CMake と gettext の連携: 国際化とローカライズ (i18n & l10n) を容易に
CMake Modules の FindGettext プログラミング解説
FindGettext
は、CMake モジュールの一つで、GNU gettext ライブラリとツールを見つけ、ビルドプロジェクトで使用できるようにするためのものです。gettext は、国際化とローカライズ (i18n & l10n) をサポートするためのライブラリとツール群を提供します。
FindGettext
は以下の機能を提供します。
- gettext ランタイムライブラリ (LGPL) とヘッダーファイルの検索
- gettext ツール (xgettext、msginit、msgmerge、msgcat、msgconv、msgfmt) の検索
- gettext 関連の変数の設定
GETTEXT_INCLUDE_DIR
: gettext ヘッダーファイルのパスGETTEXT_LIBRARIES
: gettext ライブラリのパスGETTEXT_INTL_LIBRARY
: gettext インターナショナルライブラリのパスGETTEXT_RUNTIME_FOUND
: gettext ランタイムライブラリが見つかったかどうかGETTEXT_INFO_MSG
: gettext に関する情報メッセージGETTEXT_XGETTEXT_EXECUTABLE
: xgettext ツールのパスGETTEXT_MSGINIT_EXECUTABLE
: msginit ツールのパスGETTEXT_MSGMERGE_EXECUTABLE
: msgmerge ツールのパスGETTEXT_TOOLS_FOUND
: gettext ツールが見つかったかどうかGETTEXT_FOUND
: gettext ランタイムライブラリとツールが見つかったかどうか
FindGettext
は、CMake の find_package()
コマンドを使って使用できます。
find_package(Gettext REQUIRED)
# gettext ヘッダーファイルのインクルード
include_directories(${GETTEXT_INCLUDE_DIR})
# gettext ライブラリとのリンク
target_link_libraries(your_target ${GETTEXT_LIBRARIES})
FindGettext
は、デフォルトでいくつかのパスを検索しますが、GETTEXT_SEARCH_PATH
変数を設定することで、検索パスをカスタマイズできます。
set(GETTEXT_SEARCH_PATH /usr/local /opt)
find_package(Gettext REQUIRED)
FindGettext
の詳細については、以下のリソースを参照してください。
補足
FindGettext
は、CMake バージョン 3.2 以降で使用できます。- gettext は、多くの Linux ディストリビューションと macOS にデフォルトでインストールされています。
- Windows で gettext を使用するには、Cygwin や MinGW などの環境が必要となります。
FindGettext のサンプルコード
シンプルなサンプル
find_package(Gettext REQUIRED)
# gettext ヘッダーファイルのインクルード
include_directories(${GETTEXT_INCLUDE_DIR})
# gettext ライブラリとのリンク
target_link_libraries(your_target ${GETTEXT_LIBRARIES})
検索パスのカスタマイズ
set(GETTEXT_SEARCH_PATH /usr/local /opt)
find_package(Gettext REQUIRED)
gettext ツールの使用
find_package(Gettext REQUIRED)
# xgettext ツールを使って PO ファイルを生成
add_custom_command(
OUTPUT ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
COMMAND ${GETTEXT_XGETTEXT_EXECUTABLE}
--from-code=utf-8
--output=${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.c
)
# msginit ツールを使って POT ファイルを初期化
add_custom_command(
OUTPUT ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.pot
COMMAND ${GETTEXT_MSGINIT_EXECUTABLE}
--locale=ja
--output=${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.pot
)
# msgmerge ツールを使って PO ファイルを更新
add_custom_command(
OUTPUT ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
COMMAND ${GETTEXT_MSGMERGE_EXECUTABLE}
--update
--output=${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.pot
)
# msgfmt ツールを使って MO ファイルを生成
add_custom_command(
OUTPUT ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.mo
COMMAND ${GETTEXT_MSGFMT_EXECUTABLE}
--output=${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.mo
${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
)
上記のサンプルコードは、あくまでも参考です。実際の使用例は、プロジェクトの環境や要件に合わせて変更する必要があります。
FindGettext 以外の方法
手動でパスを設定する
set(GETTEXT_INCLUDE_DIR /usr/local/include/gettext)
set(GETTEXT_LIBRARIES /usr/local/lib/libgettext.so)
# gettext ヘッダーファイルのインクルード
include_directories(${GETTEXT_INCLUDE_DIR})
# gettext ライブラリとのリンク
target_link_libraries(your_target ${GETTEXT_LIBRARIES})
注意
この方法は、gettext のインストールパスが分かっている場合にのみ使用できます。
外部プロジェクトを使う
ExternalProject
モジュールなどの外部プロジェクトを使って、gettext をビルドしてインストールすることができます。
set(GETTEXT_VERSION 0.21)
ExternalProject_Add(gettext
URL https://ftp.gnu.org/gnu/gettext/gettext-${GETTEXT_VERSION}.tar.gz
BUILD_IN_SOURCE 1
CONFIGURE_COMMAND ./configure --prefix=${CMAKE_BINARY_DIR}/gettext-install
BUILD_COMMAND make
INSTALL_COMMAND make install
)
# gettext ヘッダーファイルのインクルード
include_directories(${GETTEXT_INSTALL_DIR}/include)
# gettext ライブラリとのリンク
target_link_libraries(your_target ${GETTEXT_INSTALL_DIR}/lib/libgettext.so)
注意
この方法は、複雑な手順が必要となります。
CMakeLists.txt を直接編集する
gettext ツールを使う場合は、CMakeLists.txt を直接編集して、ツールを実行するコマンドを記述することができます。
add_custom_command(
OUTPUT ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.mo
COMMAND ${GETTEXT_MSGFMT_EXECUTABLE}
--output=${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.mo
${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/my.po
)
注意
この方法は、可読性が低く、保守性が悪くなります。
FindGettext
は、gettext を CMake プロジェクトで使用するための最も簡単な方法です。ただし、プロジェクトの環境や要件によっては、他の方法の方が適している場合があります。
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