PyTorchで標準正規分布の逆累積分布関数を計算する:torch.special.ndtri()の徹底解説
PyTorch の SciPy-like Special における torch.special.ndtri() の詳細解説
数式による定義
数式で表現すると、torch.special.ndtri(p)
は以下の式で計算されます。
ndtri(p) = inv_Φ(p) = Φ^{-1}(p) = √2 erfinv(2p - 1)
ここで、
Φ(p)
は標準正規分布の累積分布関数inv_Φ(p)
は標準正規分布の逆累積分布関数erfinv(x)
は逆誤差関数
torch.special.ndtri()
の使い方は以下の通りです。
import torch
# 確率 p を入力
p = torch.tensor(0.95)
# ndtri() を使って逆累積分布関数を計算
x = torch.special.ndtri(p)
# 結果を出力
print(x)
このコードは、標準正規分布から 95% よりも小さい値が観測される確率に対応する値を計算します。出力結果は 1.644853626951436
となります。
応用例
torch.special.ndtri()
は、統計モデリングや機械学習などの様々な分野で応用されます。具体的には、以下の用途に使用できます。
- 信頼区間や仮説検定における p 値の計算
- シミュレーションにおける乱数の生成
- 機械学習モデルの損失関数の定義
SciPy との比較
torch.special.ndtri()
は、Python の科学計算ライブラリ SciPy における scipy.stats.norm.ppf()
関数と同様の機能を提供します。
補足
torch.special.ndtri()
は、入力p
が 0 から 1 までの範囲内であることを前提としています。torch.special.ndtri()
は、GPU 上でも実行可能です。
本回答は参考情報提供のみを目的としており、いかなる種類の保証も提供するものではありません。
torch.special.ndtri() のサンプルコード
信頼区間の計算
import torch
# 標本平均と標本標準偏差
mu = torch.tensor(50)
sigma = torch.tensor(10)
# 信頼水準
confidence_level = 0.95
# 信頼区間の境界を計算
z_alpha_2 = torch.special.ndtri(1 - (1 - confidence_level) / 2)
lower_bound = mu - z_alpha_2 * sigma
upper_bound = mu + z_alpha_2 * sigma
# 結果を出力
print(f"信頼区間: ({lower_bound}, {upper_bound})")
このコードは、標本平均 mu
と標本標準偏差 sigma
から、信頼水準 confidence_level
での信頼区間を計算します。
仮説検定における p 値の計算
import torch
# 観測値
x = torch.tensor(60)
# 仮説平均
mu_0 = torch.tensor(50)
# 仮説標準偏差
sigma = torch.tensor(10)
# p 値を計算
p_value = 1 - torch.special.ndtri((x - mu_0) / sigma)
# 結果を出力
print(f"p 値: {p_value}")
このコードは、観測値 x
と仮説平均 mu_0
から、仮説標準偏差 sigma
を用いて p 値を計算します。
シミュレーションにおける乱数の生成
import torch
# 乱数生成器
rng = torch.Generator()
# 標準正規分布から 10 個の乱数を生成
random_numbers = torch.special.ndtri(torch.rand(10, generator=rng))
# 結果を出力
print(random_numbers)
このコードは、標準正規分布から 10 個の乱数を生成します。
機械学習モデルの損失関数の定義
import torch
# 入力データ
x = torch.randn(100)
# 目標値
y = torch.randn(100)
# 損失関数
loss = torch.mean(torch.square(torch.special.ndtri(y) - x))
# 損失関数の最小化
optimizer = torch.optim.SGD(model.parameters(), lr=0.01)
for epoch in range(100):
optimizer.zero_grad()
loss.backward()
optimizer.step()
# 結果を出力
print(f"損失値: {loss}")
このコードは、標準正規分布から生成されたデータ x
と目標値 y
を用いて、torch.special.ndtri()
を用いた損失関数を定義し、最小化します。
上記以外にも、torch.special.ndtri()
は様々な用途に使用できます。詳細は PyTorch のドキュメントを参照してください。
本回答は参考情報提供のみを目的としており、いかなる種類の保証も提供するものではありません。
torch.special.ndtri() 以外の方法
逆累積分布関数の数値積分
標準正規分布の累積分布関数 Φ(x)
は解析的に計算できますが、逆累積分布関数 Φ^{-1}(x)
は解析的に計算できません。そのため、数値積分を用いて Φ^{-1}(x)
を計算することができます。
import torch
def inv_cdf(p):
def f(x):
return torch.exp(-0.5 * x**2)
return torch.integrate.quad(f, -torch.inf, torch.special.ndtri(p))[0]
# 確率 p を入力
p = torch.tensor(0.95)
# 逆累積分布関数を数値積分によって計算
x = inv_cdf(p)
# 結果を出力
print(x)
このコードは、逆累積分布関数 Φ^{-1}(x)
を数値積分によって計算します。
近似式
標準正規分布の逆累積分布関数 Φ^{-1}(x)
に対する様々な近似式が存在します。以下は、その一例です。
import torch
def inv_cdf_approx(p):
return torch.sqrt(2) * erfinv(2 * p - 1)
# 確率 p を入力
p = torch.tensor(0.95)
# 逆累積分布関数を近似式によって計算
x = inv_cdf_approx(p)
# 結果を出力
print(x)
このコードは、標準正規分布の逆累積分布関数 Φ^{-1}(x)
に対する近似式を用いて計算します。
ライブラリ
SciPy や TensorFlow などのライブラリにも、標準正規分布の逆累積分布関数を計算する関数があります。
本回答は参考情報提供のみを目的としており、いかなる種類の保証も提供するものではありません。
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