Qtプロジェクトにおける rcc コマンドの完全ガイド: CMAKE_AUTORCC とその他の方法

2024-04-06

CMakeにおけるCMAKE_AUTORCC変数の詳細解説

CMAKE_AUTORCC は、Qtプロジェクトにおける .qrc ファイルの自動処理を制御するブール型のCMake変数です。デフォルトでは ON に設定されており、Qtターゲットに対して rcc コマンドを自動的に呼び出します。

機能

  • ON の場合:
    • 各Qtターゲットに対して、rcc コマンドが自動的に呼び出され、.qrc ファイルから .cpp ファイルが生成されます。
    • 生成された .cpp ファイルは、ターゲットのソースファイルリストに追加されます。
  • OFF の場合:
    • rcc コマンドは自動的に呼び出されません。
    • .qrc ファイルを手動で処理する必要があります。

設定方法

  • CMakeLists.txtファイルで set() コマンドを使用して設定できます。
set(CMAKE_AUTORCC ON)
  • オプションで、CMAKE_AUTORCC_EXECUTABLE 変数を設定して、使用する rcc コマンドのパスを指定できます。
set(CMAKE_AUTORCC_EXECUTABLE /usr/bin/rcc)

補足

  • CMAKE_AUTORCC は、Qt 5.0 以降で使用できます。
  • CMAKE_AUTORCCOFF に設定した場合、Qt CreatorなどのIDEでプロジェクトを開くと、.qrc ファイルが自動的に処理されない場合があります。その場合は、IDEの設定で rcc コマンドを手動で呼び出すようにする必要があります。

以下の例は、CMAKE_AUTORCC を使用して、my_app という名前のQtアプリケーションをビルドする方法を示しています。

set(CMAKE_AUTORCC ON)

add_executable(my_app
  main.cpp
  my_resource.qrc)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

この例では、my_resource.qrc ファイルが自動的に処理され、my_resource_rc.cpp という名前のファイルが生成されます。このファイルは、my_app ターゲットのソースファイルリストに追加されます。



CMAKE_AUTORCCを使用したサンプルコード

基本的なサンプル

set(CMAKE_AUTORCC ON)

add_executable(my_app
  main.cpp
  my_resource.qrc)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

CMAKE_AUTORCC_EXECUTABLEを使用したサンプル

set(CMAKE_AUTORCC ON)
set(CMAKE_AUTORCC_EXECUTABLE /usr/bin/rcc)

add_executable(my_app
  main.cpp
  my_resource.qrc)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

この例では、/usr/bin/rcc コマンドが rcc コマンドとして使用されます。

CMAKE_AUTORCC_FLAGSを使用したサンプル

set(CMAKE_AUTORCC ON)
set(CMAKE_AUTORCC_FLAGS "-no-compress")

add_executable(my_app
  main.cpp
  my_resource.qrc)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

この例では、rcc コマンドが -no-compress フラグを使用して呼び出されます。

サブディレクトリ内の .qrc ファイルを使用したサンプル

set(CMAKE_AUTORCC ON)

add_executable(my_app
  main.cpp
  )

add_custom_command(
  TARGET my_app
  POST_BUILD
  COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E make_directory ${CMAKE_BINARY_DIR}/resources
  COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E copy_directory ${CMAKE_SOURCE_DIR}/resources ${CMAKE_BINARY_DIR}/resources
  COMMAND ${CMAKE_AUTORCC_EXECUTABLE} ${CMAKE_BINARY_DIR}/resources/my_resource.qrc -o ${CMAKE_BINARY_DIR}/my_resource_rc.cpp
  )

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)

この例では、resources サブディレクトリ内の my_resource.qrc ファイルが処理されます。

Qt Designer で生成された .ui ファイルを使用したサンプル

set(CMAKE_AUTORCC ON)

add_executable(my_app
  main.cpp
  my_ui.ui)

qt_designer_form(
  TARGET my_app
  UI_FILE my_ui.ui
  OUTPUT_DIR ${CMAKE_BINARY_DIR}
  )

target_link_libraries(my_app Qt5::Core Qt5::Gui)

この例では、Qt Designer で生成された my_ui.ui ファイルが処理されます。

上記のサンプルコードはあくまでも参考用です。ご自身の環境に合わせて変更する必要があります。



CMAKE_AUTORCC を使用せずに .qrc ファイルを処理するには、以下の方法があります。

  • 手動で rcc コマンドを実行する
rcc my_resource.qrc -o my_resource_rc.cpp
  • CMakeLists.txt ファイルで add_custom_command を使用する
add_custom_command(
  OUTPUT ${CMAKE_BINARY_DIR}/my_resource_rc.cpp
  COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -E echo "This is my_resource_rc.cpp" > ${CMAKE_BINARY_DIR}/my_resource_rc.cpp
  )

add_executable(my_app
  main.cpp
  ${CMAKE_BINARY_DIR}/my_resource_rc.cpp)

target_link_libraries(my_app Qt5::Core)
  • Qt Creator などの IDE を使用する

Qt Creator などの IDE では、.qrc ファイルを自動的に処理することができます。

各方法の比較

方法メリットデメリット
手動で rcc コマンドを実行する最も柔軟な方法毎回コマンドを実行する必要がある
CMakeLists.txt ファイルで add_custom_command を使用するCMake のビルドプロセスに統合できるコードが煩雑になる可能性がある
Qt Creator などの IDE を使用する簡単で直感的IDE に依存する必要がある

使用例

どの方法を使用するかは、プロジェクトの規模や複雑さに依存します。

  • 小さなプロジェクトの場合は、手動で rcc コマンドを実行するのが最も簡単な方法です。
  • 大きなプロジェクトの場合は、CMakeLists.txt ファイルで add_custom_command を使用すると、ビルドプロセスに統合することができます。
  • Qt Creator などの IDE を使用している場合は、IDE の機能を利用するのが最も簡単です。

上記のサンプルコードはあくまでも参考用です。ご自身の環境に合わせて変更する必要があります。




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