torch.Tensor.absolute_ メソッド vs torch.abs() 関数
PyTorch Tensor の torch.Tensor.absolute_ メソッド解説
torch.Tensor.absolute_
は、PyTorch Tensor の各要素の絶対値を計算し、結果を元の Tensor に直接書き換えるインプレース操作です。
詳細
- 入力:
self
: 処理対象の Tensor
- 出力:
- 戻り値:
- なし (インプレース操作なので)
例
import torch
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# `absolute_` メソッドによる絶対値計算
x.absolute_()
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
ポイント
torch.abs()
と異なり、absolute_
は元の Tensor を直接書き換えます。- 計算結果は元の Tensor の型と同じになります。
- 複素数テンサーの場合、各要素の絶対値は複素数の大きさ (絶対値) を計算します。
補足
- インプレース操作は、コードを簡潔に記述できますが、意図せず元のデータを書き換えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
- 計算結果を別の変数に保存したい場合は、
torch.abs()
を使用して新しい Tensor を作成する必要があります。
応用例
- 画像処理: 画像の輝度値の絶対値を計算して、コントラストを調整する
- 数値計算: 連立方程式の解法で、係数行列の絶対値を計算する
- 機械学習: ニューラルネットワークの訓練で、損失関数の勾配を計算する
PyTorch Tensor の torch.Tensor.absolute_ メソッド サンプルコード
import torch
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# `absolute_` メソッドによる絶対値計算
x.absolute_()
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
複素数テンサーの絶対値を計算
import torch
# 複素数テンサー作成
x = torch.tensor([1+2j, 3-4j], dtype=torch.complex128)
# `absolute_` メソッドによる絶対値計算
x.absolute_()
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([2.23606798 5.])
条件付きで絶対値を計算
import torch
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# 条件分岐
mask = x < 0
# 条件に応じて `absolute_` メソッドを使用
x[mask].absolute_()
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
画像の輝度値の絶対値を計算
import torch
from PIL import Image
# 画像読み込み
img = Image.open("image.jpg").convert("L")
# テンサーに変換
x = torch.as_tensor(img, dtype=torch.float)
# `absolute_` メソッドによる輝度値の絶対値計算
x.absolute_()
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([..., ..., ...])
# 画像保存
img = Image.fromarray(x.numpy(), "L")
img.save("output_image.jpg")
連立方程式の解法
import torch
# 係数行列
A = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]], dtype=torch.float)
# ベクトル b
b = torch.tensor([5, 7], dtype=torch.float)
# `absolute_` メソッドによる係数行列の絶対値計算
A.absolute_()
# 逆行列
A_inv = torch.linalg.inv(A)
# 解ベクトル
x = A_inv @ b
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1., 1.])
ニューラルネットワークの訓練
import torch
# ニューラルネットワーク
class Net(torch.nn.Module):
def __init__(self):
super().__init__()
self.fc1 = torch.nn.Linear(10, 1)
def forward(self, x):
x = x.view(-1)
x = self.fc1(x)
return x
# 損失関数
criterion = torch.nn.MSELoss()
# 最適化アルゴリズム
optimizer = torch.optim.SGD(net.parameters(), lr=0.01)
# 訓練データ
x_train = torch.randn(100, 10)
y_train = torch.randn(100, 1)
# 訓練ループ
for epoch in range(100):
# 順伝播
outputs = net(x_train)
# 損失計算
loss = criterion(outputs, y_train)
# 勾配計算
loss.backward()
# パラメータ更新
optimizer.step()
# 勾配ゼロ化
optimizer.zero_grad()
# 結果確認
print(loss)
上記はあくまでもサンプルコードであり、実際の用途に合わせてコードを
PyTorch Tensor の要素の絶対値を計算する他の方法
torch.abs()
関数は、テンサーの各要素の絶対値を計算し、新しいテンサーを返します。元のテンサーは書き換われません。
import torch
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# `torch.abs()` 関数による絶対値計算
y = torch.abs(x)
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1., 2., -3.])
print(y)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
torch.sign() 関数と torch.square() 関数
torch.sign()
関数は、テンサーの各要素の符号を返し、torch.square()
関数は、テンサーの各要素の平方を返します。これらの関数を組み合わせて、絶対値を計算することができます。
import torch
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# `torch.sign()` 関数と `torch.square()` 関数による絶対値計算
y = torch.sqrt(torch.square(x) * torch.sign(x))
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1., 2., -3.])
print(y)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
ループ処理
テンサーの要素数が多い場合は効率的ではありませんが、ループ処理を使用して絶対値を計算することもできます。
import torch
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# ループ処理による絶対値計算
for i in range(x.numel()):
x[i] = abs(x[i])
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
NumPy 互換ライブラリの使用
numpy
ライブラリと互換性のあるライブラリ (例: torch.numpy
や tensorpack.numpy
) を使用して、NumPy の abs()
関数を呼び出すこともできます。
import torch
import torch.numpy as tn
# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)
# NumPy 互換ライブラリの `abs()` 関数による絶対値計算
y = tn.abs(x)
# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1., 2., -3.])
print(y)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])
方法の選択
- コードの簡潔性を重視する場合は、
torch.Tensor.absolute_
メソッドを使用するのがおすすめです。 - 計算速度を重視する場合は、
torch.abs()
関数を使用するのがおすすめです。 - テンサーの要素数が少ない場合は、ループ処理を使用しても問題ありません。
- NumPy ライブラリに慣れている場合は、NumPy 互換ライブラリの使用を検討しても良いでしょう。
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