Qt WidgetsにおけるQTableView::setSpan()の徹底解説
Qt WidgetsにおけるQTableView::setSpan()の解説
QTableView::setSpan()
は、Qt Widgets モジュールにおける重要な関数の一つです。これは、テーブルビュー内の複数のセルを結合して、あたかも一つの大きなセルのように表示するために使用されます。この機能は、表内の関連するデータをまとめて表示したり、見やすくするために使用できます。
この解説で学ぶこと
QTableView::setSpan()
の役割と機能- 関数の使用方法
- コード例
- 関連情報
関数詳細
QTableView::setSpan()
は、以下の引数を受け取ります。
row
: 結合したいセルの先頭行column
: 結合したいセルの先頭列rowSpan
: 結合したいセルの行数columnSpan
: 結合したいセルの列数
この関数は、指定された範囲のセルを一つのセルとして扱い、そのセル内に表示されるデータは、左上のセルに設定されます。
コード例
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// テーブルモデルの作成
QStandardItemModel model;
model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "名前" << "年齢" << "性別");
model.setItem(0, 0, new QStandardItem("田中 太郎"));
model.setItem(0, 1, new QStandardItem(20));
model.setItem(0, 2, new QStandardItem("男性"));
model.setItem(1, 0, new QStandardItem("佐藤 花子"));
model.setItem(1, 1, new QStandardItem(25));
model.setItem(1, 2, new QStandardItem("女性"));
// テーブルビューの作成
QTableView tableView;
tableView.setModel(&model);
// 2行1列目のセルを2行2列に結合
tableView.setSpan(1, 0, 2, 2);
tableView.show();
return app.exec();
}
このコードでは、2行1列目のセルを2行2列に結合しています。実行すると、以下の画像のようなテーブルビューが表示されます。
[画像: 結合されたセルを持つテーブルビュー]
補足
QTableView::setSpan()
は、モデルに対してではなく、ビューに対して呼び出す関数です。- 結合されたセルは、編集や選択することができません。
- 結合されたセル内のデータは、左上のセルに設定されたデータのみが表示されます。
QTableView::setSpan()
は、テーブルビュー内の複数のセルを結合して、見やすく表示するための便利な関数です。この関数を活用することで、表内の関連データをまとめて表示したり、レイアウトを調整したりすることができます。
Qt WidgetsにおけるQTableView::setSpan()のサンプルコード
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// テーブルモデルの作成
QStandardItemModel model;
model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "名前" << "年齢" << "性別");
model.setItem(0, 0, new QStandardItem("田中 太郎"));
model.setItem(0, 1, new QStandardItem(20));
model.setItem(0, 2, new QStandardItem("男性"));
model.setItem(1, 0, new QStandardItem("佐藤 花子"));
model.setItem(1, 1, new QStandardItem(25));
model.setItem(1, 2, new QStandardItem("女性"));
// テーブルビューの作成
QTableView tableView;
tableView.setModel(&model);
// 2行1列目のセルを2行2列に結合
tableView.setSpan(1, 0, 2, 2);
// 3行1列目のセルを1行3列に結合
tableView.setSpan(2, 0, 1, 3);
tableView.show();
return app.exec();
}
結合されたセルの背景色を変更する
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// テーブルモデルの作成
QStandardItemModel model;
model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "名前" << "年齢" << "性別");
model.setItem(0, 0, new QStandardItem("田中 太郎"));
model.setItem(0, 1, new QStandardItem(20));
model.setItem(0, 2, new QStandardItem("男性"));
model.setItem(1, 0, new QStandardItem("佐藤 花子"));
model.setItem(1, 1, new QStandardItem(25));
model.setItem(1, 2, new QStandardItem("女性"));
// テーブルビューの作成
QTableView tableView;
tableView.setModel(&model);
// 2行1列目のセルを2行2列に結合
tableView.setSpan(1, 0, 2, 2);
// 結合されたセルの背景色を設定
QBrush brush;
brush.setColor(Qt::red);
tableView.setSpan(1, 0, 2, 2, brush);
tableView.show();
return app.exec();
}
結合されたセルのテキストを中央揃えにする
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// テーブルモデルの作成
QStandardItemModel model;
model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "名前" << "年齢" << "性別");
model.setItem(0, 0, new QStandardItem("田中 太郎"));
model.setItem(0, 1, new QStandardItem(20));
model.setItem(0, 2, new QStandardItem("男性"));
model.setItem(1, 0, new QStandardItem("佐藤 花子"));
model.setItem(1, 1, new QStandardItem(25));
model.setItem(1, 2, new QStandardItem("女性"));
// テーブルビューの作成
QTableView tableView;
tableView.setModel(&model);
// 2行1列目のセルを2行2列に結合
tableView.setSpan(1, 0, 2, 2);
// 結合されたセルのテキスト配置を設定
QTextAl
これらの制限を克服するために、以下の代替方法を使用することができます。
QGraphicsViewとQGraphicsItemを使う
- QGraphicsView は、グラフィックスアイテムを表示するためのクラスです。
- QGraphicsItem は、グラフィックスビューに表示されるオブジェクトを表すクラスです。
これらのクラスを使用して、テーブルビューのようなレイアウトを作成し、セルの結合を実現することができます。
カスタムウィジェットを使う
- カスタムウィジェットは、独自のウィジェットを作成するためのクラスです。
このクラスを使用して、テーブルビューのようなレイアウトを作成し、セルの結合を実現することができます。
- QTableWidget は、Qt Widgets モジュールにおけるもう一つのテーブルビュークラスです。
- QTableWidget は、
QTableView
よりも多くの機能を備えています。
QTableWidget
には、setSpan()
と同様の機能を持つ setSpan()
という関数があります。この関数は、QTableView
の setSpan()
よりも多くの機能を備えています。
それぞれの方法の比較
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
QGraphicsViewとQGraphicsItemを使う | 自由度の高いレイアウトを作成できる | 複雑なコードが必要 |
カスタムウィジェットを使う | 柔軟な設計が可能 | 開発コストが高い |
QTableWidgetを使う | 比較的簡単なコードで実装できる | QTableView よりも機能が少ない |
- QGraphicsViewとQGraphicsItemを使う
#include <QtWidgets>
#include <QtGraphics>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// テーブルモデルの作成
QStandardItemModel model;
model.setHorizontalHeaderLabels(QStringList() << "名前" << "年齢" << "性別");
model.setItem(0, 0, new QStandardItem("田中 太郎"));
model.setItem(0, 1, new QStandardItem(20));
model.setItem(0, 2, new QStandardItem("男性"));
model.setItem(1, 0, new QStandardItem("佐藤 花子"));
model.setItem(1, 1, new QStandardItem(25));
model.setItem(1, 2, new QStandardItem("女性"));
// グラフィックスビューの作成
QGraphicsView view;
// シーンの作成
QGraphicsScene scene;
// テーブルアイテムの作成
QGraphicsRectItem *item1 = new QGraphicsRectItem();
item1->setRect(0, 0, 100, 50);
item1->setText("田中 太郎");
QGraphicsRectItem *item2 = new QGraphicsRectItem();
item2->setRect(100, 0, 100, 50);
item2->setText("20");
QGraphicsRectItem *item3 = new QGraphicsRectItem();
item3->setRect(200, 0, 100, 50);
item3->setText("男性");
// シーンに追加
scene.addItem(item1);
scene.addItem(item2);
scene.addItem(item3);
// ビューにシーンを設定
view.setScene(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
- カスタムウィジェットを使う
#include <QtWidgets>
class CustomWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
CustomWidget(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {
// レイアウトの設定
QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout(this);
// ラベルの作成
QLabel *label1 = new QLabel("田中 太郎");
QLabel *label2 = new QLabel("20");
QLabel *label3 = new QLabel("男性");
// レイアウトに追加
layout->addWidget(label1);
layout->addWidget(label2);
layout->addWidget(label3);
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// カスタムウィジェットの作成
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