Fortranコンパイラ固有のオプションを使用してFortranソースコードをプリプロセスする方法
CMakeにおけるCMAKE_Fortran_PREPROCESS変数の詳細解説
CMAKE_Fortran_PREPROCESS
は、CMakeプロジェクト内のFortranソースコードのプリプロセスを制御するブール型の変数です。デフォルトはON
に設定されており、Fortranソースコードがコンパイル前にプリプロセスされます。
機能
-
Fortranソースコードのプリプロセスの有効化/無効化:
ON
: Fortranソースコードがコンパイル前にプリプロセスされます。OFF
: Fortranソースコードはプリプロセスされずにコンパイルされます。
-
特定のターゲットに対するプリプロセスの制御:
target_compile_options()
コマンドを使用して、特定のターゲットに対してCMAKE_Fortran_PREPROCESS
変数を設定できます。- 個々のFortranソースファイルに対して、
Fortran_PREPROCESS
プロパティを設定することもできます。
使用例
例1: 全てのFortranソースコードのプリプロセスを無効にする
set(CMAKE_Fortran_PREPROCESS OFF)
add_executable(my_app main.f90)
この例では、CMAKE_Fortran_PREPROCESS
変数をOFF
に設定することで、プロジェクト内の全てのFortranソースコードのプリプロセスが無効化されます。
例2: 特定のターゲットに対してのみプリプロセスを有効にする
add_library(my_lib
lib.f90
other.f90)
target_compile_options(my_lib
PRIVATE
CMAKE_Fortran_PREPROCESS ON)
add_executable(my_app
main.f90
$<TARGET_OBJECTS:my_lib>)
この例では、my_lib
ターゲットに対してのみCMAKE_Fortran_PREPROCESS
変数をON
に設定することで、my_lib
ターゲットに属するFortranソースコードのみがプリプロセスされます。
注意事項
- 一部のFortranコンパイラでは、
CMAKE_Fortran_PREPROCESS
変数をOFF
に設定しても、ソースコードのプリプロセスが実行される場合があります。 - Ninjaジェネレータを使用している場合は、
CMAKE_Fortran_PREPROCESS
変数をOFF
に設定しても、モジュール依存関係情報の生成のためにソースコードがプリプロセスされる場合があります。
補足
CMAKE_Fortran_PREPROCESS
変数は、CMakeバージョン3.18以降で導入されました。- Fortranソースコードのプリプロセスは、条件付きコンパイルやマクロの展開など、様々な目的に使用できます。
CMakeにおけるCMAKE_Fortran_PREPROCESS変数のサンプルコード
set(CMAKE_Fortran_PREPROCESS OFF)
add_executable(my_app main.f90)
例2: 特定のターゲットに対してのみプリプロセスを有効にする
add_library(my_lib
lib.f90
other.f90)
target_compile_options(my_lib
PRIVATE
CMAKE_Fortran_PREPROCESS ON)
add_executable(my_app
main.f90
$<TARGET_OBJECTS:my_lib>)
例3: 特定のソースファイルに対してのみプリプロセスを無効にする
add_executable(my_app
main.f90
other.f90)
set_property(SOURCE other.f90
PROPERTY Fortran_PREPROCESS OFF)
例4: マクロ定義を使用してプリプロセスを制御する
set(CMAKE_Fortran_PREPROCESS_DEF "-DDEBUG")
add_executable(my_app main.f90)
例5: 条件付きコンパイルを使用してプリプロセスを制御する
if(CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Debug")
set(CMAKE_Fortran_PREPROCESS_DEF "-DDEBUG")
endif()
add_executable(my_app main.f90)
CMakeにおけるCMAKE_Fortran_PREPROCESS変数以外のFortranソースコードのプリプロセス方法
Fortranコンパイラ固有のオプションを使用する
Fortranコンパイラには、ソースコードのプリプロセスを制御するためのオプションが用意されています。
例:
- GNU Fortran (gfortran):
gfortran -cpp -o main main.f90
- Intel Fortran (ifort):
ifort -cpp -o main main.f90
Makefileを使用して、Fortranソースコードのコンパイルとプリプロセスを同時に実行することができます。
例:
main: main.f90
$(FC) -cpp -o main main.f90
clean:
rm -f main
専用のプリプロセッサを使用する
Fortranソースコード専用のプリプロセッサを使用することもできます。
これらの方法は、CMAKE_Fortran_PREPROCESS変数を使用するよりも柔軟性がありますが、設定が複雑になる場合があります。
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