CMake find_file() コマンドの代替方法:もっと柔軟なファイル検索
CMake find_file() コマンドの詳細解説
find_file(<variable> [NAMES <file_names>] [PATHS <path_list>] [OPTIONS <options>])
<variable>
: 検索結果を格納する CMake 変数<file_names>
: 検索するファイル名のリスト (スペース区切り)<path_list>
: 検索するパス名のリスト (スペース区切り)<options>
: 検索オプション (後述)
主要オプション
NO_DEFAULT_PATH
: デフォルトの検索パスを使用しないNO_CACHE
: キャッシュを使用しないREQUIRED
: ファイルが見つからない場合、エラーとするQUIET
: ファイルが見つからなくても、警告を出力しない
詳細解説
検索アルゴリズム
find_file() コマンドは、以下の手順でファイルを検索します。
<path_list>
で指定されたパスを順番に検索します。- 各パスにおいて、
<file_names>
で指定されたファイル名が存在するかどうかを確認します。 - ファイルが見つかった場合は、そのファイルのパスを
<variable>
に格納します。
キャッシュ
find_file() コマンドは、検索結果をキャッシュに保存します。 これにより、次回同じファイルを検索する際、検索時間を短縮することができます。 キャッシュは、CMake の実行が終わるとクリアされます。
エラー処理
ファイルが見つからない場合、find_file() コマンドはエラーを発生させます。 REQUIRED オプションを指定すると、エラーメッセージにファイルが見つからなかった理由が表示されます。
例
# ヘッダーファイルを見つける
find_file(HEADER_FILE
NAMES my_header.h
PATHS /usr/include /usr/local/include)
# ライブラリファイルを見つける
find_file(LIBRARY_FILE
NAMES libmylib.so
PATHS /usr/lib /usr/local/lib
OPTIONS NO_DEFAULT_PATH)
# ファイルが見つからない場合、エラーとする
find_file(CONFIG_FILE
NAMES config.txt
PATHS /etc
REQUIRED)
find_file() コマンドは、CMake でプロジェクトに必要なファイルを見つけるための強力なツールです。 このコマンドの基本構文と主要オプションを理解することで、効率的にプロジェクトをビルドすることができます。
find_file() コマンドのサンプルコード
ヘッダーファイルを見つける
# ヘッダーファイル "my_header.h" を /usr/include と /usr/local/include で検索する
find_file(HEADER_FILE
NAMES my_header.h
PATHS /usr/include /usr/local/include)
# ヘッダーファイルが見つかった場合、そのパスを出力する
if(HEADER_FILE)
message(STATUS "Header file found: ${HEADER_FILE}")
else()
message(STATUS "Header file not found")
endif()
ライブラリファイルを見つける
# ライブラリファイル "libmylib.so" を /usr/lib と /usr/local/lib で検索する
find_file(LIBRARY_FILE
NAMES libmylib.so
PATHS /usr/lib /usr/local/lib
OPTIONS NO_DEFAULT_PATH)
# ライブラリファイルが見つかった場合、そのパスを出力する
if(LIBRARY_FILE)
message(STATUS "Library file found: ${LIBRARY_FILE}")
else()
message(STATUS "Library file not found")
endif()
ファイルが見つからない場合、エラーとする
# 設定ファイル "config.txt" を /etc で検索する
find_file(CONFIG_FILE
NAMES config.txt
PATHS /etc
REQUIRED)
# 設定ファイルが見つかった場合、そのパスを出力する
message(STATUS "Config file found: ${CONFIG_FILE}")
複数のファイル名とパスを指定する
# 複数のヘッダーファイル "my_header.h" と "my_other_header.h" を /usr/include と /usr/local/include で検索する
find_file(HEADER_FILES
NAMES my_header.h my_other_header.h
PATHS /usr/include /usr/local/include)
# 見つかったファイルのパスをすべて出力する
foreach(HEADER_FILE IN LISTS HEADER_FILES)
message(STATUS "Header file found: ${HEADER_FILE}")
endforeach()
キャッシュを使用しない
# キャッシュを使用せずに "my_config.h" を /etc で検索する
find_file(CONFIG_FILE
NAMES my_config.h
PATHS /etc
OPTIONS NO_CACHE)
# 設定ファイルが見つかった場合、そのパスを出力する
if(CONFIG_FILE)
message(STATUS "Config file found: ${CONFIG_FILE}")
else()
message(STATUS "Config file not found")
endif()
ファイルが存在するかどうかを確認する
# ファイル "my_file.txt" が存在するかどうかを確認する
file(EXISTS MY_FILE_EXISTS /path/to/my_file.txt)
# ファイルが存在する場合、メッセージを出力する
if(MY_FILE_EXISTS)
message(STATUS "File exists")
else()
message(STATUS "File does not exist")
endif()
find_file() コマンドの代替方法
- 複雑な検索条件を設定できない
- 他の CMake モジュールと連携しにくい
- 独自の検索ロジックを実装できない
これらの欠点を克服するために、find_file() コマンドの代替方法として、以下のような方法があります。
手動でファイルを探す
set(HEADER_FILE /usr/include/my_header.h)
set(LIBRARY_FILE /usr/lib/libmylib.so)
この方法は簡単ですが、ファイルが見つからない場合、エラーが発生します。
CMake の組み込みモジュールを使う
find_package()
モジュール: パッケージマネージャーを使ってファイルを検索するfind_library()
モジュール: ライブラリファイルを検索するfind_path()
モジュール: パスを検索する
これらのモジュールは、find_file() コマンドよりも柔軟な検索条件を設定できます。
独自の検索ロジックを実装する
# 独自の検索ロジックを実装する
function(my_find_file VARNAME FILENAME PATHS)
# 検索処理
endfunction()
# 独自の検索ロジックを使ってファイルを探す
my_find_file(HEADER_FILE my_header.h /usr/include /usr/local/include)
# 見つかったファイルのパスを出力する
message(STATUS "Header file found: ${HEADER_FILE}")
この方法は最も自由度が高いですが、複雑なコードを書く必要があり、初心者には難易度が高いです。
使用する方法は、プロジェクトの要件と開発者のスキルレベルによって異なります。
- 簡単なプロジェクトであれば、find_file() コマンドで十分です。
- 複雑な検索条件を設定する必要がある場合は、CMake の組み込みモジュールを使うのがおすすめです。
- 独自の検索ロジックを実装する必要がある場合は、開発者のスキルレベルが十分であることを確認する必要があります。
find_file() コマンドは、CMake でファイルを検索するための便利なツールですが、いくつかの欠点があります。 複雑な検索条件を設定する必要がある場合や、他の CMake モジュールと連携したい場合は、find_file() コマンドの代替方法を検討する必要があります。
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