WinRTアプリケーション開発におけるVS_WINRT_REFERENCES
CMakeにおけるVS_WINRT_REFERENCESの詳細解説
VS_WINRT_REFERENCESは、CMakeのターゲットプロパティの一つで、Visual Studioプロジェクトファイル( .vcxproj )にWinRTメタデータ参照を追加するために使用されます。これは、Windows Runtime (WinRT) アプリケーション開発において重要な役割を果たします。
設定方法
VS_WINRT_REFERENCESは、target_property()
コマンドを使用してターゲットに設定できます。以下の例では、mytarget
というターゲットに Windows;Windows.UI.Core
という2つのWinRTメタデータ参照を追加しています。
target_property(mytarget
PROPERTIES
VS_WINRT_REFERENCES "Windows;Windows.UI.Core"
)
詳細
- 複数のWinRTメタデータ参照を指定する場合は、セミコロン
;
で区切ります。 - VS_WINRT_REFERENCES は、Visual Studio 2015以降でのみサポートされます。
- 参照するWinRTメタデータは、プロジェクトのInclude Directories に存在する必要があります。
関連するCMakeターゲットプロパティ
- VS_WINRT_COMPONENT: ターゲットをWinRTコンポーネントとしてマークします。
- VS_WINRT_MIN_VERSION: ターゲットに必要なWinRTの最小バージョンを設定します。
- VS_WINRT_MAX_VERSION: ターゲットでサポートされるWinRTの最大バージョンを設定します。
例
以下のコードは、mytarget
というWinRTコンポーネントをビルドする例です。
target_property(mytarget
PROPERTIES
VS_WINRT_COMPONENT ON
VS_WINRT_REFERENCES "Windows;Windows.UI.Core"
VS_WINRT_MIN_VERSION 10.0.0.0
VS_WINRT_MAX_VERSION 10.0.17763.0
)
このコードは、mytarget
というターゲットを以下の設定でビルドします。
- WinRTコンポーネントとしてビルド
Windows
とWindows.UI.Core
という2つのWinRTメタデータ参照を使用- 最低限必要なWinRTバージョンは10.0.0.0
- サポートされる最大WinRTバージョンは10.0.17763.0
補足
- VS_WINRT_REFERENCES は、Visual Studioプロジェクトファイル (.vcxproj) へのみ影響を与えます。
VS_WINRT_REFERENCES を使用するサンプルコード
シンプルな WinRT アプリケーション
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(SimpleWinRTApp)
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
add_executable(SimpleWinRTApp
main.cpp
)
target_property(SimpleWinRTApp
PROPERTIES
VS_WINRT_REFERENCES "Windows;Windows.UI.Core"
)
WinRT コンポーネント
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(MyComponent)
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
add_library(MyComponent SHARED
component.cpp
)
target_property(MyComponent
PROPERTIES
VS_WINRT_COMPONENT ON
VS_WINRT_REFERENCES "Windows;MyOtherComponent"
VS_WINRT_MIN_VERSION 10.0.0.0
VS_WINRT_MAX_VERSION 10.0.17763.0
)
複数の WinRT メタデータ参照
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(MyProject)
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
add_executable(MyProject
main.cpp
)
target_property(MyProject
PROPERTIES
VS_WINRT_REFERENCES "Windows;Windows.UI.Core;MyComponent"
)
条件付きで VS_WINRT_REFERENCES を設定
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(MyProject)
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
if(WIN32)
target_property(MyProject
PROPERTIES
VS_WINRT_REFERENCES "Windows;Windows.UI.Core"
)
endif()
add_executable(MyProject
main.cpp
)
これらのサンプルコードは、VS_WINRT_REFERENCES の使用方法を理解するのに役立ちます。
VS_WINRT_REFERENCES を設定するその他の方法
Visual Studio プロジェクトファイル (.vcxproj) を手動で編集し、PropertyGroup
タグに以下の要素を追加できます。
<PropertyGroup>
<VS_WINRT_REFERENCES>Windows;Windows.UI.Core</VS_WINRT_REFERENCES>
</PropertyGroup>
Visual Studio の GUI を使用
Visual Studio のソリューション エクスプローラーでプロジェクトを右クリックし、プロパティ を選択します。構成プロパティ > C/C++ > 全般 > Windows ランタイム ページで、WinRT 参照 フィールドに参照を追加できます。
CMake GUI を使用
CMake GUI を使用している場合は、ターゲット タブでターゲットを選択し、プロパティ パネルで VS_WINRT_REFERENCES プロパティを設定できます。
C++ プロパティシートを使用
C++ プロパティシートを使用している場合は、WinRT カテゴリで WinRT 参照 プロパティを設定できます。
これらの方法は、target_property()
コマンドを使用するよりも柔軟性がありますが、より多くの手作業が必要になります。
注意事項
- Visual Studio プロジェクトファイルを手動で編集する場合は、構文エラーが発生しないように注意する必要があります。
- Visual Studio の GUI または CMake GUI を使用している場合は、正しいターゲットを選択していることを確認する必要があります。
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