CMakeで外部バイナリ参照を簡単にする!ポリシーCMP0070徹底解説
CMakeポリシー CMP0070 の詳細解説
CMakeポリシー CMP0070 は、プロジェクト内のターゲットが IMPORTED 属性を持つ場合の動作を制御します。このポリシーは、ターゲットが外部ソースによって生成されたバイナリファイルを参照する場合に役立ちます。
デフォルトの動作
CMake 3.13 以前では、IMPORTED 属性を持つターゲットは、その依存関係にあるターゲットがビルドされる前に存在している必要がありました。これは、依存関係が事前にビルドされていない場合、ビルドが失敗することを意味していました。
CMP0070 の影響
CMP0070 を OLD に設定すると、CMake は IMPORTED 属性を持つターゲットの依存関係が事前に存在していない場合でも、ビルドを続行します。ただし、依存関係が見つからない場合は、警告が表示されます。
CMP0070 を NEW に設定すると、CMake は IMPORTED 属性を持つターゲットの依存関係が事前に存在していない場合、エラーを出力します。
使用例
以下の例は、CMP0070 ポリシーの使用方法を示しています。
cmake_minimum_required(VERSION 3.13)
set(POLICY_CMP0070 NEW)
add_library(foo SHARED IMPORTED)
set_target_properties(foo PROPERTIES IMPORTED_LOCATION "/path/to/libfoo.so")
add_executable(bar DEPENDS foo)
target_link_libraries(bar foo)
この例では、foo
ターゲットは IMPORTED 属性と /path/to/libfoo.so
へのパスを持つ IMPORTED_LOCATION プロパティを使用して作成されます。
POLICY_CMP0070
が NEW に設定されているため、bar
ターゲットがビルドされる前に libfoo.so
ファイルが存在しない場合、エラーが発生します。
注意事項
- CMP0070 ポリシーは、CMake 3.13 以降でのみ使用できます。
- IMPORTED 属性を持つターゲットの依存関係が事前に存在しない場合、ビルドの順序が重要になる可能性があります。
- CMP0070 を NEW に設定すると、依存関係が見つからない場合にエラーが発生するため、注意が必要です。
CMake ポリシー CMP0070 のサンプルコード
cmake_minimum_required(VERSION 3.13)
set(POLICY_CMP0070 OLD)
add_library(foo SHARED IMPORTED)
set_target_properties(foo PROPERTIES IMPORTED_LOCATION "/path/to/libfoo.so")
add_executable(bar DEPENDS foo)
target_link_libraries(bar foo)
この例では、foo
ターゲットは存在しない /path/to/libfoo.so
ファイルを参照します。POLICY_CMP0070
が OLD に設定されているため、ビルドは警告付きで成功します。
例 2: 依存関係が存在しない場合のエラー
cmake_minimum_required(VERSION 3.13)
set(POLICY_CMP0070 NEW)
add_library(foo SHARED IMPORTED)
set_target_properties(foo PROPERTIES IMPORTED_LOCATION "/path/to/libfoo.so")
add_executable(bar DEPENDS foo)
target_link_libraries(bar foo)
この例では、foo
ターゲットは存在しない /path/to/libfoo.so
ファイルを参照します。POLICY_CMP0070
が NEW に設定されているため、ビルドはエラーで失敗します。
例 3: 事前存在チェックと依存関係の順序
cmake_minimum_required(VERSION 3.13)
set(POLICY_CMP0070 NEW)
file(EXISTS "/path/to/libfoo.so" EXISTS_FOO)
if(EXISTS_FOO)
add_library(foo SHARED IMPORTED)
set_target_properties(foo PROPERTIES IMPORTED_LOCATION "/path/to/libfoo.so")
else()
message(FATAL_ERROR "libfoo.so does not exist")
endif()
add_executable(bar DEPENDS foo)
target_link_libraries(bar foo)
この例では、libfoo.so
ファイルが存在するかどうかを事前にチェックしてから、foo
ターゲットを作成します。foo
ターゲットは bar
ターゲットよりも前に作成されるため、依存関係の順序が正しくなります。
注意: これらのサンプルコードはあくまでも参考であり、実際のユースケースに合わせて変更する必要があります。
CMakeで外部バイナリ参照時の他の方法
find_package()
モジュールは、特定のライブラリやフレームワークがインストールされているかどうかを検出し、必要な情報を CMake 変数に設定します。
find_package(Foo REQUIRED)
target_link_libraries(bar PRIVATE Foo::Foo)
この例では、Foo
パッケージがインストールされているかどうかを find_package()
モジュールが検出します。見つかった場合は、Foo::Foo
ターゲットへのリンクに必要な情報が CMake 変数に設定されます。
外部プロジェクトファイルは、外部ソースによって生成されたバイナリファイルを CMake プロジェクトに統合するための仕組みです。
add_custom_target(foo
COMMAND /path/to/build_foo
WORKING_DIRECTORY /path/to/foo
BYPRODUCTS /path/to/libfoo.so)
add_executable(bar DEPENDS foo)
target_link_libraries(bar /path/to/libfoo.so)
この例では、/path/to/build_foo
コマンドを実行して libfoo.so
ファイルを生成します。foo
ターゲットは、libfoo.so
ファイルの生成を依存関係として持ちます。
手動でパスを設定する
target_link_libraries()
コマンドを使用して、外部バイナリのパスを手動で設定できます。
add_executable(bar)
target_link_libraries(bar /path/to/libfoo.so)
この例では、bar
ターゲットは /path/to/libfoo.so
ファイルにリンクされます。
各方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
CMP0070 | 簡潔で使いやすい | 依存関係の順序に注意が必要 |
find_package() | パッケージ管理が容易 | パッケージが存在しない場合、ビルドが失敗する |
外部プロジェクトファイル | 柔軟性が高い | 設定が複雑になる場合がある |
手動でパスを設定する | 汎用性が高い | 設定ミスが発生しやすい |
どの方法を選択するかは、プロジェクトの要件と CMake のバージョンによって異なります。
- CMake 3.13 以降を使用している場合は、
CMP0070
ポリシーが最も簡潔で使いやすい方法です。 - 依存関係の順序が重要な場合は、
find_package()
モジュールを使用するのが安全です。 - 柔軟性が高い方法が必要場合は、外部プロジェクトファイルを使用できます。
- 汎用性が高い方法が必要場合は、手動でパスを設定できます。
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