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionGraphicsItem *option, QWidget *widget) override {
// アイテムを描画します
// ...
// アイテムが変更されたことを通知します
emit itemChanged();
}
signals:
void itemChanged();
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成します
QGraphicsScene scene;
// シーンにいくつかのアイテムを追加します
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
MyGraphicsItem *item = new MyGraphicsItem();
item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
scene.addItem(item);
// アイテムが変更されたら、キャッシュを無効にします
connect(item, &MyGraphicsItem::itemChanged, &scene, &QGraphicsScene::invalidate);
}
// ビューを作成します
QGraphicsView view(&scene);
// キャッシュモードをCacheItemに設定します
view.setCacheMode(QGraphicsView::CacheItem);
// ビューを表示します
view.show();
return app.exec();
}
この例では、itemChanged()
シグナルを使用して、アイテムが変更されたときにキャッシュを無効にしています。
ビューのサイズ変更を検知する
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成します
QGraphicsScene scene;
// シーンにいくつかのアイテムを追加します
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
scene.addItem(item);
}
Qt WidgetsにおけるQGraphicsView::cacheModeの代替方法
QGraphicsItem::setCacheMode()
メソッドを使用して、個々のアイテムのキャッシュモードを設定できます。これは、シーン内のすべてのアイテムをキャッシュするよりも、より細かい制御を提供できます。
for (int i = 0; i < 100; ++i) {
QGraphicsItem *item = new QGraphicsRectItem();
item->setRect(QRectF(i * 10, i * 10, 10, 10));
item->setCacheMode(QGraphicsItem::CacheItem);
scene.addItem(item);
}
QGraphicsProxyWidget::setCacheMode()
メソッドを使用して、ウィジェットをプロキシするアイテムのキャッシュモードを設定できます。
QWidget *widget = new QWidget();
// ...
QGraphicsProxyWidget *proxy = new QGraphicsProxyWidget();
proxy->setWidget(widget);
proxy->setCacheMode(QGraphicsProxyWidget::CacheBackground);
scene.addItem(proxy);
QGraphicsScene::setOptimizationFlags()
メソッドを使用して、シーンのレンダリングを最適化するフラグを設定できます。
scene.setOptimizationFlags(QGraphicsScene::DontUseOpenGL);
その他の方法
QGraphicsView::setRenderHints()
メソッドを使用して、レンダリングヒントを設定できます。QGraphicsView::setDragMode()
メソッドを使用して、ドラッグモードを設定できます。QGraphicsView::setTransformationAnchor()
メソッドを使用して、変換アンカーを設定できます。
注意事項
- キャッシュを使用すると、メモリ使用量が増加する場合があります。
- キャッシュを使用すると、パフォーマンスが向上する場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。
- キャッシュを使用する場合は、シーン内のアイテムを頻繁に変更しないようにする必要があります。
- キャッシュを使用する場合は、ビューのサイズを変更しないようにする必要があります。
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