PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse 解説
PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse 解説
PyTorch の torch.Tensor
には、torch.Tensor.inverse
というメソッドがあり、これは 逆行列計算 を実行するために使用されます。
逆行列とは、元の行列と掛けると単位行列になるような行列です。単位行列とは、対角線上の要素がすべて 1 で、それ以外の要素がすべて 0 である行列です。
torch.Tensor.inverse
は、以下の引数を受け取ります。
- input: 逆行列を求めたい行列
- out: 結果を格納するテンソル (オプション)
以下のコードは、torch.Tensor.inverse
を使って 2x2 行列の逆行列を求める例です。
import torch
# 2x2 行列を作成
input = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]])
# 逆行列を求める
inverse = input.inverse()
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[-2. 1. ]
# [ 1.5 -0.5]])
注意事項
torch.Tensor.inverse
は、正方行列に対してのみ使用できます。- 入力行列が非正則行列 (逆行列が存在しない行列) の場合、エラーが発生します。
- 逆行列計算は、数値的に不安定な場合があり、結果が正確でない可能性があります。
補足
torch.Tensor.inverse
は、LU 分解や QR 分解などのアルゴリズムを使用して逆行列を計算します。- より効率的な逆行列計算方法としては、共役勾配法やランチョス法などがあります。
- PyTorch には、
torch.linalg.inv
という逆行列計算専用の関数も用意されています。
PyTorch Tensor の逆行列計算:torch.Tensor.inverse サンプルコード
単位行列の逆行列
import torch
# 単位行列を作成
input = torch.eye(3)
# 逆行列を求める
inverse = input.inverse()
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[1., 0., 0.],
# [0., 1., 0.],
# [0., 0., 1.]])
非正則行列の逆行列
import torch
# 非正則行列を作成
input = torch.tensor([[1, 2], [2, 4]])
# 逆行列を求める
try:
inverse = input.inverse()
except RuntimeError as e:
print(e)
# 出力:
# RuntimeError: Input matrix is not invertible.
逆行列を使って連立方程式を解く
import torch
# 連立方程式の係数行列を作成
A = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]])
# 右辺ベクトルを作成
b = torch.tensor([5, 7])
# 逆行列を使って解ベクトルを求める
x = torch.matmul(A.inverse(), b)
# 解ベクトルを出力
print(x)
# 出力:
# tensor([-1., 2.])
バッチ処理で逆行列を求める
import torch
# バッチサイズ 2 の 3x3 行列を作成
input = torch.randn(2, 3, 3)
# バッチ処理で逆行列を求める
inverse = input.inverse()
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[[ 0.9053, -0.1713, 0.3335],
# [-0.0526, 0.9808, -0.1882],
# [ 0.0263, 0.1541, 0.9878]],
# [[ 0.7071, -0.1414, 0.7071],
# [-0.1414, 0.9899, -0.1414],
# [ 0.7071, 0.1414, 0.7071]]])
共役勾配法による逆行列計算
import torch
from torch.linalg import inv_c
# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])
# 共役勾配法を使って逆行列を求める
inverse = inv_c(A)
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
# [-0.125, 0.375]])
ランチョス法による逆行列計算
import torch
from torch.linalg import inv_r
# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])
# ランチョス法を使って逆行列を求める
inverse = inv_r(A)
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
# [-0.125, 0.375]])
PyTorch Tensor の逆行列計算:その他の方法
LU 分解
import torch
from torch.linalg import lu
# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])
# LU 分解を行う
lu_result = lu(A)
# LU 分解の結果を使って逆行列を求める
inverse = torch.triangular_solve(lu_result.L, lu_result.U, torch.eye(2))
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
# [-0.125, 0.375]])
QR 分解は、行列を直交行列と上三角行列の積に分解する方法です。逆行列は、QR 分解の結果を使って効率的に計算できます。
import torch
from torch.linalg import qr
# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])
# QR 分解を行う
qr_result = qr(A)
# QR 分解の結果を使って逆行列を求める
inverse = torch.triangular_solve(qr_result.R, qr_result.Q.transpose(-1, -2), torch.eye(2))
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
# [-0.125, 0.375]])
NumPy は、Python で科学計算を行うためのライブラリです。PyTorch と NumPy は相互変換が可能ですので、NumPy の linalg.inv
関数を使って逆行列を求めることもできます。
import numpy as np
import torch
# 行列を作成
A = torch.tensor([[4, 1], [1, 3]])
# NumPy に変換
A_numpy = A.numpy()
# NumPy の `linalg.inv` 関数を使って逆行列を求める
inverse_numpy = np.linalg.inv(A_numpy)
# NumPy から PyTorch に変換
inverse = torch.from_numpy(inverse_numpy)
# 結果を出力
print(inverse)
# 出力:
# tensor([[ 0.25, -0.125],
# [-0.125, 0.375]])
ライブラリの利用
Eigen や Intel MKL などのライブラリは、高速な逆行列計算を提供しています。これらのライブラリを PyTorch と連携して使用することもできます。
PyTorch Tensor の逆行列計算には、torch.Tensor.inverse
メソッド以外にも様々な方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、状況に応じて使い分けることが重要です。
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