CMakeにおけるCMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODEの詳細解説

2024-04-02

CMakeの変数「CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE」の詳細解説

CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE は、CMakeにおける特殊な変数です。これは、Qtのメタオブジェクトコンパイラ(moc)の動作を制御するために使用されます。デフォルトでは、mocは厳格なモードで動作し、公式ドキュメントに記載されている規則に厳密に従います。一方、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE を有効にすると、mocはより寛容なモードで動作し、規則から多少逸脱した入力を受け入れられるようになります。

歴史と背景

CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE は、Qt 4との互換性を維持するために導入されました。Qt 4では、mocは現在の公式ドキュメントとは異なる規則に従っていました。そのため、Qt 4プロジェクトをCMakeでビルドするには、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE を有効にする必要がありました。

詳細な動作

CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE を有効にすると、mocは以下の動作が変わります。

  • ヘッダーファイルがmocによって処理されるべきかどうかを判断する際に、より緩やかな規則が適用されます。具体的には、以下の条件を満たすファイルがmocによって処理されます。
    • ファイル名が *.moc である。
    • ファイル名が moc_*.h である。
    • #include "moc_*.h" という行を含むファイル。
  • mocは、Q_OBJECT マクロを含むファイルだけでなく、そのファイルをインクルードするファイルも処理します。
  • mocは、QObject クラスから派生していないクラスでも処理します。

使用例

CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE は、Qt 4プロジェクトをCMakeでビルドする場合に必要です。また、Qt 5プロジェクトであっても、mocの動作をより寛容にしたい場合に使用できます。

以下のコード例は、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE を有効にする方法を示しています。

set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)

add_executable(my_app main.cpp)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

注意事項

CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE を有効にすると、mocの動作が公式ドキュメントとは異なるため、予期しない結果になる可能性があります。Qt 5プロジェクトでこの変数を使用する場合は、注意が必要です。

補足

  • CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE は CMake 3.15 以降で非推奨となりました。Qt 5プロジェクトでは、代わりに AUTOMOC_MOC_OPTIONS プロパティを使用することを推奨します。
  • Qt 6では、mocはより寛容な動作をするようになり、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE は必要なくなりました。


CMakeの変数「CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE」を使用したサンプルコード

set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)

add_executable(my_app main.cpp)

target_link_libraries(my_app Qt4::Core)

サンプル2:Qt 5プロジェクトでmocの動作をより寛容にする

set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)

add_executable(my_app main.cpp)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

set_target_properties(my_app PROPERTIES AUTOMOC_MOC_OPTIONS "-relaxed")

サンプル3:Qt 6プロジェクトでmocの動作をより寛容にする

add_executable(my_app main.cpp)

target_link_libraries(my_app Qt6::Core)

set_target_properties(my_app PROPERTIES AUTOMOC_MOC_OPTIONS "-relaxed")

補足

  • サンプルコードは、あくまでも参考として使用してください。
  • 実際のプロジェクトでは、必要に応じてコードを変更する必要があります。


CMakeでQtプロジェクトをビルドする他の方法

CMake GUIを使用するには、以下の手順に従います。

  1. CMake GUIをインストールします。
  2. CMake GUIを起動します。
  3. "Where is the source code?" というフィールドに、プロジェクトのソースコードディレクトリを指定します。
  4. "Where to build the binaries?" というフィールドに、ビルド出力ディレクトリを指定します。
  5. "Configure" ボタンをクリックします。
  6. 必要に応じて、CMake GUIの設定を変更します。
  7. "Generate" ボタンをクリックします。
  8. ビルドツールを使用して、プロジェクトをビルドします。

qmakeを使用する

qmakeは、Qtプロジェクトをビルドするためのツールです。qmakeは、CMakeよりも軽量なツールであり、Qtプロジェクトを素早くビルドしたい場合に便利です。

qmakeを使用するには、以下の手順に従います。

  1. qmakeをインストールします。
  2. コマンドプロンプトを開きます。
  3. プロジェクトのソースコードディレクトリに移動します。
  4. 以下のコマンドを実行します。
qmake -project
  1. 生成されたプロジェクトファイルをビルドツールを使用してビルドします。

その他の方法

上記以外にも、CMakeやqmake以外のツールを使用してQtプロジェクトをビルドすることができます。




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